
メル美低用量ピルって、避妊以外にもいいことがあるの?

プレ男血栓症のリスクがあるって聞いたけど、どうなんだろう?
こんにちは、Dr. Taro です。 性感染症の予防と同じくらい大切なのが、避妊です。今回は、女性が自分で選べる確実な避妊法、低用量ピルについてお話しします。
低用量ピルってどんな薬?
低用量ピルは、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲスチン(黄体ホルモン)という2種類の女性ホルモンが入った飲み薬です。毎日飲むことで排卵をおさえ、妊娠を防ぎます。
このページでは、避妊を目的とした低用量ピルについてお話しします。
OCとLEP
- 避妊を目的とした低用量ピルは OC と呼ばれます。避妊が目的なので、自費になります
- 同じような成分で、月経困難症(ひどい生理痛など)などの治療に使われる薬は LEP と呼ばれ、保険が使えます
- LEPにも、避妊の効果があります
避妊の効果は?
米国CDCによると、ふつうの使い方(飲み忘れなども含めた、実際の使い方)をした場合に、1年間で妊娠する人の割合は、次のとおりです。
| 避妊法 | 1年間で妊娠する人の割合 |
|---|---|
| 皮下インプラント (日本では未承認) |
0.1% |
| 黄体ホルモンを出すIUD | 0.1〜0.4% |
| 銅付加IUD | 0.8% |
| 避妊注射 (日本では未承認) |
4% |
| 低用量ピル | 7% |
| ミニピル(黄体ホルモンだけのピル) | 7% |
| 避妊パッチ・腟リング (日本では未承認) |
7% |
| 男性用コンドーム | 13% |
| 女性用コンドーム | 21% |
| 殺精子剤 | 21% |
| 基礎体温などで排卵日を予測する方法 | 2〜23% |
| (参考)不妊手術:女性 / 男性 | 0.5% / 0.15% |
※「未承認」の避妊法は、日本では国の承認を受けておらず、使う場合は医療機関が海外から取り寄せた薬などになります。 ※日本では、避妊を目的とした方法には、保険は使えません(自費になります)。
低用量ピルは、コンドームよりも確実な避妊法です。ただし、飲み忘れがあると効果が下がるので、毎日きちんと飲むことが大切です。 IUDや皮下インプラントのように、飲み忘れの心配がない方法は、さらに妊娠する人が少なくなっています。
エストロゲンの量と、プロゲスチンの種類で違いがある
低用量ピルには、いろいろな種類があります。エストロゲンの量と、プロゲスチン(黄体ホルモン)の種類によって、効果の感じ方や副作用が少しずつ違います。
エストロゲンの量
低用量ピルのエストロゲン(エチニルエストラジオール)の量は、1錠あたり30〜35μgくらいのものが多く、20μg以下のもの(超低用量)もあります。
- 避妊の効果:20μgのピルと、それより多いピルで、はっきりした差は見られていません
- 出血:20μgのピルは、不正出血(生理以外の少量の出血)や、生理がこない・少ないといった、出血のパターンの乱れがおこりやすく、そのためにやめてしまう人も多いという結果でした
- 血栓症:エストロゲンの量が多いほど、血栓症のリスクが高くなる傾向があります
プロゲスチンの種類
プロゲスチンには、次のような種類があります(開発された順に「第1〜第4世代」と呼ばれることがあります)。
- ノルエチステロン(第1世代)
- レボノルゲストレル(第2世代)
- デソゲストレル、ゲストデン(第3世代)
- ドロスピレノン(第4世代)
種類による主な違いは、次のとおりです。
- 血栓症:エストロゲン30〜35μgのピルで比べると、デソゲストレル・ゲストデン・ドロスピレノンなどを含むピルは、レボノルゲストレルを含むピルより、血栓症のリスクが1.5〜1.8倍ほど高いとされています。この分析では、「エストロゲン30μgとレボノルゲストレルのピル」が、いちばんリスクの低い組み合わせとされています
- ニキビ:どの種類の低用量ピルでも、ニキビを減らす効果がみられています
- 出血のパターン:出血の乱れやすさは、エストロゲンの量だけでなく、プロゲスチンの種類によっても変わると考えられています
どのピルが合うかは、体質や、気になる症状(ニキビ、出血の乱れなど)、血栓症のリスクなどによって違います。医師と相談して選び、合わない場合は種類を変えることもできます。
性感染症は防げない
ここがいちばん大切なポイントです。 低用量ピルは妊娠を防ぐ薬で、性感染症は防げません。 ピルを飲んでいても、性感染症の予防にはコンドームが必要です。ピルとコンドームを組み合わせるのがおすすめです。
ピルは妊娠を防ぎ、コンドームは性感染症を防ぐ。2つを組み合わせれば、どちらもしっかり守れますよ。
飲み方
飲み始め
- 生理が始まってから5日以内に飲み始めれば、その日から避妊の効果があります
- それ以外のタイミングで飲み始めた場合は、7日間はコンドームを使うか、セックスを控えましょう
飲み忘れたときは
米国CDCは、次のように案内しています。
- 1錠だけ忘れた・遅れた(48時間未満):気づいたらすぐに1錠飲み、あとはいつもどおり続けます。ほかの避妊法は必要ありません
- 2錠以上続けて忘れた:気づいたらすぐに直近の1錠を飲み、あとはいつもどおり続けます。7日間はコンドームを使うか、セックスを控えましょう。飲み始めの週に忘れて、避妊なしのセックスをした場合は、緊急避妊(アフターピル)も考えましょう
日本の製品では、飲み忘れたときの対応は、添付文書(説明書)に従ってください。
吐いたり下痢をしたりしたとき
- 飲んでから24時間以内に吐いた、または下痢が24〜48時間続いた:飲み直す必要はなく、いつもどおり続けます
- 吐き気や下痢が48時間以上続いた:よくなってから7日間はコンドームを使うか、セックスを控えましょう
