クラミジアってどんな病気?症状・検査・治療をやさしく解説
日本でいちばん多い性感染症、クラミジア。症状が出にくい理由、検査のタイミング、治療とパートナーのことをまとめました。
目次

プレ男クラミジアって、よく聞くけど、どんな病気なの?

メル美症状がなくてもかかってることがあるって、ほんと?
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、性感染症のなかでも「いちばん身近」と言っていいクラミジアのお話です。
クラミジアってどんな病気?
クラミジア(性器クラミジア感染症)は、クラミジア・トラコマチスという細菌による性感染症です。せきでうつる「肺炎クラミジア」など、ほかの「クラミジア」とのちがいは、クラミジアは3種類の記事にまとめています。 日本で最も多い性感染症とされています。
世界に目を向けると、WHO の推計では2020年に15〜49歳で約1億2,900万人が新たにクラミジアに感染しています。
日本ではどのくらいの人がかかっているの?
国の統計は「ほんの一部」しか数えていない
クラミジアは、国の統計(感染症発生動向調査)では「定点把握」の病気です。 全国すべての医療機関ではなく、あらかじめ決められた約1,000か所の泌尿器科・産婦人科など(性感染症定点)だけが、患者さんの数を報告するしくみです。
2024年の報告数は29,806人(男性14,851人、女性14,955人、定点981か所)でした。 でも、クラミジアは街のクリニックなどで診断・治療されることがほとんど。定点以外で見つかった人は数に入らないので、この数字は実際の患者数を表していません。 定点の数はほぼ一定なので、増えているか・減っているかの「傾向」を見るための数字、と考えてください。
実態に近いのは「妊婦さんの検査」
では、実際にはどのくらいの人がかかっているのでしょうか。 ヒントになるのが、妊婦健診でのクラミジア検査です。妊婦健診では、症状のない人も含めて広く検査が行われるため、「症状がないまま感染している人」がどのくらいいるかが見えてきます。
- 日本産婦人科医会の全国調査(2013年10月〜2014年3月、PCR 検査を受けた妊婦 250,571人)では、陽性率は 2.3%
- 全国規模の出生コホート研究「エコチル調査」(2011〜2014年、妊婦 26,385人)では、陽性率は 4.5%
つまり、妊婦さんのおよそ2〜5%が、症状がないままクラミジアに感染していた、ということです。
さらに、年齢別に見ると若い人ほど高く、医会の調査(PCR 検査)では次のとおりでした。
数値を表で見る
| 年齢 | 陽性率 |
|---|---|
| 19歳以下 | 15.9% |
| 20〜24歳 | 7.5% |
| 25〜29歳 | 2.3% |
| 30〜34歳 | 1.2% |
| 35〜39歳 | 0.8% |
| 40歳以上 | 1.0% |
10代の妊婦さんでは、およそ6人に1人。これが、クラミジアが「身近な病気」と言われる理由です。 ※妊婦さんを対象にした調査なので、すべての人に当てはまるわけではありません。また、どちらの調査も10年以上前のものです。
どうやってうつるの?
主な感染経路は性的な接触です。 腟性交だけでなく、オーラルセックスでのどに感染することもあります。 また、妊娠中に感染していると、出産のときに赤ちゃんにうつる(母子感染)ことがあります。
症状は?—「気づかない」のがいちばんの特徴
感染してから症状が出るまで(潜伏期間)は、1〜3週間程度とされています。
男性
- おしっこのときの軽い痛み、尿道のかゆみや不快感
- 尿道から膿(うみ)が出る
- 精巣のあたりが腫れる、熱が出る(精巣上体炎)
ただし、男性の約半数は症状がありません。
女性
- 症状をほとんど自覚しないことが多い
- 進むと、不正出血やセックスのときの痛みが出ることも
「症状がない=感染していない」ではない、というのがクラミジアのやっかいなところです。気づかないまま、パートナーにうつしてしまうこともあります。
放っておくとどうなる?
クラミジアは治療で治せる病気です。でも、放っておくと次のようなことが起こることがあります。
- 女性:感染が子宮の奥やおなかの中に広がる(骨盤内炎症性疾患)、不妊、子宮外妊娠、流産・早産の原因になることがある
- 男性:精巣上体炎、不妊の原因になることがある
- 関節:感染のあとに関節が痛み腫れる反応性関節炎が起こることがある
- 赤ちゃん:妊娠中に感染していると、生まれた赤ちゃんが肺炎や結膜炎になることがある(赤ちゃんにうつるクラミジア・淋菌)
「今つらくないから大丈夫」ではなく、早めに見つけて治すことが大切です。
検査はどうやるの?
検査は、尿やぬぐい液を使って調べます。
- 性器の検査:男性は主に尿、女性は腟のぬぐい液(おりもの)や尿で調べます
- のどの検査:オーラルセックスに心当たりがあれば、のどのぬぐい液などで調べます
いつ検査すればいいかは、行為から1週間程度が目安です。 タイミングは性行為後にやるべきことチェッカーでも確認できます。
治療は?
クラミジアは抗菌薬(飲み薬)で治療します。よく使われるのは次の2つです。
- アジスロマイシン:1回飲むだけのタイプ
- ドキシサイクリン:1日2回、7日間飲み続けるタイプ
どちらを使うかは、医師が状況に合わせて決めます。妊娠中の人は、赤ちゃんへの影響も考えて薬を選びます(米国CDCは妊娠中はアジスロマイシンをすすめています)。 7日間飲むタイプの場合は、症状がよくなっても処方された分を最後まで飲み切りましょう。
治療で大事なポイントは3つです。
- パートナーも一緒に検査・治療する 自分だけ治しても、パートナーが感染したままだと、またうつし合ってしまいます(いわゆる「ピンポン感染」)。
- 治療が終わるまでセックスはお休み 1回飲むだけの薬なら飲んでから7日間、7日間飲む薬なら飲み終わるまでが目安です(米国CDC)。
- 治療から3週間後に、治ったかを確認する検査を受ける 治療してすぐに検査すると、死んだ菌の遺伝子にも反応して「陽性」と出ることがあるため、少し時間をおいてから確認します。 また、クラミジアは治ったあとにまたかかる(再感染)ことも多い病気です。米国CDCは、治療した人は約3か月後にもう一度検査を受けることをすすめています。
パートナーに伝えるのが気まずい…
わかります。すごく気まずいですよね。 でも、クラミジアは症状が出にくいので、いつ、誰からうつったのかは分からないことが多いんです。 だから「浮気したでしょ!」ではなく、「検査で見つかったから、一緒に調べて治そう」でOK。伝え方の例文は、パートナーにどう伝える?にまとめています。

