予防2026年10月10日

針刺し事故でHIVが心配なとき(医療・介護で働く人へ):予防内服をしなくても感染の確率は約0.3%。まず流水と石けんで洗う(しぼり出しや消毒は不要)。予防内服はできるだけ早く、72時間以内に。予防内服は労災の対象

医療や介護の現場で、針刺しなどでHIVの血液にふれてしまったら——国立健康危機管理研究機構エイズ治療・研究開発センター(ACC)の手引き(2024年)によると、HIVはB型・C型肝炎ウイルスとくらべて感染力がとても弱く、予防内服をしなくても針刺し事故での感染の確率は約0.3%、粘膜にふれた場合は約0.09%とされています。まず、多量の流水と石けんで洗います。傷口から血をしぼり出したり、消毒薬を使ったりすることは効果が証明されておらず、すすめられていません。予防内服は72時間以内、できるだけ早く始めます。予防内服は2010年から労災保険の対象です。

目次
  1. 感染の確率は高くない
  2. まずすること:流水と石けんで洗う
  3. 予防内服は72時間以内、できるだけ早く
  4. その後の検査
  5. 労災と、プライバシー
  6. まとめ

メル美看護師の友だちが、採血のあとに針を自分の指に刺しちゃったんだって。患者さんがHIVかもしれなくて、すごく不安みたい。

プレ男そんなとき、まず何をすればいいんだろう。

こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、医療や介護の現場での針刺し事故で、HIVが心配なときの話です。国立健康危機管理研究機構エイズ治療・研究開発センター(ACC)の「抗HIV治療ガイドライン・治療の手引き」の「曝露前・曝露後の予防内服(oPEP/nPEP/PrEP)」(2024年10月21日更新)をもとにまとめました。性行為などのあとのPEPについてはPEP(HIVの曝露後予防)とは?を見てください。

感染の確率は高くない

ACCの手引きによると、

針刺し事故でHIVに感染する確率は高くありません。あわてず、まず流水と石けんで洗って、すぐに責任者や担当の部署に連絡してください。予防内服は、早く始めるほど効果が期待できます。

まずすること:流水と石けんで洗う

ACCの手引きによると、

予防内服は72時間以内、できるだけ早く

ACCの手引きによると、

プレ男血をしぼり出したり消毒したりするより、まず洗って、早く予防内服を始めるのが大事なんだね。

その後の検査

ACCの手引きによると、事故のあとは、事故のとき・6週後・12週後・6か月後に、HIV(とほかの血液でうつる感染症)の検査や血液の検査を受けることがすすめられています。抗原と抗体を調べる第4世代の検査を使う場合は、事故のとき・6週後・4か月後に短くすることもできるとされています。

労災と、プライバシー

ACCの手引きによると、

B型肝炎の予防については、B型肝炎ワクチンを見てください。

(更新)研究班の「抗HIV治療ガイドライン」(2026年3月)の「医療従事者におけるHIVの曝露対策」の項によると、針刺しなどでの感染の確率は、HIVが約0.3%であるのにくらべ、B型肝炎ウイルスは相手がHBe抗原陽性の場合で約40%、HBe抗体陽性の場合で約10%とはるかに高く、C型肝炎ウイルスは約0.2%とHIVとほぼ同じとされています。B型・C型肝炎の対応(ワクチン、免疫グロブリン、検査のスケジュール)は確認していません。

(更新)同じガイドライン(2026年3月版)の曝露対策の項では、相手(曝露源)が治療中で血液中のHIVが検出限界未満の場合は感染のリスクは非常に低いとして、曝露の経路や量、相手の服薬の状況などを考えて、予防内服を始めないか、始めても早めにやめるかを、本人の意向を十分に尊重して個別に決める(SDM:共有意思決定)としています。また、2025年に改訂された米国CDCのガイドラインでは、4〜6週の検査は原則不要、経過をみる期間は6か月から12週に短縮、12週の検査にHIV-RNA検査を加えるなどの変更があったと紹介しています。本文の「6週後・12週後・6か月後」(ACCの手引き)とはちがうため、日本でどちらにそって検査をするかは確認していません。

まとめ


参考文献

  1. 国立健康危機管理研究機構 エイズ治療・研究開発センター(ACC). 抗HIV治療ガイドライン・治療の手引き:曝露前・曝露後の予防内服(oPEP/nPEP/PrEP)(Last updated: 2024-10-21). https://www.acc.jihs.go.jp/medics/treatment/handbook/part3/sec03.html (閲覧日:2026年10月10日)
  2. HIV感染症および血友病におけるチーム医療の構築と医療水準の向上を目指した研究班. 抗HIV治療ガイドライン(2026年3月) 医療従事者におけるHIVの曝露対策 要約. https://hiv-guidelines.jp/2026/part16-1.htm (閲覧日:2026年10月12日)

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。