B型肝炎と妊娠:お母さんがB型肝炎ウイルスをもっていても、生まれてすぐ(12時間以内が望ましい)の免疫グロブリンとワクチンで、赤ちゃんへの感染は90%以上防げる。妊婦健診の検査が大切
妊婦健診でB型肝炎ウイルス(HBs抗原)が陽性とわかっても、赤ちゃんへの感染は防げます。国立健康危機管理研究機構(肝炎情報センター)の資料と日本小児科学会の指針によると、生まれてすぐ(12時間以内が望ましい)にB型肝炎免疫グロブリン(HBIG)の注射とHBワクチンを始め、生後1か月・6か月にもワクチンを打つことで、90%以上の赤ちゃんで感染を防げます。生後9〜12か月に血液検査で確かめます。お母さん自身の肝臓の定期受診と、家族のワクチンも大切です。

メル美知り合いが、妊婦健診で「B型肝炎のウイルスをもっている」って言われたんだって。赤ちゃんにうつらないか心配してた。

プレ男自分では全然気づいてなかったみたい。防ぐ方法はあるのかな。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、B型肝炎と妊娠の話です。国立健康危機管理研究機構(肝炎情報センター)の資料と、日本小児科学会の指針をもとにまとめました。B型肝炎ウイルスをもっていても、自覚症状がないことは多く、妊婦健診ではじめてわかる人もいます(B型肝炎)。わかったことで、赤ちゃんを守る準備ができます。
なぜ赤ちゃんの感染を防ぐ必要がある?
肝炎情報センターの資料によると、
- HBe抗原が陽性(ウイルスの量が多いことが多い)のお母さんから生まれた赤ちゃんは、防ぐ処置をしないと、ほとんどがB型肝炎に感染します
- 感染すると、多くの赤ちゃんがウイルスをもち続ける状態(キャリア)になり、将来、慢性肝炎・肝硬変・肝臓がんになるおそれがあります
- HBe抗原が陰性のお母さんから生まれた赤ちゃんの感染率は高くありませんが、まれに乳児期に重い肝炎を起こすことがあります
- そのため、どちらの場合も感染を防ぐ処置を行います
いつ感染する?いつ防ぐ?
- 肝炎情報センターの資料によると、赤ちゃんへの感染は、お母さんの陣痛が始まったときに起こると考えられています
- そのため、生まれたあとできるだけ早く、赤ちゃんに感染を防ぐ処置をします。日本小児科学会・日本産科婦人科学会などは、生後12時間以内に始めることが望ましいとしています

プレ男生まれてすぐの処置で防げるんだ。だから妊娠中に見つけておくのが大事なんだね。
赤ちゃんへの処置
日本小児科学会の指針(出生体重2,000g以上の場合)によると、
- 生まれてすぐ(12時間以内が望ましい):B型肝炎免疫グロブリン(HBIG)の注射と、HBワクチンの注射
- 生後1か月:HBワクチン
- 生後6か月:HBワクチン
- 肝炎情報センターの資料によると、出産直後にワクチンだけを打っても感染は防げず、HBIGの注射が欠かせません
- HBIG1回とHBワクチン3回で、90%以上の赤ちゃんで感染を防げます
- 防げたかどうかは、生後9〜12か月ごろに、血液検査(HBs抗原・HBs抗体)で確かめます
- 出生体重2,000g未満の赤ちゃんは、ワクチンへの反応が弱いため、生後2か月にもワクチンを加えた計4回とする考え方が示されています
- 防げなかった場合は、小児科医(できれば肝臓の専門医)に定期的に診てもらいます
なお、お母さんがB型肝炎ウイルスをもっていない赤ちゃんも、2016年10月から、HBワクチンが定期接種になっています(B型肝炎ワクチン)。
(更新)厚生労働省の「B型肝炎ワクチン」のページ(2026年10月12日閲覧)では、「母子感染予防のためのB型肝炎ワクチン接種を含む治療を受けた方については、健康保険給付の対象となっていることから、定期接種の対象者となりません」とされています。B型肝炎ウイルスをもつお母さんから生まれた赤ちゃんの予防の処置は、定期接種ではなく健康保険で行われます。処置の具体的なスケジュールが現在の指針と同じかどうかは、この記事では確認していません。

お母さんがB型肝炎ウイルスをもっていても、生まれてすぐの免疫グロブリンとワクチンで、90%以上の赤ちゃんで感染を防げます。妊婦健診の検査は、赤ちゃんを守るための大切な一歩です。
妊婦健診での検査
- 妊婦健診では、B型肝炎ウイルス(HBs抗原)の検査が行われます(妊婦健診で調べる感染症)
- 陽性とわかったら、産婦人科と小児科が連携して、生まれてすぐの処置を準備します
お母さん自身と家族のこと
肝炎情報センターの資料によると、
- お母さんは、ウイルスをもっていても定期的な診察を受けていないことがよくあります。内科(できれば肝臓の専門医)に定期的に通いましょう(B型肝炎)
- 乳首に傷や出血があるときは、治るまで母乳をあげないようにしましょう
- お父さんやほかの同居家族がHBワクチンを受けていなければ、ワクチンを受けることが大切です(大人の任意接種は健康保険の対象外)
- 感染を防げなかった赤ちゃんと接するときは、赤ちゃんの血液や体液に素手でふれない、傷や湿疹をおおう、顔やよだれをふくタオルを共有しない、おむつのあとは手を洗うなどに気をつけます
市区町村の検診で実際にどのくらい見つかっているかは、市区町村の肝炎ウイルス検診(2024年度)を見てください。
母子感染の予防で、若い世代のB型肝炎のキャリアがへったことは、日本のB型肝炎の「キャリア」はへっているを見てください。
まとめ
- 防ぐ処置をしないと、HBe抗原陽性のお母さんの赤ちゃんのほとんどが感染し、将来の肝硬変・肝臓がんのおそれがある
- 感染は陣痛が始まったときに起こると考えられている
- 生まれてすぐ(12時間以内が望ましい)のHBIGとHBワクチン、生後1か月・6か月のワクチンで、90%以上防げる
- 生後9〜12か月に血液検査で確かめる
- お母さんは肝臓の定期受診を。家族もワクチンを
参考文献
- 国立健康危機管理研究機構 肝炎情報センター. B型肝炎の母子感染について ーお母さん・赤ちゃんに接するすべての方へー(PDF). https://www.kanen.jihs.go.jp/content/010/boshi.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
- 日本小児科学会. B型肝炎ワクチン接種時期の変更に伴う母子感染予防指針 低出生体重児等の特別な場合に対する日本小児科学会の考え方(2014年3月16日、PDF). https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/hbboshikansen.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
- 厚生労働省. B型肝炎ワクチン. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/hepatitis-b/index.html (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
