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メル美沖縄旅行で「組踊」って書いてあるポスターを見たの。どんなものなんだろう?

プレ男エイサーみたいな踊り?それともお芝居?
こんにちは、Dr. Taro です。 「大人の教養」の楽しみ方シリーズ、今回は沖縄の組踊(くみおどり)です。文化庁の広報誌「ぶんかる」に国立劇場おきなわの職員が書いた紹介記事と、日本芸術文化振興会の「文化デジタルライブラリー」(琉球芸能編 組踊)をもとにまとめました(2026年10月22日現在)。
組踊ってどんな芸能?
- 組踊は、せりふ・音楽・踊りで構成される、沖縄独自の歌舞劇です
- 形は能・狂言や歌舞伎に近いのですが、せりふに沖縄の古語、音楽に琉球音楽、踊りに琉球舞踊を使うのが特徴。文化庁の記事では「琉球版のオペラ」をイメージしてもさしつかえない、と紹介されています
- 沖縄の芸能は大きく「民俗芸能」(エイサー、島唄など)と「宮廷芸能」に分けられ、組踊は宮廷芸能のほうです

プレ男琉球版のオペラ!歌って踊るお芝居なんだ。
生まれたのは1719年、首里城の御庭
- 琉球王府は、中国皇帝の使者「冊封使(さっぽうし)」をもてなすため、宴の儀礼をとりしきる「踊奉行(おどりぶぎょう)」を置いていました
- 踊奉行だった玉城朝薫(たまぐすく ちょうくん)が、琉球古来の故事をもとに、公務で江戸に上ったときに観た能・狂言や歌舞伎なども参考にして組踊を作りました
- 1719年、尚敬王の冊封の儀礼で、『二童敵討(にどうてきうち)』と『執心鐘入(しゅうしんかねいり)』の2作品が初めて上演されました
- この2作に『銘苅子(めかるしー)』『女物狂(おんなものぐるい)』『孝行之巻(こうこうのまき)』を加えた5作は「朝薫の五番」と呼ばれ、いまも名作として親しまれています。その後も多くの作者が現れ、70あまりの組踊が伝わっています
- 文化デジタルライブラリーによると、最初の舞台は首里城の御庭(ウナー)に、北殿に向けて仮設されました。北殿には冊封使と琉球国王が座り、舞台は三間四方(約5.4m四方)で、正面と左右の三方が開いたものでした
王国がなくなっても、受けつがれた
- 1879年に琉球王国がなくなると、組踊を支えてきた士族たちは職を失い、組踊は伝承の危機におちいりました
- けれど、彼らは那覇の街の芝居小屋に活路を見いだし、組踊は庶民の娯楽へと形を変えて生きのびました。同じころ県内各地に伝わり、村祭りの奉納芸能としても受けつがれています
- その後も沖縄戦、映画・テレビの隆盛などの危機がありましたが、熱意ある人々によって復興しました
- 1967年6月に琉球政府文化財保護委員会が朝薫五番を重要無形文化財に、1972年5月には沖縄の日本復帰と同じ日に国の重要無形文化財に指定。2010年にはユネスコの無形文化遺産(人類の無形文化遺産の代表的な一覧表)に記載されました

メル美王さまのための芸能が、芝居小屋や村祭りで生きのびたんだね。
聴きどころ① せりふは「唱え」
- 組踊では、役者を「立方(たちかた)」と呼び、せりふを発することを「唱え(となえ)」といいます
- せりふには沖縄の古語や日本の古い言葉も使われ、8音・6音でできた沖縄独自のリズムの詞章で表現されます。緊迫した場面では、7音・5音の詞章で心の変化をあらわすこともあります
- 声の強さや調子は、身分・性別・役柄で変わります。大きく分けると、按司(あじ)などの力強い「男吟(オトコジン)」と、女や若衆(ワカシュ)の歌うような「女吟(ヲゥンナジン)」です
聴きどころ② 音楽は地謡の歌・三線
- 演奏する人は「地謡(じうたい)」と呼ばれ、歌と楽器を受けもちます。楽器は三線(サンシン)、箏、胡弓、笛、太鼓。三線の人は歌も歌うので「歌・三線」といいます
- 歌詞は「琉歌(リュウカ)」という沖縄の短い詩で、組踊では8・8・8・6調の30音の琉歌が使われます
- 組踊の音楽には前奏がありません。地謡は、立方のせりふの最後の2文字にかかるように歌い出します。これを「二仮名掛け(にかながけ)」といい、緊迫した場面では「三仮名掛け」「四仮名掛け」も使われます
- 立方の唱えにも旋律と抑揚があり、感情の高ぶりで音の高さが変わることが多いので、それに合わせる地謡には高い技術と経験が求められます