メル美性病になるより、修羅場になる方がヤバい!

プレ男責め合うより、2人で一緒に治すのがいちばんの近道です。
予防するには
- コンドームを正しく使う(オーラルセックスのときも)
- パートナーが変わったとき、気になることがあったときは検査を受ける
- 妊娠を考えている人、妊娠中の人は、早めの検査と治療が大切です
Doxy-PEP(ドキシサイクリンによる予防内服)という方法も
最近、Doxy-PEP(ドキシペップ)という予防法も出てきました。 コンドームなしの性行為のあと72時間以内に抗菌薬のドキシサイクリンを飲んで、クラミジア・淋菌・梅毒の感染を減らすことをねらう方法です。
- 米国CDCは2024年に、男性と性行為をする男性やトランスジェンダー女性で、過去1年にクラミジア・淋菌・梅毒にかかったことがある人を対象とした指針を出しています。それ以外の人での効果は、十分に確かめられていません。
- 日本ではこの目的での使用は承認されていない使い方(適応外)のため、保険は使えず自費診療になります。
- 副作用や、薬が効きにくい菌(耐性菌)が増える心配もあります。HIVなどは予防できません。
使うかどうかは、自己判断で飲まずに、性感染症を扱う医療機関で医師に相談してください。
くわしくは、Doxy-PEPのページをご覧ください。
治療のあとの検査でまた陽性になったときのことは、クラミジアの薬を飲んだのに、治療後の検査でまた陽性にまとめています。
まとめ
- クラミジアは日本でいちばん多い性感染症
- 国の統計は一部の医療機関の数だけ。妊婦さんの検査では約2〜5%、10代の妊婦さんでは約6人に1人が陽性
- 男性の約半数、女性の多くは症状がない
- 放っておくと不妊などの原因になることがある
- 検査は尿やぬぐい液で調べる
- 抗菌薬で治せる。パートナーと一緒に治すのがポイント。治療3週間後に治ったかを確認
参考文献
- 厚生労働省. 性器クラミジア感染症. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/chlamydia-std.html (閲覧日:2026年9月24日)
- 国立健康危機管理研究機構. 性器クラミジア感染症. https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/chlamydia-std/index.html (閲覧日:2026年9月24日)
- 国立健康危機管理研究機構. 性器クラミジア感染症(詳細版). https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/chlamydia-std/detail/index.html (閲覧日:2026年9月24日)※ページに「更新作業中のため一部に古い情報が含まれる場合がある」との注記あり
- 厚生労働省. 性感染症報告数(性別にみた性感染症報告数の年次推移、2004年〜2024年). https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/seikansenshou/houkokusuu.html (閲覧日:2026年9月24日)
- 公益社団法人日本産婦人科医会. 妊娠中のクラミジア感染に関する実態調査結果の報告. http://www.jaog.or.jp/wp/wp-content/uploads/2017/01/chlamydia.pdf (閲覧日:2026年9月24日)
- Yasuda S, et al. Association of Chlamydia trachomatis infection with pregnancy outcomes among Japanese pregnant women: The Japan environment and children’s study. PLoS One. 2022;17(11):e0275573. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9707779/ (閲覧日:2026年9月24日)
- Centers for Disease Control and Prevention. Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines, 2021: Chlamydial Infections. https://www.cdc.gov/std/treatment-guidelines/chlamydia.htm (閲覧日:2026年9月24日)
- Bachmann LH, et al. CDC Clinical Guidelines on the Use of Doxycycline Postexposure Prophylaxis for Bacterial Sexually Transmitted Infection Prevention, United States, 2024. MMWR Recomm Rep 2024;73(No. RR-2). https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/73/rr/rr7302a1.htm (閲覧日:2026年9月24日)
- World Health Organization. Sexually transmitted infections (STIs) — Fact sheet(2025年9月10日更新). https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/sexually-transmitted-infections-(stis) (閲覧日:2026年9月24日)
- 日本性感染症学会(編). 性感染症 診断・治療ガイドライン2026. 診断と治療社, 2025年12月18日発行.
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
