
メル美毎日飲まなくていい避妊の方法もあるって聞いたんだけど…。
こんにちは、Dr. Taro です。 ピルは毎日飲む必要がありますが、「飲み忘れが心配」「毎日飲むのは面倒」という人もいますよね。今回は、一度入れると数年間効き続ける避妊法、IUDと皮下インプラントについてお話しします。
長く効く避妊法
IUDと皮下インプラントは、一度入れると数年間、避妊の効果が続く方法です。
- 毎日飲む必要がないので、飲み忘れの心配がありません
- そのため、ふつうの使い方でも妊娠する人がとても少ないのが特徴です
- やめたくなったら、取り出せば、妊娠できる状態にもどります
米国CDCによると、ふつうの使い方をした場合に、1年間で妊娠する人の割合は次のとおりです。
| 避妊法 | 1年間で妊娠する人の割合 |
|---|---|
| 皮下インプラント | 0.1% |
| 黄体ホルモンを出すIUD | 0.1〜0.4% |
| 銅付加IUD | 0.8% |
| (参考)低用量ピル | 7% |
| (参考)男性用コンドーム | 13% |
IUD(子宮内避妊具)
IUDは、子宮の中に入れる小さな器具です。主に2種類あります。
黄体ホルモンを出すIUD
子宮の中で、黄体ホルモン(レボノルゲストレル)を少しずつ出し続けるIUDです。
- 日本で承認されていて、最長5年間使えます(日本の添付文書)
- 子宮内膜が薄くなるため、生理の量が減り、生理痛が軽くなります。約2割の人は、生理がこなくなります
- 使い始めのころは、不正出血(予定外の少量の出血)がおこりやすくなります
- 過多月経(生理の量が多い)や月経困難症(ひどい生理痛)の治療に使う場合は、保険が使えます。避妊だけが目的の場合は、自費になります
銅付加IUD
銅のついたIUDで、ホルモンは出しません。
- ホルモンを使いたくない人に向いています
- 生理の量が増えたり、生理痛が強くなったりすることがあります
- アフターピルの代わりに、緊急避妊として使われることもあります
- 使える期間は、製品によって決められています
IUDの注意点
日本の添付文書では、次のような点に注意が必要とされています。
- 自然に抜けてしまう(脱出)ことがあります
- ごくまれに、入れるときに子宮に穴があく(穿孔)ことがあります
- 骨盤内の感染症(骨盤内炎症性疾患)のリスクがあります
- IUDを入れている間に妊娠した場合は、子宮外妊娠のことが多いとされています
皮下インプラント
マッチ棒くらいの細い棒を、腕の内側の皮膚の下に入れる方法です。棒から黄体ホルモン(エトノゲストレル)が少しずつ出て、排卵をおさえます。
- 3年間効果が続きます(英国の承認)
- 入れるのも取り出すのも、局所麻酔をして行います
- いちばん多い副作用は、出血のパターンの変化です。生理がこなくなる人もいれば、出血が長引く・多くなる人もいて、予測が難しいとされています
- 取り出すと、すぐに妊娠できる状態にもどります
- 日本では未承認です。使う場合は、医療機関が海外から取り寄せたものになり、自費になります
性感染症は防げない
IUDも皮下インプラントも、妊娠を防ぐ方法で、性感染症は防げません。性感染症の予防にはコンドームが必要です。
IUDを入れる前の性感染症
IUDは子宮の中に入れるので、性感染症との関係に気をつける必要があります。
- 米国CDCの基準では、クラミジアや淋菌に感染しているとき、子宮頸管炎や骨盤内炎症性疾患があるときは、IUDを新しく入れるべきではないとされています。まず治療が必要です
- IUDを入れたあとに、クラミジアや淋菌が見つかった場合は、抗菌薬で治療します。IUDはふつう、抜く必要はありません
- 細菌性腟症やトリコモナスがあっても、IUDは使えるとされています(米国CDC)
このサイトでは、IUDを入れる前に、性感染症の検査を受けておくことをおすすめします。検査については、性感染症の検査のページをご覧ください。
IUDを考えている人は、クラミジアや淋菌がないか、先に検査しておくと安心です。
どこで相談できる?
IUDや皮下インプラントを入れたり取り出したりするのは、婦人科などで行います。黄体ホルモンを出すIUDは、日本の添付文書で、講習を受けた医師が入れることとされています。
黄体ホルモンを出すIUDを入れたあとの出血や、抜けたときのことは、黄体ホルモンを出す子宮内システム(IUS)の悩みにまとめています。
まとめ
- IUDと皮下インプラントは、一度入れると数年間効く避妊法。飲み忘れがなく、妊娠する人がとても少ない
- 黄体ホルモンを出すIUDは、日本で承認され、最長5年。生理の量が減り、生理痛も軽くなる。治療目的なら保険、避妊目的なら自費
- 銅付加IUDはホルモンを使わない。生理の量や痛みが増えることがある
- 皮下インプラントは腕に入れて3年。日本では未承認
- 性感染症は防げない。コンドームと組み合わせよう。IUDを入れる前に性感染症の検査を
参考文献
- Centers for Disease Control and Prevention. Contraception(避妊法ごとの典型的な使用での失敗率。出典:Contraceptive Technology 22nd ed., 2023). https://www.cdc.gov/contraception/about/index.html (閲覧日:2026年9月26日)
- Centers for Disease Control and Prevention. U.S. Medical Eligibility Criteria for Contraceptive Use, 2024: Intrauterine Devices. https://www.cdc.gov/contraception/hcp/usmec/intrauterine-devices.html (閲覧日:2026年9月26日)
- レボノルゲストレル放出子宮内システム 52mg 添付文書(KEGG MEDICUS). https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00052815 (閲覧日:2026年9月26日)
- Faculty of Sexual & Reproductive Healthcare(英国). FSRH Clinical Guideline: Progestogen-only Implant(2021年2月、2023年7月改訂). https://www.cosrh.org/Public/Public/Documents/clinical-guidance-progestogen-only-implants.aspx (閲覧日:2026年9月26日)
- U.S. Food and Drug Administration. Etonogestrel implant 添付文書(Prescribing Information). https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2015/021529s011lbl.pdf (閲覧日:2026年9月26日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。