額のしわのボツリヌストキシン注射:前頭筋は日本では未承認。米国では「眉間と一緒に」が条件、眉が下がる副作用も
額の横じわは、眉を上げる「前頭筋」が縮んでできます。ボツリヌストキシン注射は、日本では額への使用は承認されていません。米国では承認されていますが、眉が下がるのを防ぐため眉間と一緒に治療することが条件です。承認状況、臨床試験での副作用、受ける前に知っておきたいことをまとめました。

メル美おでこの横じわが気になる…。眉を上げるクセがあるのかも。

プレ男額にもボトックスって打てるの?
こんにちは、Dr. Taro です。 ボツリヌストキシン注射の部位別シリーズ、今回は額です。先に大事なことをお伝えすると、額は、日本では承認されていない使い方です。
額のしわにかかわる筋肉
- 前頭筋(ぜんとうきん)は、額にある、眉を上げる筋肉です
- 眉を上げると前頭筋が縮み、額に横じわができます
- 米国の医学事典「StatPearls」によると、前頭筋は眉を上げる唯一の筋肉です。反対に眉を下げる方向にはたらくのが、眉間の鼻根筋・皺眉筋と、目のまわりの眼輪筋で、これらのバランスで眉の位置と形が決まります
日本では「未承認」
- 日本で見た目の治療として承認されているのは、眉間のしわ・目尻のしわ・エラの張り(咬筋)です(眉間、目尻、エラ)
- 額のしわは、日本では承認されていません。国内の添付文書は、承認された使い方以外には使わないよう求めています
- 美容クリニックで額に打つ場合は、承認されていない使い方になります
米国では承認:ただし「眉間と一緒に」
米国では、ボツリヌストキシン(一般名:オナボツリヌストキシンA)の見た目用の製剤が、額の横じわにも承認されています。米国の添付文書では:
- 額の5か所に合計20単位、眉間の5か所に合計20単位、あわせて40単位
- 眉が下がる(眉毛下垂)のを減らすため、額は眉間と一緒に治療することとされています
- これは米国の添付文書の量です。実際の診療では、筋肉の強さや顔立ちを見て量を調整します。監修医(Dr. Taro)の診療では、額(前頭筋)に8〜16単位くらい、眉間に10〜20単位くらいと、米国の添付文書より少ない量で行うことが多いそうです

プレ男額だけ打つと、眉が下がることがあるのか…。
- 額の筋肉(前頭筋)は眉を上げる筋肉、眉間の筋肉は眉を下げる筋肉です。額の筋肉だけを弱めると、眉を上げる力が足りなくなり、眉が下がることがあると考えられています
副作用
米国の添付文書では、額のしわの臨床試験で多かった副作用は:
| 副作用 | 割合 |
|---|---|
| 頭痛 | 9% |
| 眉が下がる(眉毛下垂) | 2% |
- また、ボツリヌストキシンの効果が、注射した場所から離れた筋肉に広がる(飲みこみにくい、話しにくい、息苦しいなど)ことがまれに報告されていて、添付文書の冒頭で注意されています
受ける前に知っておきたいこと
- 日本で承認されていない使い方であることを、説明してもらいましょう
- どの製剤を使うのか(日本で承認されているものか、海外から輸入したものか)も確認を(ボツリヌストキシン注射)
- 承認されていない使い方では、健康被害が出たときに、国の医薬品副作用被害救済制度の対象にならない場合があります
- 妊娠中・授乳中の人は受けられません。注射のあとは避妊が必要です(女性は2回の月経を経るまで、男性は少なくとも3か月。国内の添付文書より)
まとめ
- 額の横じわは、眉を上げる前頭筋が縮んでできる
- 額は、日本では承認されていない使い方
- 米国では承認。ただし、眉が下がるのを防ぐため眉間と一緒に(合計40単位)
- 副作用は頭痛9%、眉が下がる2%(米国の臨床試験)
参考文献
- U.S. Food and Drug Administration. onabotulinumtoxinA for injection, for intramuscular use(米国添付文書、2024年10月改訂). https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2024/103000s5316s5319s5323s5326s5331lbl.pdf (閲覧日:2026年9月28日)
- A型ボツリヌス毒素製剤(表情皺・咬筋) 添付文書 2026年8月改訂(第4版)(KEGG MEDICUS). https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00056431 (閲覧日:2026年9月28日)
- 医薬品医療機器総合機構. 医薬品副作用被害救済制度 Q7 救済の対象とならない場合とは. https://www.pmda.go.jp/relief-services/adr-sufferers/0032.html (閲覧日:2026年9月28日)
- Pessino K, Patel J, Patel BC. Anatomy, Head and Neck; Frontalis Muscle. StatPearls(Europe PMC). https://europepmc.org/article/MED/32491684 (閲覧日:2026年9月28日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。