血栓症のリスク
低用量ピルのいちばん注意したい副作用は、血栓症(血管の中に血のかたまりができる病気)です。
- 欧州医薬品庁(EMA)によると、1年間に血栓症になる人は、ピルを使っていない女性で1万人あたり約2人、ピルを使っている女性では1万人あたり5〜12人(ピルの種類によって違う)です
- リスクは上がりますが、まれであり、避妊の利益がリスクを上回るとされています
- ふくらはぎの痛みや腫れ、急な息切れや胸の痛み、激しい頭痛などがあったら、すぐに受診しましょう
飲めない人
米国CDCは、次のような人は低用量ピルを使うべきではないとしています(一部)。
- 35歳以上で、1日15本以上たばこを吸う人
- 前兆のある片頭痛がある人
- 血栓症になったことがある人、血栓ができやすい体質の人
- 血圧がとても高い人
- 心臓病や脳卒中になったことがある人
- 乳がんの人
- 出産から21日たっていない人(授乳していない場合)
持病がある人や、飲んでいる薬がある人は、必ず医師に伝えましょう。 低用量ピルが飲めない人でも、エストロゲンを含まないミニピルなら使えることがあります。
飲み始めの副作用、連続して飲む方法、休薬期間に出血がないときなどのよくある疑問は、低用量ピルのよくある疑問の記事にまとめています。
ピルとがんの関係については、ピルとがんの関係にまとめています。
まとめ
- 低用量ピルは、排卵をおさえて妊娠を防ぐ飲み薬。ふつうの使い方で1年間の妊娠は約7%(コンドームは約13%)
- 避妊目的のOCは自費、月経困難症などの治療に使うLEPは保険。LEPにも避妊効果がある
- エストロゲンの量とプロゲスチンの種類で、出血の乱れや血栓症のリスクなどが少しずつ違う
- 性感染症は防げない。コンドームと組み合わせよう
- 生理が始まって5日以内に飲み始めればすぐに効果。2錠以上飲み忘れたら7日間はコンドームを
- 血栓症に注意。リスクは上がるがまれ。ふくらはぎの痛み、息切れ、激しい頭痛があればすぐ受診
- 35歳以上で1日15本以上たばこを吸う人や、前兆のある片頭痛の人などは飲めない
参考文献
- Centers for Disease Control and Prevention. Contraception(避妊法ごとの典型的な使用での失敗率。出典:Contraceptive Technology 22nd ed., 2023). https://www.cdc.gov/contraception/about/index.html (閲覧日:2026年9月26日)
- Centers for Disease Control and Prevention. U.S. Selected Practice Recommendations for Contraceptive Use, 2024: Combined Hormonal Contraceptives. https://www.cdc.gov/contraception/hcp/usspr/combined-hormonal-contraceptives.html (閲覧日:2026年9月26日)
- Centers for Disease Control and Prevention. U.S. Medical Eligibility Criteria for Contraceptive Use, 2024: Combined Hormonal Contraceptives. https://www.cdc.gov/contraception/hcp/usmec/combined-hormonal-contraceptives.html (閲覧日:2026年9月26日)
- European Medicines Agency. PRAC confirms that benefits of all combined hormonal contraceptives (CHCs) continue to outweigh risks(2013年10月11日). https://www.ema.europa.eu/en/news/prac-confirms-benefits-all-combined-hormonal-contraceptives-chcs-continue-outweigh-risks (閲覧日:2026年9月26日)
- de Bastos M, et al. Combined oral contraceptives: venous thrombosis. Cochrane Database Syst Rev. 2014;(3):CD010813. https://doi.org/10.1002/14651858.CD010813.pub2 (閲覧日:2026年9月26日)
- Gallo MF, et al. 20 µg versus >20 µg estrogen combined oral contraceptives for contraception. Cochrane Database Syst Rev. 2013;(8):CD003989. https://doi.org/10.1002/14651858.CD003989.pub5 (閲覧日:2026年9月26日)
- Arowojolu AO, et al. Combined oral contraceptive pills for treatment of acne. Cochrane Database Syst Rev. 2012;(7):CD004425. https://doi.org/10.1002/14651858.CD004425.pub6 (閲覧日:2026年9月26日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。