ボツリヌストキシンとヒアルロン酸の「併用」:学会の診療指針は「弱く推奨」。効果が高まり、併用で合併症は増えないとされる。ただしヒアルロン酸の血管内注入による皮膚壊死・失明には十分な注意を
日本皮膚科学会など5学会の「美容医療診療指針(令和3年度改訂版)」によると、顔のしわ・たるみに、表情じわを弱めるボツリヌストキシンと、へこみを埋めるヒアルロン酸を併用する治療は、効果が高まることが期待できるとして「治療を希望する患者には弱く推奨」です。併用で新しい合併症が増えたという報告はないものの、それぞれの製剤の合併症がなくなるわけではなく、とくにヒアルロン酸を血管に誤って注入したときの皮膚壊死や失明に十分な注意が必要とされています。承認品のほか、未承認品も広く使われています。

メル美クリニックで「眉間はボトックス、ほうれい線はヒアルロン酸、同じ日に両方やりましょう」って言われたの。いっしょにやって大丈夫なのかな。

プレ男そもそも、2つは何がちがうんだろう?
こんにちは、Dr. Taro です。 「美容医療」のボツリヌストキシンから、今回はボツリヌストキシンとヒアルロン酸の併用の話です。日本皮膚科学会・日本形成外科学会・日本美容皮膚科学会・日本美容外科学会(JSAPS・JSAS)の5学会による「美容医療診療指針(令和3年度改訂版)」の CQ2-2-2(改訂版で追加)をもとにまとめました。
2つの役割のちがい
- ボツリヌストキシン:筋肉の動きを弱めて、表情を作るときにできるしわ(動的なしわ)を目立たなくします。1992年の報告以来、眉間のしわの標準的な治療になりました(ボツリヌストキシン治療)
- ただ、筋肉の動きを止めても、動かしていないときにも残るしわには、フィラー(注入剤)が必要とされ、ヒアルロン酸との併用が始まりました
- 顔の老化には、重力だけでなくボリュームが減ることが大きく影響するという考え方も、併用が広まった背景とされています
指針の評価:「弱く推奨」
- 指針は、顔のしわ・たるみにボツリヌストキシンとヒアルロン酸を併用することで、治療効果が高まることが期待できるとして、「治療を希望する患者には、行うことを弱く推奨する」としています
- 有効性は「あり」。眉間をはじめ、額やこめかみ、口のまわりなど顔全体で、併用の有効性が確認されたとされています。眉間では、併用のほうが見た目と効果の持続ですぐれていたという比較試験があります
合併症について
- 併用することで合併症が増えることはなく、比較的安全とされています
- ただし、それぞれの製剤の合併症がなくなるわけではありません
- とくに、ヒアルロン酸を血管の中に誤って注入したときの皮膚の壊死や失明などの重い合併症には十分な注意が必要です
- 承認状況:承認品がある一方で、未承認品も広く使われています

メル美いっしょにやること自体で合併症が増えるわけじゃないけど、ヒアルロン酸の重い合併症には気をつけないといけないんだね。

ボツリヌストキシンとヒアルロン酸の併用は、学会の診療指針で「弱く推奨」とされています。使う製剤が承認品かどうか、ヒアルロン酸の重い合併症への対応も含めて、医師から説明を受けてから決めましょう。
受ける前に確かめたいこと
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どの製剤を使うか(承認品か、未承認品か)
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どの部位に、それぞれ何を注入するのか
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ヒアルロン酸の血管内注入による皮膚壊死・失明などのリスクと、起きたときの対応(分解する薬が用意されているか など)
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ボツリヌストキシンを打ったあとの避妊の期間などの注意(ボツリヌストキシン治療)
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吸収されないフィラーとの違いは顔の吸収されないフィラー、すぐに受診すべきサインはヒアルロン酸などの「注入(フィラー)」の記事もどうぞ

メル美その日に決めないで、使う製剤とリスクをちゃんと聞いてからにするね。
まとめ
- ボツリヌストキシンは動的なしわ、ヒアルロン酸は残るしわ・ボリュームに
- 5学会の診療指針(改訂版)は、併用を「弱く推奨」。効果が高まることが期待できる
- 併用で合併症は増えないとされるが、各製剤の合併症はある
- とくにヒアルロン酸の血管内注入による皮膚壊死・失明に注意
- 承認品・未承認品、リスクと対応を確認してから
参考文献
- 日本皮膚科学会, 日本形成外科学会, 日本美容皮膚科学会, 日本美容外科学会(JSAPS), 日本美容外科学会(JSAS). 美容医療診療指針(令和3年度厚生労働科学研究補助金). 日本美容外科学会会報 44(特別号), 2022. 第2章第2節 CQ2-2-2. https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/guideline/biyo2v.pdf (閲覧日:2026年10月5日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。