C型肝炎ってどんな病気?うつり方・検査・飲み薬で治る時代の治療をやさしく解説
気づかないうちに肝硬変や肝がんへ進むことがあるC型肝炎。血液を介したうつり方、性行為での感染、検査の受け方、飲み薬での治療までまとめました。

メル美C型肝炎って、今は飲み薬で治るって聞いたけど、ほんと?
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、C型肝炎のお話です。C型肝炎は、気づかないうちに何年もかけて肝硬変や肝がんへ進むことがある病気です。一方で、今は飲み薬でほとんどの人が治るようになりました。だからこそ、検査を受けて見つけることがとても大切です。
C型肝炎ってどんな病気?
C型肝炎は、C型肝炎ウイルス(HCV)が肝臓に感染して、炎症をおこす病気です。主に血液を介してうつります。
- 感染しても多くは症状がありません
- 感染した人の多くは、ウイルスが体に残り続ける慢性肝炎になります
- 治療しないでいると、長い年月をかけて肝硬変や肝がんに進むことがあります
- ワクチンはありません。一方で、飲み薬で95%以上の人が治ります
日本では、ウイルスに感染し続けている人が 54万〜88万人(2020年時点の推計)いるとされています。世界では、約 4,700万人が慢性のC型肝炎にかかっていると推計されています(WHO)。
どうやってうつるの?
C型肝炎は、感染している人の血液が、体の中に入ることでうつります。
- 注射器や針の使い回し(違法薬物の注射など)
- 消毒が不十分な器具での刺青・ピアス
- カミソリや歯ブラシの共用
- 性行為(とくに血液にふれる可能性があるもの)
- 母子感染(お母さんから赤ちゃんへ)(C型肝炎と妊娠)
- 輸血(現在の日本では、献血された血液の検査により、輸血による感染はほぼなくなっています)
性行為でもうつるの?
WHO は、性行為でうつることはほかの経路より少ないとしています。米国CDCによると、一対一の関係の男女のカップルを長く追いかけた研究では、新たな感染は確かめられていません。
一方で、次のような場合は、性行為でうつるリスクが高くなるとされています(米国CDC)。
- HIV に感染している
- コンドームを使わない肛門性交など、粘膜が傷つきやすい性行為
- 性器の潰瘍(かいよう)や、性感染症による直腸炎がある
- セックスの相手が多い、グループセックス、薬物を使ったセックス
とくに、HIV に感染している男性どうし(MSM)の間での急性C型肝炎の増加が、欧米の都市で報告されています。
日本では
日本では、急性C型肝炎は、医師が保健所に届け出る病気です。2006年4月〜2020年10月に届け出られた 516例で報告された感染経路(複数回答、不明を除く)は、性的接触が25%で、刺青・ピアスなど(17%)より多くなっていました。2010年以降に限ると、性的接触は 36% に増えています。
届出は年に 23〜58例ほどです。ただ、C型肝炎は症状がないことが多いため、実際に感染している人はもっと多い可能性があると考えられています。
症状と経過
- 感染してから症状が出るまでは、平均 2〜12週間(2〜26週間)です
- 感染しても多くの人は症状がありません。症状が出る場合は、だるさ、食欲がない、吐き気、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)などです
- 感染した人の約30%は、6か月以内に自然にウイルスが消えます
- 残りの約70%は、ウイルスが体に残り続ける慢性C型肝炎になります
- 慢性化した人の 15〜30% は、20年以内に肝硬変になります。肝硬変になると、肝がんもおこりやすくなります
肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、悪くなるまで症状が出にくいのが特徴です。症状がないからといって、安心はできません。
検査はどうやるの?
C型肝炎は、血液検査で調べます。
- まず、HCV抗体を調べます
- 抗体が陽性なら、ウイルスそのもの(HCV RNA)を調べて、今も感染しているかを確かめます
抗体は、ウイルスが自然に消えたあとや、治療で治ったあとも陽性のまま残ることがあります。そのため、抗体が陽性でも、今も感染しているとは限りません。
心当たりがあってから、いつ検査すればいい?
