B型肝炎ワクチン—性行為でうつるB型肝炎を、ワクチンで確実に防ぐ
B型肝炎は、ワクチンで予防できる性感染症です。大人は3回接種で、若いほど抗体がつきやすく、効果は20年以上続きます。接種スケジュール、抗体がつく割合、追加接種の考え方をまとめました。

メル美B型肝炎のワクチンって、大人になってからでも打てるの?
こんにちは、Dr. Taro です。 B型肝炎は、性行為でうつる肝炎で、大人でも慢性化したり、まれに劇症肝炎になったりすることがあります。でも、B型肝炎はワクチンで予防できる性感染症です。今回は、B型肝炎ワクチンについてお話しします。
B型肝炎って?
- B型肝炎ウイルスは、血液や精液・腟分泌液などを介してうつります。日本で2016〜2022年に届け出られた急性B型肝炎では、感染経路の70%が性的接触でした
- 大人の感染では多くが自然に治りますが、劇症肝炎になって亡くなることや、慢性化しやすいタイプ(遺伝子型A)もあります
くわしくは、B型肝炎の記事をご覧ください。
B型肝炎ワクチン
- 0歳の赤ちゃん:2016年10月から、すべての赤ちゃんが対象の定期接種になっています
- 大人:任意接種です。3回接種します。1回目のあと、4週後に2回目、1回目から20〜24週後に3回目を接種します
- 抗体(免疫)がつく割合は、40歳までで95%、40〜60歳で90%、60歳以上では65〜70%と、若いほど高くなります
- 3回接種したあとの予防効果は、20年以上続くと考えられています
- 1割ほどの人は、3回接種しても抗体が十分につかないことがあり、その場合は追加の接種などを検討します
接種の前と後の検査
- 接種の前:気になる場合は、HBs抗体を調べて、すでに免疫があるかを確かめることもできます。これまでにB型肝炎ワクチンを打ったことがなければ、抗体を調べずに接種してもかまいません
- 接種の後:このサイトでは、3回目の接種から2週間後に、HBs抗体を調べて、抗体がついたかを確認することをおすすめしています
接種がすすめられている人
米国では、19〜59歳のすべての大人にB型肝炎ワクチンがすすめられています(2024年)。 日本では大人は任意接種ですが、B型肝炎ワクチンは、基本的にはほぼすべての人におすすめできるワクチンです。とくに次のような人は、ワクチンを考えてみましょう。
- 性的なパートナーが多い人
- パートナーがB型肝炎ウイルスを持っている人
- 男性と性行為をする男性(MSM)
- 性風俗で働く人
一度抗体がついたら、追加の接種は必要?
米国の予防接種諮問委員会(ACIP)の勧告では、免疫が正常な人で、3回接種を終えて一度しっかり抗体がついた人(接種を終えて1〜2か月後の抗体〈HBs抗体〉が10 mIU/mL以上)は、あとで抗体の値が下がっても予防効果は続いているとされています。そのため、追加の接種(ブースター)は一般にはすすめられていません。
ただし、透析を受けている人や、免疫が弱くなっている人(HIVに感染している人、抗がん剤治療中の人など)は、定期的な抗体検査や追加接種が必要になることがあります。自分がどれにあてはまるかは、医師に相談してください。
感染したかもしれないときは
B型肝炎ウイルスに感染したかもしれないとき、7日以内(できれば48時間以内)に「抗HBs人免疫グロブリン(HBIG)」という注射をすると、感染を防げる可能性があります。 ただ、この注射はとても高額です。そのため、主に医療従事者の針刺し事故(労災)や、B型肝炎ウイルスを持つお母さんから生まれた赤ちゃんに使われていて、性行為による感染の予防としては、現実的な選択肢とはいえません。
ワクチンを早く打ち始めることも
ワクチンをまだ受けていない人が、B型肝炎に感染したかもしれない場合は、ワクチンをできるだけ早く(できれば24時間以内に)打ち始め、そのまま3回の接種を続けることがすすめられています(米国CDC。相手がB型肝炎ウイルスを持っているか分からない場合)。
- すでに感染している人や、免疫がある人がワクチンを打っても、害はなく、副反応が増えることもありません
- ただし、ワクチンを打ったあと最大18日間は、血液検査で HBs抗原が一時的に陽性に出ることがあります。感染したかどうかをHBs抗原で調べる場合は、接種の前に採血しておくか、接種から3週間ほどあけて調べましょう
だからこそ、B型肝炎は前もってワクチンを打っておくのが何よりのおすすめです。
まとめ
- B型肝炎は、ワクチンで予防できる性感染症
- 大人は3回接種(1回目、4週後、20〜24週後)。抗体がつく割合は40歳までで95%。若いほどつきやすい
- 一度しっかり抗体がつけば、効果は20年以上続き、追加接種は一般には不要
- 感染したあとの注射(HBIG)は高額で現実的でない。前もってワクチンを
- 感染したかもしれないときも、ワクチンを早く打ち始めることがすすめられている。打っても害はない
参考文献
- 国立健康危機管理研究機構. B型肝炎. https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/hepatitis-b/index.html (閲覧日:2026年9月25日)
- 国立健康危機管理研究機構. IASR 44(3), 2023【特集】急性B型肝炎 2016〜2022年. https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/iasr/pathogens/vol44/517/517t.html (閲覧日:2026年9月25日)
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この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。