プレ男せりふの終わりに歌が重なってくるところを、耳をすませて聴いてみたい!
観どころ 舞台の「約束事」
文化デジタルライブラリーによると、組踊の演出は写実をおさえて抽象化されています。知っておくと、ぐっと分かりやすくなります。
- 長い旅は、舞台を半周か1周:見た目は短くても、物語では長い道のりを歩いています。移動の場面を「道行(みちゆき)」といいます
- 立ち位置で身分がわかる:身分の高い役が上手(かみて、客席から見て右)、低い役が下手(しもて、左)。男女が向き合うときは、男が上手、女が下手です
- 2つの場面を同時に:大道具で区切らず、すぐ近くで、まだ出会っていない2組の場面を同時に演じることがあります
- 感情は地謡が語る:相手に思いを示す「思い入れ」では、顔をわずかに傾けて下ろします。再会の喜びでは、座って顔を見合わせ、肩に手をそえます。そのあいだ、せりふはなく、気持ちは地謡の演奏と歌があらわします
- 登場と退場:登場は「出羽(ンジファ)」、退場は「入羽(イリファ)」。身分の高い男の役には、器楽だけの登・退場の曲「手事(ティグトゥ)」が演奏されます
- 最後は「踊て戻ら」:親子の再会や敵討ちをはたすなど、ハッピーエンドが多いのが特徴です。『二童敵討』では、父の敵を討った兄弟が「踊て戻らうや(踊って帰ろう)」と唱え、踊りながら下手に下がって物語が終わります

組踊は、写実をおさえた演出が特徴です。登場人物が舞台を半周か1周すると長い旅をあらわし、身分の高い役は上手(客席から見て右)に立ちます。
どこで観られる?
- 文化デジタルライブラリーによると、沖縄県浦添市の国立劇場おきなわで、定期的に組踊の公演が行われています。公演情報は、国立劇場おきなわの公式サイトで確かめてください
- 国立劇場おきなわの大劇場には、首里城の舞台にならって、三方から見られる「張出し舞台」が再現されています
- 文化庁の記事によると、舞台には大がかりなセットがなく、お客さんの想像力とひとつになって物語が展開します。字幕を見ながら物語の世界に身をゆだねるのも楽しみ方のひとつ、と紹介されています
- 組踊は、沖縄各地や離島の村踊り・村遊びとよばれる村祭りの中でも、地域の人々によって演じられています。たとえば伊江島には、『仮名手本忠臣蔵』をもとにした組踊『忠臣蔵』が伝わっています

メル美今度の沖縄旅行は、組踊の公演に合わせて日程を組んでみようかな。
同じように宮廷で育った芸能は雅楽の楽しみ方、組踊が参考にした芸能は能・狂言の楽しみ方、歌舞伎の楽しみ方、歌で物語る舞台はオペラの楽しみ方もどうぞ。
まとめ
- 組踊は、せりふ・音楽・踊りの沖縄の歌舞劇。「琉球版のオペラ」
- 1719年、冊封使をもてなすために、玉城朝薫が作った『二童敵討』『執心鐘入』が首里城で初演。「朝薫の五番」
- 王国がなくなっても、芝居小屋と村祭りで受けつがれ、1972年に国の重要無形文化財、2010年にユネスコ無形文化遺産
- せりふは8音・6音の「唱え」、音楽は地謡の歌・三線で、前奏なしの「仮名掛け」
- 1周すれば長い旅、上手は身分の高い役、最後は「踊て戻ら」のハッピーエンドが多い
参考文献
- 文化庁. 沖縄に伝わる宮廷芸能「組踊」(文化庁広報誌ぶんかる「ようこそ劇場へ」、国立劇場おきなわ事業課 川満秀樹). https://www.bunka.go.jp/prmagazine/rensai/youkoso/youkoso_008.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 文化庁. 約300年の歴史をつむぐ優雅な世界「組踊」(文化庁広報誌ぶんかる「ようこそ劇場へ」、国立劇場おきなわ事業課 宮里道子). https://www.bunka.go.jp/prmagazine/rensai/youkoso/youkoso_031.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 文化庁. 国の重要無形文化財指定から50年〜組踊〜(文化庁広報誌ぶんかる「ようこそ劇場へ」、国立劇場おきなわ事業課 仲間修). https://www.bunka.go.jp/prmagazine/rensai/youkoso/youkoso_094.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 文化庁. 我が国のユネスコ無形文化遺産. https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/mukei_bunka_isan/ (閲覧日:2026年10月22日)
- 日本芸術文化振興会 文化デジタルライブラリー. 琉球芸能編 組踊:組踊の演出(せりふ・音楽・歌唱・節・踊り・舞台での約束事・舞台の構造). https://www2.ntj.jac.go.jp/dglib/contents/learn/edc19/ensyutsu/ (閲覧日:2026年10月22日)
- 日本芸術文化振興会 文化デジタルライブラリー. 琉球芸能編 組踊:組踊を楽しもう(劇場で観る・祭りで観る). https://www2.ntj.jac.go.jp/dglib/contents/learn/edc19/tanoshimou/miru/ (閲覧日:2026年10月22日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。