エラの張りのボツリヌストキシン注射:かむ筋肉「咬筋」に6か所。日本で承認されている使い方と、臨床試験での改善率
エラの張りは、奥歯をかみしめる筋肉「咬筋」が大きいことで目立つことがあります。ボツリヌストキシン注射は、日本で「65歳未満の成人の咬筋膨隆」に承認されています。注射する位置、臨床試験での改善率(約4割)、かみにくさなどの副作用を、添付文書をもとにまとめました。

プレ男写真を撮ると、エラが張って顔が大きく見える気がする…。

メル美エラって骨じゃなくて、筋肉のこともあるんだって。
こんにちは、Dr. Taro です。 ボツリヌストキシン注射の部位別シリーズ、第3回はエラです。
エラの張りにかかわる筋肉
- 咬筋(こうきん)は、ほお骨の下から下あごの角にかけてついている、奥歯をかみしめる筋肉です
- 奥歯をぐっとかむと、耳の前の下のほうが硬く盛り上がるのが、咬筋です
- 米国の医学事典「StatPearls」によると、咬筋は、ほお骨の弓(頬骨弓)から、下あごの角と外側の面にかけてついていて、下あごを持ち上げる(口を閉じてかむ)はたらきをします
- エラの張りには、骨(下あごの角)の形と、咬筋の大きさの両方がかかわります。ボツリヌストキシンで小さくできるのは、筋肉の部分だけです。骨の形によるエラの張りは、注射では変わりません
- 咬筋が大きくなった状態(咬筋肥大)は、あごの角のあたりがやわらかくふくらむのが特徴で、原因ははっきりしないとされています。見た目の悩みだけでなく、あごの痛みや、かむときの疲れ・違和感をともない、顎関節症と関係することもあると報告されています(2025年の総説)
日本で承認されている使い方
- エラの張り(咬筋の膨隆)は、ボツリヌストキシン注射が日本で承認されている使い方のひとつです(65歳未満の成人の咬筋膨隆)
- 左右の咬筋に3か所ずつ、合計6か所に、合計48〜72単位を分けて注射します
- 注射する場所は、口角と耳たぶの下を結ぶ線より下で、笑筋(笑顔をつくる筋肉)と耳下腺(つばをつくる腺)を避けて決めます
- 3か月以内の再注射は避けることになっています
どのくらい効く?
日本人を対象にした臨床試験の結果です(エラの張りが「強い」「とても強い」人が対象)。
- 注射して90日目に「改善した」(2段階以上よくなった)人の割合は、48単位で40.9%、72単位で39.4%(偽薬では0%)

プレ男約4割か。誰でも劇的に変わる、ってわけじゃないんだね。
- 効果の感じ方には個人差があります。どのくらいの変化が期待できるか、事前に医師とよく相談しましょう
副作用
- 臨床試験で副作用があった人は、48単位で5.7%、72単位で3.8%でした
- 主な副作用は、かむ筋肉の疲れ(筋疲労)、かみにくさ(咀嚼障害)、咬筋の一部が逆に盛り上がる(奇異性咬筋膨隆)で、それぞれ約2%でした
注射を受ける前に知っておきたいこと
- 妊娠中・授乳中の人は受けられません
- 注射のあとは、女性は2回の月経を経るまで、男性は少なくとも3か月、避妊が必要です
- エラの張りと、眉間・目尻のしわに同時に注射した臨床試験の経験はないとされています
- 美容目的では、日本で承認されていない製剤が使われることもあります。どの製剤を使うのか、説明を受けてから決めましょう(ボツリヌストキシン注射)
まとめ
- エラの張りは、かむ筋肉咬筋が大きいことで目立つことがある
- エラ(咬筋膨隆)は、日本で承認されている使い方(65歳未満の成人)。6か所・48〜72単位
- 臨床試験の改善率は約4割。効果には個人差
- 副作用にかむ筋肉の疲れ、かみにくさなど
- 注射のあとは避妊が必要
参考文献
- A型ボツリヌス毒素製剤(表情皺・咬筋) 添付文書 2026年8月改訂(第4版)(KEGG MEDICUS). https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00056431 (閲覧日:2026年9月27日)
- Anatomy, Head and Neck, Masseter Muscle. StatPearls(Europe PMC). https://europepmc.org/article/MED/30969691 (閲覧日:2026年9月28日)
- Ferrillo M, et al. The Role of Botulinum Toxin for Masseter Muscle Hypertrophy: A Comprehensive Review. Toxins. 2025;17(2):91. https://doi.org/10.3390/toxins17020091 (閲覧日:2026年9月28日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。