病気の解説2026年9月25日

B型肝炎ってどんな病気?性行為でうつる肝炎と、ワクチンでの予防をやさしく解説

B型肝炎は、性行為でうつる肝炎です。大人の感染の7割は性的接触。症状・検査・治療と、ワクチンで防ぐ方法をまとめました。

目次
  1. B型肝炎ってどんな病気?
  2. どうやってうつるの?
  3. 症状と経過
  4. 検査はどうやるの?
  5. 治療は?
  6. 予防するには—ワクチンがある
  7. パートナーにも検査とワクチンを
  8. まとめ

プレ男B型肝炎って、性行為でうつるの?

こんにちは、Dr. Taro です。 今回は B型肝炎のお話です。「肝炎」と聞くと性感染症のイメージはないかもしれませんが、実は日本で大人がB型肝炎に感染する原因のいちばんは、性的接触です。そして、ワクチンで防げる性感染症でもあります。

B型肝炎ってどんな病気?

B型肝炎は、B型肝炎ウイルス(HBV)が肝臓に感染して、肝臓に炎症が起きる病気です。 感染した人の血液や体液(精液など)を通じてうつります。

世界では、約2億4,000万人が慢性的にB型肝炎ウイルスに感染していると推計されています。日本は感染している人の割合が低い国ですが、それでもウイルスを持っている人(キャリア)は約110万人と推定されています。

どうやってうつるの?

主な感染経路は3つです。

日本で2016〜2022年に届け出られた急性B型肝炎1,410例を見ると、感染経路の70%が性的接触でした。男性に多く(女性の約4.5倍)、男性は25〜29歳、女性は20〜24歳がいちばん多い年代です。

日本の急性B型肝炎(2016〜2022年、1,410例):感染経路の70%が性的接触。遺伝子型が分かった例の50%が、慢性化しやすいとされる遺伝子型A

増えている「遺伝子型A」

B型肝炎ウイルスには、遺伝子の型(ジェノタイプ)があり、型によって慢性化のしやすさなどがちがいます。日本にはもともと遺伝子型BとCが多く、慢性B型肝炎の人の大部分もこの2つです。

ところが1990年代から、海外から持ち込まれたと考えられる遺伝子型Aが、とくに若い世代と都市部で増えてきました。

遺伝子型Aがやっかいなのは、次の2点です。

実際に、慢性B型肝炎の人に占める遺伝子型Aの割合も、2000年の1.7%から、2005年3.4%、2010年4.1%と増えてきました(2015年は4.0%で横ばい)。 2016年から始まった赤ちゃんへのワクチンの定期接種を受けた世代が大人になる2030年代には、遺伝子型Aが減ることが期待されています。

症状と経過

感染してから症状が出るまで(潜伏期間)は、30〜180日ほど(ふつうは90日ほど)です。

大人になってから初めて感染した場合、経過はおおよそ次のとおりです。

大人でB型肝炎に初めて感染した場合の経過:70〜80%は症状がないまま治る。20〜30%は急性肝炎を発症し、そのうち約1%は劇症肝炎になり、劇症肝炎の6〜7割は亡くなる。慢性化はまれだが、遺伝子型Aは慢性化しやすい

一方、赤ちゃんや小さい子どものときに感染すると、約95%が慢性化します。慢性化すると、長い年月をかけて肝硬変や肝がんにつながることがあります。

急性B型肝炎と診断された人の約4割は、黄疸が出ていませんでした。症状がはっきりしないまま、感染に気づいていない人も多いと考えられています。

検査はどうやるの?

B型肝炎は血液検査で調べます。いま感染しているかは、主にHBs抗原という検査で分かります。 HBs抗体・HBc抗体と組み合わせた結果の読み方は、B型肝炎の血液検査の見方の記事にまとめています。

タイミングは性行為後にやるべきことチェッカーでも確認できます。

厚生労働省は、これまで肝炎ウイルス検査を受けたことがない人は、必ず一度は受けるようにすすめています。保健所や医療機関で受けられます(費用などは自治体によってちがうので、お住まいの自治体に確認してください)。

治療は?

慢性化している人は、症状がなくても、肝臓の状態を定期的に専門の医療機関でチェックすることが大切です。

予防するには—ワクチンがある

B型肝炎は、ワクチンで予防できる性感染症です。

B型肝炎ワクチン:0歳は2016年10月から定期接種。大人は任意接種で3回。抗体がつく割合は40歳までで95%、40〜60歳で90%、60歳以上で65〜70%。効果は20年以上続くと考えられている

一度抗体がついたら、追加の接種は必要?

米国の予防接種諮問委員会(ACIP)の勧告では、免疫が正常な人で、3回接種を終えて一度しっかり抗体がついた人(接種を終えて1〜2か月後の抗体〈HBs抗体〉が10 mIU/mL以上)は、あとで抗体の値が下がっても予防効果は続いているとされています。そのため、追加の接種(ブースター)は一般にはすすめられていません。

ただし、透析を受けている人や、免疫が弱くなっている人(HIVに感染している人、抗がん剤治療中の人など)は、定期的な抗体検査や追加接種が必要になることがあります。自分がどれにあてはまるかは、医師に相談してください。

性的なパートナーが多い人や、パートナーがB型肝炎ウイルスを持っている人は、ワクチンを考えてみましょう。 ワクチンについて、くわしくは B型肝炎ワクチンのページをご覧ください。

そのほか、

感染したかもしれないときは

B型肝炎ウイルスに感染したかもしれないとき、7日以内(できれば48時間以内)に「抗HBs人免疫グロブリン(HBIG)」という注射をすると、感染を防げる可能性があります。

ただ、この注射はとても高額です。そのため、主に医療従事者の針刺し事故(労災)や、B型肝炎ウイルスを持つお母さんから生まれた赤ちゃんに使われていて、性行為による感染の予防としては、現実的な選択肢とはいえません。

メル美だからこそ、前もってワクチンを打っておくのがいちばんなんだね。

パートナーにも検査とワクチンを

B型肝炎と分かったら、パートナーにも検査をすすめることが大切です。 パートナーがまだ感染していなければ、ワクチンで予防できます。感染していても、早く分かれば、適切な検査や治療につなげられます。

HIVとB型肝炎の両方に感染している場合の注意は、HIVとB型肝炎の重複感染の記事にまとめています。

B型肝炎の人にだけ重なって感染するD型肝炎については、D型肝炎にまとめています。

まとめ


参考文献

  1. 国立健康危機管理研究機構. B型肝炎. https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/hepatitis-b/index.html (閲覧日:2026年9月25日)
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  11. 日本性感染症学会(編). 性感染症 診断・治療ガイドライン2026. 診断と治療社, 2025年12月18日発行.

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。