ボツリヌストキシン治療とは?しわ・わきの汗などへの効果と、注射後の避妊が必要な理由
ボツリヌストキシン(ボツリヌス毒素)の注射は、眉間や目尻のしわ、エラの張り、わきの多汗症などに使われる治療です。日本で承認されている使い方、効果が続く期間、副作用、注射のあとに避妊が必要な理由をまとめました。
目次

メル美しわやわきの汗に使う注射って、どんな治療なんだろう?
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、ボツリヌストキシン治療についてお話しします。
ボツリヌストキシンってなに?
ボツリヌストキシンは、ボツリヌス菌がつくるたんぱく質(毒素)を、薬として使えるようにしたものです。
- ごく少ない量を注射すると、神経から筋肉への信号をブロックして、筋肉の動きを弱めます
- 汗を出す信号もブロックするため、汗を減らすこともできます
- 効果は一時的で、時間がたつと、もとにもどります
日本で承認されている主な使い方
見た目の治療(自費)
- 眉間のしわ、目尻のしわ(表情じわ):表情をつくる筋肉の動きを弱めて、しわを目立たなくします
- エラの張り(咬筋の肥大):かむ筋肉を小さくします
これらは、65歳未満の人が対象で、見た目のための治療なので、自費になります。3か月以上あけて、くり返し注射します。
わきの多汗症(保険)
- 重度の原発性腋窩多汗症(わきの汗が多すぎて、日常生活に困っている状態)の治療として承認されていて、保険が使えます
- 片方のわきに、10〜15か所に分けて注射します
- 効果は、ふつう4〜9か月続きます。次の注射までは、16週以上あけます
そのほか
まぶたのけいれん(眼瞼けいれん)、首の筋肉のこわばり(痙性斜頸)、脳卒中のあとの手足のつっぱり(痙縮)、過活動膀胱などの治療にも使われています。
美容目的で行われている、そのほかの部位
美容目的では、承認されている部位のほかにも、次のような部位に使われることがあります。
これらの多くは、日本では承認されていない使い方です。効果の出方や副作用は、部位や量、打ち方によって違います。
海外製の製剤について
日本で承認されているボツリヌストキシン製剤のほかに、海外で作られ、日本では承認されていない製剤を、医療機関が輸入して使うことがあります。承認されていない製剤や、承認されていない使い方で治療を受けるときは、次のような点について、説明を受けてから決めましょう。
- その製剤が、日本で承認されていないものであること
- 入手の方法(どこから、どのように輸入しているか)
- 日本で承認されている同じ種類の薬があるかどうか
- 海外での承認や、安全性についての情報
また、国の医薬品副作用被害救済制度(薬の副作用で重い健康被害がおきたときの公的な救済制度)は、使い方が適正と認められない場合などは対象にならないとされています。承認されていない製剤や使い方では、対象外となる場合があることも知っておきましょう。
注射のあとは、避妊が必要
ボツリヌストキシンの添付文書(しわ・エラの治療用)では、避妊について次のように注意されています。
- 妊娠する可能性のある女性:注射を受けている間と、最後の注射のあと、少なくとも2回の月経をむかえるまでは、避妊すること
- 男性:注射を受けている間と、最後の注射のあと、少なくとも3か月は、避妊すること
また、妊娠中、妊娠している可能性がある女性、授乳中の女性は、注射を受けられません。
避妊には、低用量ピルやコンドームなどを使いましょう。コンドームは、性感染症の予防にもなります。
ボツリヌストキシンの注射のあとは、男性も女性も、しばらく避妊が必要です。忘れずに覚えておいてくださいね。
主な副作用
- 注射したところの痛み、はれ、内出血
- 頭痛
- しわの治療では、まぶたが下がる(眼瞼下垂)、目が乾くなどがおこることがあります
- わきの多汗症の治療では、ほかの場所の汗が増える(代償性発汗)ことがあります
- まれに、飲み込みにくい、息苦しいなどの重い副作用がおこることがあります。こうした症状があれば、すぐに受診しましょう
受けられない人(一部)
- 妊娠中、妊娠している可能性がある、授乳中の女性
- 重症筋無力症など、神経と筋肉のつなぎ目の病気がある人
注射するのは、講習を受けた医師
ボツリヌストキシンは、使い方をまちがえると危険な薬です。添付文書では、講習を受けた医師が、安全性や有効性を十分に理解したうえで使うこととされています。
まとめ
- ボツリヌストキシンは、筋肉の動きや汗を一時的におさえる注射
- 日本では、眉間・目尻のしわ、エラの張り(自費)、重度のわきの多汗症(保険)などに承認されている
- 美容目的では、ほかの部位にも使われることがあるが、多くは承認されていない使い方。海外製の未承認の製剤を使う場合は、説明を受けてから決める
- 効果は一時的。わきの多汗症では4〜9か月
- 注射のあとは、女性は2回の月経まで、男性は3か月、避妊が必要
- 妊娠中・授乳中は受けられない
参考文献
- A型ボツリヌス毒素製剤(表情皺・咬筋) 添付文書(KEGG MEDICUS). https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00056431 (閲覧日:2026年9月26日)
- A型ボツリヌス毒素製剤 添付文書(KEGG MEDICUS). https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00058180 (閲覧日:2026年9月26日)
- 厚生労働省. 医療広告ガイドラインに関するQ&A(未承認医薬品等を用いた自由診療の限定解除の要件). https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000644622.pdf (閲覧日:2026年9月26日)
- 医薬品医療機器総合機構. 医薬品副作用被害救済制度 Q7 救済の対象とならない場合とは. https://www.pmda.go.jp/relief-services/adr-sufferers/0032.html (閲覧日:2026年9月26日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。