予防2026年9月25日

PEP(HIVの曝露後予防)とは?コンドームが破れた・HIVが心配なときは72時間以内に

HIVに感染したかもしれない行為のあと、72時間以内に抗HIV薬を飲み始めて感染を防ぐPEP。いつまでに、どこで、どのくらい飲むのか、そのあとの検査、同じ時間内にできるほかの対策をまとめました。

目次
  1. PEPってなに?
  2. どんなときに考える?
  3. PEPの流れ
  4. 同じ時間内に考えたい、ほかの対策
  5. 72時間を過ぎてしまったら
  6. PEPをくり返し使うかもしれない人は
  7. まとめ
いま不安な人へ:HIVに感染したかもしれない行為から72時間以内なら、すぐに医療機関に相談してください。
PEPは、早く始めるほどよく(できれば24時間以内)、72時間を過ぎると使えません。PEPを扱う医療機関は限られるため、受診の前に、対応しているかを問い合わせてみましょう。

メル美コンドームが破れちゃった…。HIVが心配なとき、できることはあるの?

こんにちは、Dr. Taro です。 「コンドームが破れた」「相手がHIVに感染しているかもしれない」——そんなときに知っておいてほしいのがPEP(ペップ、曝露後予防)です。

PEPってなに?

PEPは、HIVに感染したかもしれない行為のあと、72時間以内に抗HIV薬を飲み始めて、感染するリスクを下げる方法です。

どんなときに考える?

PEPを考えるのは、次のような場合です。

行為によって、リスクは大きく違う

米国CDCは、HIV陽性の人との1回の行為で感染する確率を、次のように推計しています(1万回あたり)。

行為 1万回あたり
受け側のアナルセックス 138回
注射針の共用 63回
挿入側のアナルセックス 11回
受け側の腟性交 8回
挿入側の腟性交 4回
オーラルセックス 低い

性感染症にかかっていると、リスクは2倍以上になるとされています。

相手がHIV陽性でも、ウイルスが検出されない場合は

相手がHIV陽性でも、治療によってウイルスが検出されない状態が続いていれば、性行為でうつらないことが分かっています(U=U:Undetectable=Untransmittable、検出されなければ、うつらない)。 この場合、PEPは必要ありません。継続的に関係を持つ場合は、PrEPを使うことも考えられます。

PEPの流れ

  1. 受診:行為から72時間以内に、PEPを扱う医療機関を受診します
  2. 飲む前の検査:血液検査で、いまの時点でHIVやB型肝炎に感染していないか、薬を飲んで大丈夫か(腎臓の働きが落ちていないか)を確かめます。ほかの性感染症が心配なら、その検査もできますが、行為から間もないため、まだ検査で見つからない時期(ウインドウピリオド)であることが多い点に注意が必要です
  3. 28日間、毎日飲む:飲み忘れないことが大切です。吐き気などの副作用が出ることがありますが、多くは軽いものです
  4. 飲み終わったあとの検査:HIVの検査を、行為から4〜6週間後と12週間後に受けます(米国CDC)

費用は?

性行為のあとのPEPは、日本では承認されていない使い方(適応外)のため、自費になります。医療従事者の針刺し事故などによるPEPは、労災保険の対象になります。

どこで受けられる?

PEPを扱っている医療機関は、限られています。また、医療機関によって、対応しているかどうか、使う薬、費用が大きく異なります。受診の前に、PEPに対応しているか、費用はどのくらいかを問い合わせてみましょう(医療機関のウェブサイトで案内していることもあります)。

PEPは時間との勝負です。「72時間以内」を過ぎると使えないので、心当たりがあれば迷わず、すぐに相談してください。

同じ時間内に考えたい、ほかの対策

性行為のあとに、時間内に行うことで効果が期待できる対策は、HIVのPEPだけではありません。

性行為のあと、時間との勝負:HIVのPEPは72時間以内(できれば24時間以内)、緊急避妊薬は72時間以内(早いほどよい)、Doxy-PEPは72時間以内、B型肝炎(免疫グロブリン)は7日以内(できれば48時間以内)

72時間を過ぎてしまったら

PEPは使えませんが、検査を受けることはできます。HIVの検査は、行為から4週間後(28日後)以降が目安で、3か月後(90日後)にもう一度受けると、陰性をしっかり確認できます。 ほかの性感染症も含めて、性行為後にやるべきことチェッカーで検査の目安の日を確認できます。

PEPをくり返し使うかもしれない人は

HIVに感染する可能性がある行為が、これからも続きそうな人は、PEPからPrEP(曝露前予防)に切り替えることも考えられます(米国CDC)。PrEPは、前もって薬を飲んで予防する方法です。くわしくは PrEPのページをご覧ください。

医療・介護の現場での針刺し事故のときのことは、針刺し事故でHIVが心配なときにまとめています。

まとめ


参考文献

  1. Tanner MR, et al. Antiretroviral Postexposure Prophylaxis After Sexual, Injection Drug Use, or Other Nonoccupational Exposure to HIV — CDC Recommendations, United States, 2025. MMWR Recomm Rep. 2025;74(No. RR-1). https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12064164/ (閲覧日:2026年9月25日)
  2. 国立健康危機管理研究機構 エイズ治療・研究開発センター. 抗HIV薬の曝露後予防内服(PEP)(2022年11月29日更新). https://www.acc.jihs.go.jp/general/pep_jpn.html (閲覧日:2026年9月25日)
  3. Centers for Disease Control and Prevention. HIV Risk Behaviors(Estimated per-act probability of acquiring HIV). https://www.cdc.gov/hiv/risk/estimates/riskbehaviors.html (閲覧日:2026年9月25日)
  4. 厚生労働省 医薬局 医薬品審査管理課. 緊急避妊薬のスイッチOTC化について(審査等)(令和7年8月). https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/001552335.pdf (閲覧日:2026年9月25日)
  5. Centers for Disease Control and Prevention. CDC Clinical Guidelines on the Use of Doxycycline Postexposure Prophylaxis for Bacterial Sexually Transmitted Infection Prevention, United States, 2024. MMWR Recomm Rep. 2024;73(No. RR-2). https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/73/rr/rr7302a1.htm (閲覧日:2026年9月25日)

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。