病気の解説2026年9月24日

淋菌(淋病)ってどんな病気?症状・検査・治療をやさしく解説

おしっこの強い痛みで気づくことが多い淋菌感染症。のどの感染や、薬が効きにくくなっている問題もあわせて解説します。

目次
  1. 淋菌ってどんな病気?
  2. 日本ではどのくらい?
  3. どうやってうつるの?
  4. 症状は?
  5. 放っておくとどうなる?
  6. 検査はどうやるの?
  7. 治療は?—「薬が効きにくい菌」に注意
  8. パートナーに伝えるのが気まずい…
  9. 予防するには
  10. まとめ

プレ男おしっこのときに痛くて、うみみたいなのが出るんだけど…。

メル美淋菌かもしれないね。のどにもうつるって聞いたよ。

こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、クラミジアと並んで多い性感染症、淋菌(りんきん)感染症のお話です。「淋病(りんびょう)」とも呼ばれます。

淋菌ってどんな病気?

淋菌感染症は、淋菌という細菌による性感染症です。 WHO の推計では、2020年に世界の15〜49歳で約8,240万人が新たに感染しています。

淋菌は弱い菌で、体の外に出ると数時間で感染する力を失います。そのため、性行為(やそれに近い行為)以外でうつることはまれです。

日本ではどのくらい?

淋菌感染症も、クラミジアと同じく国の統計では「定点把握」の病気です。全国約1,000か所の決められた医療機関(性感染症定点)だけが報告しています。

2024年の報告数は8,791人(男性6,562人、女性2,229人)でした。 ただし、街のクリニックなどで診断された人は数に入らないので、実際の患者数ではなく「増えているか・減っているか」の傾向を見るための数字です。

報告は男性が女性の約3倍ですが、女性は症状が出にくく、受診の機会が少ないことも理由の一つと考えられています。

どうやってうつるの?

主な感染経路は、性行為などによる粘膜どうしの接触です。

症状は?

感染してから症状が出るまで(潜伏期間)は、2〜9日程度です。

男性

クラミジアより症状が強いことが多く、「おしっこが痛くて受診した」という人がたくさんいます。 ただし、最近は男性でも症状が軽かったり、ない人もいます。

女性

のど・直腸

淋菌の症状の出やすさ(場所別):男性の尿道は出やすい、女性の子宮頸管は出にくい、のど・直腸はほとんど出ない

のどや直腸の淋菌は、検査しないと見つかりません。心当たりがあれば、のどや直腸も一緒に検査しましょう。

放っておくとどうなる?

検査はどうやるの?

淋菌とクラミジアは同時にかかっていることもあるので、一緒に検査することが多いです。

いつ検査すればいいかは、行為から1週間程度が目安です。 タイミングは性行為後にやるべきことチェッカーでも確認できます。

治療は?—「薬が効きにくい菌」に注意

淋菌は、これまで使われてきた多くの抗菌薬が効きにくくなっている(薬剤耐性)菌です。 実は、治療の切り札とされるセフトリアキソンが効かない淋菌が、世界で初めて見つかったのは日本(2009年)でした。

そのため日本では、確実に効くとされる次の薬で治療します。

飲み薬のセフィキシムが使われることもあります。ただ、日本の全国調査(2021年、男性の尿道炎から分離された淋菌1,068株)では、日本で使われる量のセフィキシムでは約4割(39.6%)の菌に効きにくいという結果でした。 一方、同じ調査でセフトリアキソンとスペクチノマイシンが効かない菌は見つかりませんでした。だから今も、治療の中心はセフトリアキソンです。

ただし、日本の別の研究(2018〜2024年に分離された淋菌1,336株)では、セフトリアキソンが効かない菌が6株(約0.4%)見つかっています。その中には、2017年以降は日本で報告されていなかった型の耐性菌も含まれていました。まれではありますが、セフトリアキソンが効かない淋菌は、日本にもいます。治療のあとに、治ったかを確認する検査を受けることが大切です。

薬が効きにくい淋菌の割合(日本、2021年):セフトリアキソン0%、スペクチノマイシン0%、セフィキシム(日本の用量)39.6%、テトラサイクリン86.3%

飲み薬ではなく注射・点滴1回で治療するのが、クラミジアとの大きな違いです。 どの薬を使うかは、感染した場所などに合わせて医師が決めます。

検査から治療後までの流れ:1 検査、2 治療(注射・点滴1回、パートナーも一緒に)、3 セックスはお休み、4 治療2週間後に治ったかを確認(性器ものども)、5 約3か月後にもう一度検査

治療で大事なポイントは3つです。

  1. パートナーも一緒に検査・治療する 自分だけ治しても、パートナーが感染したままだと、またうつし合ってしまいます。
  2. 治療後7日間、そしてパートナーの治療が終わるまでは、セックスはお休み(米国CDC)
  3. 治療から2週間後に、治ったかを確認する検査を受ける(性器ものども) とくにのどの淋菌は治りにくいことがあるので、症状がなくても確認が大切です。 また、淋菌は何度でもかかる病気です。米国CDCは、治療した人は約3か月後にもう一度検査を受けることをすすめています。

パートナーに伝えるのが気まずい…

わかります。すごく気まずいですよね。 でも、のどの淋菌や女性の淋菌は症状が出にくいので、いつ、誰からうつったのかは分からないことが多いんです。 「検査で見つかったから、一緒に調べて治そう」でOK。

プレ男性病になるより、修羅場になる方がヤバい!

メル美責め合うより、2人で一緒に治すのがいちばんの近道です。

予防するには

Doxy-PEP(ドキシサイクリンによる予防内服)について

コンドームなしの性行為のあと72時間以内に抗菌薬のドキシサイクリンを飲んで、クラミジア・淋菌・梅毒の感染を減らすことをねらう予防法です。

使うかどうかは、自己判断で飲まずに、性感染症を扱う医療機関で医師に相談してください。

くわしくは、Doxy-PEPのページをご覧ください。

淋菌のワクチンは?

淋菌そのものを防ぐワクチンは、まだありません。 ただ、淋菌とよく似た「髄膜炎菌」のB群ワクチン(4CMenB)に、淋菌を防ぐ効果があるのではないかと期待され、研究されてきました。

ただし、これらの試験はどれも淋菌のリスクがとても高いMSMが対象で、MSM以外の人での効果は、まだ分かっていません。国内未承認で、効果もはっきりしないことを理解したうえで、どうしても淋菌を避けたい人が、医師とよく相談して選択肢のひとつとして考えることはできます。淋菌専用のワクチンも開発が続いていますが、実用化はまだ先です。また、髄膜炎菌B群ワクチンは日本では承認されていません(日本で承認されている髄膜炎菌ワクチンは4価ワクチンのみ)。 くわしくは、髄膜炎菌ワクチンのページをご覧ください。

日本の淋菌の薬剤耐性のデータは、薬が効きにくい淋菌(薬剤耐性)にまとめています。

まとめ


参考文献

  1. 国立健康危機管理研究機構. 淋菌感染症. https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/gonorrhoea/index.html (閲覧日:2026年9月24日)
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  3. 厚生労働省. 性感染症報告数(性別にみた性感染症報告数の年次推移、2004年〜2024年). https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/seikansenshou/houkokusuu.html (閲覧日:2026年9月24日)
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  12. 国立健康危機管理研究機構. 侵襲性髄膜炎菌感染症. https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/invasive-meningococcal-disease/index.html (閲覧日:2026年9月24日)
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  14. 日本性感染症学会(編). 性感染症 診断・治療ガイドライン2026. 診断と治療社, 2025年12月18日発行.
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この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。