病気の解説2026年10月10日

薬が効きにくい淋菌(薬剤耐性):日本でしっかり効くと期待できる薬は、のどの淋菌も含めると実質セフトリアキソンだけ。アジスロマイシンが効かない株は2023年に34%。のどの淋菌は症状がなく治りにくい。自己判断で薬を飲まず、治療後は再検査を

淋菌は、抗菌薬が効きにくくなる「薬剤耐性」が世界で問題になっています。厚生労働省の「薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書2024」によると、日本で分離された淋菌のうち、セフトリアキソン耐性は2023年に1.8%と低い一方、アジスロマイシン耐性は34.0%、セフィキシム耐性は約20〜40%、シプロフロキサシン耐性は約60〜80%でした。のどの淋菌にも効く薬は、実質的にセフトリアキソンだけとされています。WHOによると、治療がうまくいかなかった例のほとんどは、症状の出にくいのどの感染でした。

目次
  1. 淋菌は、薬が効きにくくなりやすい
  2. 日本の淋菌の耐性率
  3. 実質的に残っているのは、セフトリアキソンだけ
  4. のどの淋菌が、カギになる
  5. わたしたちにできること
  6. まとめ

プレ男「スーパー淋菌」って聞いたことがあるんだけど、薬が効かない淋菌って本当にいるの?

メル美日本ではどうなってるんだろう。ちゃんと治せるのかな。

こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、薬が効きにくい淋菌(薬剤耐性淋菌)の話です。厚生労働省の「薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書2024」(2025年3月14日)と、WHOの「Multi-drug resistant gonorrhoea」(2025年10月22日更新)をもとにまとめました。淋菌そのものについては、淋菌の記事を見てください。

淋菌は、薬が効きにくくなりやすい

WHOによると、

日本の淋菌の耐性率

厚生労働省の報告書によると、国立感染症研究所が全国の協力診療所などから集めた淋菌を調べた結果(EUCASTの基準)は、次のとおりです。

薬(一般名) 2023年の耐性率
セフトリアキソン 1.8%(2015年は6.2%)
スペクチノマイシン 耐性株なし
アジスロマイシン 34.0%
セフィキシム 約20〜40%
シプロフロキサシン 約60〜80%
ベンジルペニシリン 80%以上が治療効果を望めない

プレ男アジスロマイシンが効かない淋菌が3分の1以上……。昔の薬が効かなくなっているんだね。

実質的に残っているのは、セフトリアキソンだけ

厚生労働省の報告書によると、

のどの淋菌が、カギになる

WHOによると、

のどの淋菌については、咽頭炎・扁桃炎と性感染症の記事も見てください。

淋菌は、残された薬が少ない菌です。ネットで買った薬や、残っていた薬を自己判断で飲まないで。オーラルセックスをしたなら、のどの検査も。治療のあとは、治ったか確かめる検査を受けましょう。

わたしたちにできること

(更新)米国CDCの性感染症治療ガイドライン(2021年)では、性器や直腸の淋菌は、すすめられる治療を受けていれば治ったことを確かめる検査は不要とする一方、のどの淋菌は、治療から7〜14日後に治癒確認の検査(培養またはNAAT)を受けるべきとしています(7日では偽陽性がふえる可能性があるとしています)。また、淋菌の治療を受けた人は、パートナーが治療を受けたかどうかにかかわらず、治療から3か月後に再検査を受けるべきとしています。日本での扱いは、引き続き確認していません。

(更新)米国CDCの「性感染症治療ガイドライン2021」で確認しました。すすめられた治療を受けた性器・直腸の淋菌では、治療後の再検査(治癒判定)は必要ないとされています。一方、のどの淋菌は、治療の7〜14日後に培養か遺伝子検査で治癒判定を受けるようにとしています(7日では偽陽性が出やすいことがある)。また、淋菌の治療を受けた人は、パートナーが治療したかどうかにかかわらず、3か月後にもう一度検査を受けるようにとしています。日本の診療ガイドラインでの扱いは、引き続き確認していません

治療をしたのに治らないときの対応は、淋菌の治療をしたのに治らないにまとめています。

ヨーロッパの最新の状況は、ヨーロッパの淋菌の薬剤耐性(2024年)を見てください。

日本の淋菌感染症の最近の報告の動きは、淋菌感染症の動き(2024年、国の分析)を見てください。

まとめ


参考文献

  1. 薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会. 薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書2024(Nippon AMR One Health Report 2024)(令和7年3月14日、PDF)(Neisseria gonorrhoeae、表30、参考資料(9)). https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001447793.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
  2. World Health Organization. Multi-drug resistant gonorrhoea — Fact sheet(2025年10月22日更新). https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/multi-drug-resistant-gonorrhoea (閲覧日:2026年10月10日)
  3. 日本産婦人科医会. 性感染症は、治療すれば必ず治りますか?(2017年8月9日作成). https://www.jaog.or.jp/qa/mature/seijyukuqa05/ (閲覧日:2026年10月10日)
  4. Workowski KA, et al. Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines, 2021. MMWR Recomm Rep. 2021;70(4):1–187. https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/70/rr/rr7004a1.htm (閲覧日:2026年10月10日)

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。