大人の教養An Evening of Culture

第六幕Act VI — The Archive

アンティキティラ島の機械ギリシャの沈没船から海綿とりの潜水夫が引きあげた、さびた青銅のかたまり。中には30個の歯車。2000年以上前に、日食・月食や惑星の動きを計算した「古代のコンピューター」だった

No.1262026年10月22日

ギリシャのアンティキティラ島の沖、紀元前75〜50年ごろに沈んだ貨物船から、1900〜1901年にシミ島の海綿とりの潜水夫たちが引きあげた「アンティキティラ島の機械」。アテネ国立考古学博物館によると、紀元前2世紀の作で、歯車・軸・目盛り盤・針を青銅でつくり、木の箱に入っていました。いまは82のかけらに分かれ、もとの3分の1ほどが残るだけですが、30個の歯車が見つかっています。2005年のX線CTなどの調査で、日食・月食の予測、19年周期のメトン周期のこよみ、月の速さの変化(ヒッパルコスの理論)を歯車で再現していたことがわかり、2021年には、惑星の動きを示す前面の新しい復元模型が発表されました。博物館の解説と、Nature(2006年)・Scientific Reports(2021年)の論文で紹介します。

目次
  1. プロフィール
  2. 沈没船から(博物館より)
  3. 何を計算した?
  4. 機械の表面には「取扱説明書」
  5. 100年以上つづく研究(博物館より)
  6. まとめ

プレ男「2000年前のコンピューター」って、ネットでよく見るけど、本当なの?

メル美電気で動くわけじゃないけど、歯車で天体の動きを計算する道具だったんだって。論文も出てるよ。

今回は「アンティキティラ島の機械」です。所蔵するアテネ国立考古学博物館のデジタル解説サイト「The Mysteries of the Mechanism of Antikythera」と、研究チームの論文(Nature、2006年/Scientific Reports、2021年)の原文で確かめました。

プロフィール

項目 内容
つくられた時期 紀元前2世紀(博物館)。刻まれた文字は紀元前150〜100年ごろのもの(博物館)。2006年の論文は「紀元前2世紀の終わりごろ」
見つかった場所 ギリシャ・アンティキティラ島の北東の沖の沈没船
引きあげ 1900〜1901年(シミ島の海綿とりの潜水夫とギリシャ海軍)
つくり 青銅(すずの少ない銅の板)の歯車・軸・目盛り盤・針。木の箱に入り、前と後ろに金属の板
いまの姿 82のかけら。もとの約3分の1が残り、歯車は30個(2021年の論文)
所蔵 アテネ国立考古学博物館

沈没船から(博物館より)

プレ男美術品を運ぶ船の中に、まさか「計算機」がまじっていたなんて!

何を計算した?

博物館によると、この機械は、科学の研究の道具、日食・月食を予測する道具、こよみとして使われ、占星術や航海にも使われたかもしれません。

機械の表面には「取扱説明書」

メル美説明書つきの天体計算機!2000年以上前の人の知恵ってすごい。

100年以上つづく研究(博物館より)

時期 研究
1902〜1934年 考古学者スヴォロノス、スタイスらが研究。はじめはアストロラーベ(天体の高さを測る道具)と考えられた。言語学者レームは「プラネタリウム」とよんだ
1953〜1974年 イェール大学の科学史家デレク・デ・ソーラ・プライスが、物理学者カラカロスのX線写真をもとに、機械じかけのこよみ計算機だと考えた。その結論は、のちの研究に大きな影響をあたえた
1990年以降 計算機科学者ブロムリーと、機構の歴史家ライトが、断層写真で調べる
2005年〜 3次元の表面画像とX線CTで、国際的なチームが多くの「かくれた」文字や仕組みを明らかにし、新しい模型をつくった

アテネ国立考古学博物館によると、アンティキティラ島の機械は紀元前2世紀の青銅の歯車の機械で、日食・月食の予測やこよみに使われました。

まとめ


参考文献

  1. National Archaeological Museum, Athens. The Mysteries of the Mechanism of Antikythera: Archaeologist. https://antikythera-mechanism.namuseum.gr/en/archaeologist/ (閲覧日:2026年10月22日)
  2. 同上. Science historian. https://antikythera-mechanism.namuseum.gr/en/science-historian/ (閲覧日:2026年10月22日)
  3. 同上. Epigraphist. https://antikythera-mechanism.namuseum.gr/en/epigraphist/ (閲覧日:2026年10月22日)
  4. 同上. What is the Mechanism and what does it consist of? https://antikythera-mechanism.namuseum.gr/en/what-is-the-mechanism-and-what-does-it-consist-of/ (閲覧日:2026年10月22日)
  5. Freeth T, Bitsakis Y, Moussas X, et al. Decoding the ancient Greek astronomical calculator known as the Antikythera Mechanism. Nature. 2006;444:587–591. https://www.nature.com/articles/nature05357 (閲覧日:2026年10月22日)
  6. Freeth T, Higgon D, Dacanalis A, et al. A Model of the Cosmos in the ancient Greek Antikythera Mechanism. Scientific Reports. 2021;11:5821. https://www.nature.com/articles/s41598-021-84310-w (閲覧日:2026年10月22日)

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。