ふつうは、HCV抗体の検査を受けます。抗体は、感染してすぐには作られません。感染していても検査で陽性にならない期間をウインドウピリオドといい、HCV抗体ではおよそ6〜12週間です。
- 米国CDCは、抗体が陽性になるまで「平均4〜10週間」「平均8〜11週間」としています。国立健康危機管理研究機構(旧・国立感染症研究所)は「感染後、通常1〜3か月」としています
- 6か月たつと、約97%の人で抗体が陽性になります
- HIV に感染しているなど免疫が落ちていると、抗体が陽性になるのが遅れることがあります
- ウイルスそのもの(HCV RNA)は、感染から 1〜3週間で見つかるようになります
このサイトでは、心当たりがあった場合は、約2か月後にHCV抗体の検査を受け、陰性でも12週後(約3か月後)にもう一度検査して、陰性をしっかり確認することをおすすめしています。 性行為後にやるべきことチェッカーでも、検査の目安の日を確認できます。
誰が検査を受けたほうがいい?
- 米国CDCは、18歳以上のすべての大人が、一生に一度はC型肝炎の検査を受けることをすすめています
- HIV に感染している男性どうし(MSM)では、少なくとも年に1回の検査がすすめられています
日本でも、厚生労働省はすべての人が、少なくとも一回は肝炎ウイルス検査を受ける必要があるとしています。保健所や、自治体が委託する医療機関で、無料の肝炎ウイルス検査が行われています。日程や場所、手続きは自治体によって異なるので、お住まいの保健所などに問い合わせてみてください。
治療は?
C型肝炎は、今は飲み薬(直接作用型抗ウイルス薬:DAA)で治療します。
- 8〜12週間、薬を飲みます
- ウイルスの型にかかわらず、95%以上の人が治ります(ウイルスが体からいなくなります)。日本肝臓学会のガイドラインでも、初めて治療する人でウイルスが消える割合は95%以上で、薬によってはほぼ100%という成績が示されています
- 治療でうまくいかなかった場合も、別の薬での再治療が検討されます
- 日本では、C型肝炎の治療に対する医療費の助成制度があります。くわしくは、お住まいの都道府県に確認してください
C型肝炎と分かったら、肝臓の専門医に紹介して、肝臓の状態をくわしく調べたうえで治療を受けることになります。治療は、ウイルス性肝炎の治療に十分な知識と経験をもつ医師が行うこととされています。
治っても、また感染することがある
C型肝炎は、治っても免疫はつきません。自然にウイルスが消えた人や、治療で治った人も、また感染することがあります。治ったあとも、感染のリスクがある場合は、定期的な検査を続けましょう。
感染を防ぐには
C型肝炎にはワクチンがありません。だからこそ、血液にふれないことが大切です。
- 注射器や針を共用しない
- カミソリや歯ブラシなど、血液がつく可能性があるものを共用しない
- 刺青やピアスは、衛生管理のしっかりしたところで
- コンドームを使う。とくに、セックスの相手が複数いる場合は、コンドームで自分とパートナーを守りましょう(C型肝炎と HIV の両方の予防になります)
- 粘膜が傷つきやすい性行為や、薬物を使ったセックスは、リスクが高くなります
パートナーにも検査を
C型肝炎と分かったら、パートナーにも検査をすすめることが大切です。 C型肝炎は、早く見つければ飲み薬で治せる病気です。パートナーが感染していても、早く分かれば、治療につなげられます。
まとめ
- C型肝炎は、血液を介してうつるウイルス性の肝炎。多くは症状がない
- 約70%が慢性化し、治療しないと肝硬変や肝がんに進むことがある
- 性行為でもうつる。とくに HIV 感染、粘膜が傷つく性行為、薬物を使ったセックスではリスクが高い
- 検査は血液検査(抗体 → ウイルス)。抗体のウインドウピリオドはおよそ6〜12週間。心当たりがあれば約2か月後と12週後にHCV抗体検査を。保健所などで無料の検査も
- 飲み薬で95%以上(薬によってはほぼ100%)が治る。陽性なら肝臓の専門医へ。ただし、治ってもまた感染することがある
参考文献
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- 日本肝臓学会 肝炎診療ガイドライン作成委員会(編). C型肝炎治療ガイドライン(第8.4版). 2025年4月. https://www.jsh.or.jp/lib/files/medical/guidelines/jsh_guidlines/C_v8.4_202504.pdf (閲覧日:2026年9月25日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
