病気の解説2026年9月24日

HIVってどんな病気?検査・治療・予防(PrEP・PEP)をやさしく解説

HIVは「治療できる」時代に。早く見つける大切さと、飲んで予防するPrEP、もしものときのPEPについてまとめました。

目次
  1. HIVとエイズはちがう
  2. 日本の今
  3. どうやってうつるの?
  4. 症状と経過
  5. 検査はどうやるの?
  6. 治療は?—「毎日の薬」でふつうに暮らせる
  7. 予防するには
  8. パートナーにも検査を
  9. まとめ

プレ男HIVって、今はどんな病気なんだろう。検査は受けたほうがいいのかな。

メル美治療や予防の方法も、ちゃんと知っておきたいよね。

こんにちは、Dr. Taro です。 今回は HIV(エイチアイブイ)のお話です。「怖い病気」というイメージが強いかもしれませんが、今は治療で、HIVを持っていない人と変わらないくらいの寿命が期待できる時代です。そして、飲み薬で予防する方法(PrEP)も、日本で承認されました。

HIVとエイズはちがう

つまり、HIVに感染しても、早く見つけて治療すればエイズは防げるのです。

日本の今

2025年に新しく報告されたのは、HIV感染者624件、エイズ患者266件、合わせて890件でした(過去20年間で2番目に少ない数)。 報告の94.8%が男性で、感染経路は同性間の性的接触が半数以上です。

気になるのは、新しく報告された人のうち29.9%(約3割)が、エイズを発症してからHIVに感染していたと分かった、ということ。前の年(33.4%)より少し下がりましたが、依然として約3割で推移しています。

2025年の新規報告890件のうち、HIV感染者624件、エイズ患者266件(29.9%)。約3割はエイズを発症してから見つかっている

エイズを発症してから見つかると、それより前に見つけて治療を始めた場合より、治療の効果が明らかに劣ってしまいます。だからこそ、症状がないうちの検査が大切なんです。

どうやってうつるの?

HIVは、血液・精液・腟分泌液・母乳などに多く含まれ、粘膜(腸・腟・口の中など)や、血管に達するような傷から入って感染します。主な感染経路は3つです。

一方で、唾液・涙・尿には、ほかの人に感染させるだけのウイルスは含まれていません。また、傷のない皮膚からは感染しません。握手やふつうの生活でうつることはない、ということです。

症状と経過

治療しなかった場合、HIV感染症は次のように進みます。

HIVの経過:感染後2〜4週間で急性期(発熱・のどの痛み・発疹・リンパ節の腫れ)、その後数年〜十数年は症状のない時期、治療しないとエイズを発症。症状のない時期に見つけて治療すればエイズを防げる

  1. 急性期(感染から2〜4週間ほど):発熱、のどの痛み、発疹、リンパ節の腫れなど、かぜやインフルエンザのような症状が出ることがあります
  2. 症状のない時期(数年〜十数年):症状はほとんどありませんが、免疫の細胞(CD4陽性リンパ球)がだんだん減っていきます
  3. エイズ発症:免疫が弱くなり、エイズ指標疾患を発症します。エイズを発症して治療しない場合、その後の見通しは2〜3年とされています

検査はどうやるの?

HIVは血液検査で調べます。 全国の保健所などで、無料・匿名で検査を受けられます。その日のうちに結果が分かる「即日検査」をしているところもあります。

タイミングは性行為後にやるべきことチェッカーでも確認できます。

治療は?—「毎日の薬」でふつうに暮らせる

HIVを体から完全に消す治療法は、まだありません。 でも、抗HIV薬でウイルスが増えるのを抑えれば、エイズの発症を防ぎ、長いあいだ健康なときと変わらない生活を送ることができます。HIVを持っていない人と変わらないくらいの寿命が期待できるとされています。

治療でウイルスが抑えられていれば、うつらない(U=U)

治療を続けて血液中のウイルスが検出できないくらい少なくなっている人は、性行為でパートナーにHIVをうつさないことが分かっています。これを「U=U(Undetectable = Untransmittable:検出限界未満なら、感染しない)」といいます。 早く見つけて治療することは、自分の健康だけでなく、大切な人を守ることにもつながるのです。

予防するには

梅毒・淋菌・クラミジアなど、ほかの性感染症にかかっているとHIVにうつりやすくなります。くわしくはほかの性感染症があると、HIVにうつりやすいの記事を見てください。

PrEPとPEPのちがい:PrEPは行為の前から毎日1回飲む予防薬で日本で承認済み、飲む前と飲んでいる間は3か月ごとにHIV検査。PEPは行為から72時間以内に飲み始め28日間続ける緊急の予防で、性行為後のPEPは日本では未承認・自費

