予防2026年9月25日

Doxy-PEP(ドキシペップ)とは?性行為のあとに飲んで梅毒・クラミジア・淋菌を減らす予防法の効果と注意点

コンドームなしの性行為のあと72時間以内に抗菌薬のドキシサイクリンを飲んで、梅毒・クラミジア・淋菌を減らすDoxy-PEP。効果が確かめられている人、女性での効果、耐性菌の心配、飲み方の注意までまとめました。

目次
  1. Doxy-PEPってなに?
  2. どのくらい効くの?
  3. どんな人が対象?
  4. 知っておいてほしい心配な点
  5. 使うなら、検査とセットで
  6. まとめ

プレ男性行為のあとに飲んで、梅毒やクラミジアを防ぐ薬があるって本当?

こんにちは、Dr. Taro です。 最近話題のDoxy-PEP(ドキシペップ)。「性行為のあとに飲むだけで性病が防げる薬」と聞いて、気になっている人も多いと思います。今回は、Doxy-PEPの効果と、知っておいてほしい注意点をお話しします。

Doxy-PEPってなに?

Doxy-PEPは、コンドームなしの性行為のあと72時間以内に、抗菌薬のドキシサイクリンを飲んで、梅毒・クラミジア・淋菌の感染を減らすことをねらう予防法です。

HIVやヘルペス、HPVなど、ウイルスによる性感染症は防げません。HIVの予防は、PrEPやPEPをご覧ください。

どのくらい効くの?

Doxy-PEPで減った感染(男性どうし・トランスジェンダー女性、米国の試験、HIV PrEP中の人):クラミジア約88%減、梅毒約87%減、淋菌約55%減。女性(ケニアの試験)では効果は示されなかった。日本の淋菌は同じ系統の薬が効きにくいものが多く、淋菌への効果は限られる可能性

男性どうし・トランスジェンダー女性では、効果が確かめられている

米国で行われた試験(DoxyPEP試験)では、男性と性行為をする男性(MSM)とトランスジェンダー女性で、Doxy-PEPを使った人は、使わなかった人に比べて、次のように感染が減りました(HIVのPrEPを使っている人の結果)。

フランスの試験でも、クラミジアと梅毒は大きく減り、淋菌の減り方はそれより小さい結果でした。

女性では、効果が示されていない

一方、ケニアの女性(シスジェンダー女性)を対象にした試験では、効果は示されませんでした。ただし、髪の毛を調べると、薬が検出されたのは約3割の人だけで、きちんと飲めていなかったことが原因の可能性も指摘されています。女性で本当に効果がないのかは、まだ分かっていません。

日本の淋菌には、効きにくい可能性

日本の淋菌は、ドキシサイクリンと同じ系統(テトラサイクリン系)の薬が効きにくいものが多く、Doxy-PEPによる淋菌の予防効果は限られる可能性があります。くわしくは淋菌の記事をご覧ください。

どんな人が対象?

日本の「Doxy-PEPの手引き」(2024年、厚生労働科学研究班)では、次のように分けています。

強くすすめられる人

効果の根拠が不十分な人

手引きでは、セックスワークをしている人など、自分で予防の方法を選びにくい人にとっては、性感染症のリスクがとても高く、切実なニーズがあることにも触れています。こうした人に使う場合は、根拠が不十分なことや副作用を理解したうえで、医師とよく相談して決めることとされています。

米国CDC(2024年)とWHO(2026年)も、Doxy-PEPをすすめる対象を、男性と性行為をする男性とトランスジェンダー女性としています。

このサイトでは、性風俗で働く女性でも、根拠が不十分なことや心配な点を理解したうえで希望があれば、Doxy-PEPを使うことはできると考えています。

知っておいてほしい心配な点

薬が効かない菌(耐性菌)が増えるおそれ

Doxy-PEPでいちばん心配されているのが、耐性菌です。

副作用

飲むときの注意

ピル(経口避妊薬)を飲んでいる人は

ドキシサイクリンの添付文書には、ピルの効果を弱めるおそれがあると書かれています。これは、抗菌薬が腸内細菌を変化させ、ピルのホルモンの吸収に影響するのではないか、という以前の考え方にもとづくものです。 一方で、米国CDCの避妊のガイドライン(2024年)は、ほとんどの抗菌薬は、ピルの避妊効果に影響しないとしており、現時点で、ドキシサイクリンでピルの効果が落ちるという根拠はありません。 低用量ピルについては、低用量ピルのページもご覧ください。 心配な場合は、医師に相談しましょう。コンドームを併用すれば、避妊と性感染症の予防の両方に役立ちます。

Doxy-PEPは「飲めば安心」の薬ではありません。自己判断で飲まずに、性感染症を扱う医療機関で医師に相談してください。

使うなら、検査とセットで

Doxy-PEPは、定期的な性感染症の検査とセットで使うことが大切です。

まとめ


参考文献

  1. 谷口俊文ほか(令和5〜7年度厚生労働科学研究費補助金 エイズ対策政策研究事業 研究班). 日本におけるドキシサイクリンによる性感染症予防(Doxy-PEP)の手引き 第1版(2024年11月1日). https://shclinic.jihs.go.jp/pdf/Doxy-PEP_PrEP_tebiki_ver1.pdf (閲覧日:2026年9月25日)
  2. Luetkemeyer AF, et al. Postexposure Doxycycline to Prevent Bacterial Sexually Transmitted Infections. N Engl J Med. 2023;388:1296-1306. https://doi.org/10.1056/NEJMoa2211934 (閲覧日:2026年9月25日)
  3. Bachmann LH, et al. CDC Clinical Guidelines on the Use of Doxycycline Postexposure Prophylaxis for Bacterial Sexually Transmitted Infection Prevention, United States, 2024. MMWR Recomm Rep. 2024;73(No. RR-2). https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/73/rr/rr7302a1.htm (閲覧日:2026年9月25日)
  4. Stewart J, et al. Doxycycline Prophylaxis to Prevent Sexually Transmitted Infections in Women. N Engl J Med. 2023;389:2331-2340. https://doi.org/10.1056/NEJMoa2304007 (閲覧日:2026年9月25日)
  5. 日本WHO協会. WHO、ドキシサイクリンによる性感染症の曝露後予防に関する初の勧告(2026年6月1日). https://japan-who.or.jp/news-releases/2606-4/ (閲覧日:2026年9月25日)
  6. ドキシサイクリン塩酸塩水和物錠 添付文書(KEGG MEDICUS). https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00054327 (閲覧日:2026年9月25日)
  7. Centers for Disease Control and Prevention. U.S. Medical Eligibility Criteria for Contraceptive Use, 2024: Combined Hormonal Contraceptives. https://www.cdc.gov/contraception/hcp/usmec/combined-hormonal-contraceptives.html (閲覧日:2026年9月25日)

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。