PrEP(曝露前予防):前もって飲んで防ぐ

HIVに感染するリスクがある人が、前もって抗HIV薬を飲んでおくことで感染を防ぐ方法です。

オンデマンドPrEP(性行為の前後だけ飲む方法)について

毎日ではなく、性行為の前後だけ飲む「オンデマンドPrEP」という方法もあります。

このサイトでは、効果の裏付けがいちばんしっかりしている「毎日飲む方法」をおすすめしています。飲み方は、自分の生活に合わせて医師とよく相談して決めてください。

実際に処方されているPrEPの薬について

日本の医療機関でのPrEPは、価格の理由から、医療機関が海外から輸入した薬(エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミドなど)を毎日飲む形で処方されていることが多いのが実情です。

PrEPはHIVを防ぐ薬で、ほかの性感染症(梅毒・クラミジア・淋菌など)は防げません。コンドームとの組み合わせや、定期的な性感染症の検査も大切です。

PrEPについて、くわしくは PrEPのページをご覧ください。

PEP(曝露後予防):もしものときの緊急の予防

コンドームなしの性行為など、HIVに感染したかもしれない行為のあと、72時間以内に抗HIV薬を飲み始めて、感染するリスクを下げる方法です。

くわしくは、PEPのページをご覧ください。

PEPは時間との勝負です。 「72時間以内」を過ぎると使えないので、心当たりがあれば迷わず、すぐに相談してください。

Doxy-PEP ではHIVは防げない

最近話題の Doxy-PEP(ドキシサイクリンによる予防内服)は、梅毒・クラミジア・淋菌を減らすことをねらう方法です。HIVは予防できません。

パートナーにも検査を

HIVに感染していることがわかったら、パートナーにも検査をすすめることがとても大切です。 パートナーが感染していた場合も、早く見つかれば早く治療を始められ、エイズの発症を防ぐことができます。

また、治療を続けてウイルスが抑えられていれば、パートナーにうつすことはありません(U=U)。 誰にどう伝えるか悩んだときは、ひとりで抱え込まず、治療を受けている医療機関や保健所に相談してください。

仕事への影響が心配な人は、HIVと仕事の記事も見てください。国のガイドラインでは、HIV感染そのものは解雇の理由にならないとされています。

まとめ


参考文献

  1. 国立健康危機管理研究機構. HIV感染症/AIDS(後天性免疫不全症候群). https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/hiv-infection-and-aids/index.html (閲覧日:2026年9月24日)
  2. 厚生労働省エイズ動向委員会. 令和7(2025)年エイズ発生動向 ―分析結果―. https://api-net.jfap.or.jp/status/japan/data/2025/nenpo/bunseki.pdf (閲覧日:2026年9月27日)
  3. 厚生労働省. HIV検査・相談マップ「HIV/エイズとは」. https://www.mhlw.go.jp/hivkensa/knowledge/whatis (閲覧日:2026年9月24日)
  4. 厚生労働省. HIV検査・相談マップ「HIV検査まめ知識」. https://www.mhlw.go.jp/hivkensa/knowledge/mame (閲覧日:2026年9月24日)
  5. World Health Organization. HIV and AIDS — Fact sheet(2026年7月27日更新). https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/hiv-aids (閲覧日:2026年9月24日)
  6. エムトリシタビン・テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩配合錠 医薬品インタビューフォーム(2024年8月改訂 第11版). https://pins.japic.or.jp/pdf/medical_interview/IF00007130.pdf (閲覧日:2026年9月24日)
  7. 国立健康危機管理研究機構 エイズ治療・研究開発センター. 抗HIV薬の曝露後予防内服(PEP)(2022年11月29日更新). https://www.acc.jihs.go.jp/general/pep_jpn.html (閲覧日:2026年9月24日)
  8. 国立健康危機管理研究機構 エイズ治療・研究開発センター. HIV感染症とその合併症「診療と治療のハンドブック」曝露前・曝露後の予防内服(oPEP/nPEP/PrEP). https://www.acc.jihs.go.jp/medics/treatment/handbook/part3/sec03.html (閲覧日:2026年9月24日)※PrEP の国内承認(2024年8月)より前の記載を含む
  9. World Health Organization. What’s the 2+1+1? Event-driven oral pre-exposure prophylaxis to prevent HIV for men who have sex with men: update to WHO’s recommendation on oral PrEP. Technical brief(2019年7月). https://apps.who.int/iris/handle/10665/325955 (閲覧日:2026年9月24日)
  10. Centers for Disease Control and Prevention. Clinical Guidance for PrEP(2026年4月30日確認). https://www.cdc.gov/hivnexus/hcp/prep/index.html (閲覧日:2026年9月24日)
  11. 厚生労働省. 医薬品等を海外から購入しようとされる方へ. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/kojinyunyu/index.html (閲覧日:2026年9月24日)

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。