ケミカルピーリングは「医療」:皮膚科学会のガイドラインでは、にきび・小さなシミ・小じわは「選択肢のひとつ」、肝斑やにきび跡のへこみは「現時点では推奨できない」。施術後は日焼け対策を
日本皮膚科学会のケミカルピーリングガイドライン(改訂第3版、2008年)によると、ケミカルピーリングは皮膚を薬剤ではがし、傷が治る力で皮膚を再生させる治療で、業として行えば医業にあたります(2000年の厚生省の見解)。ガイドラインでは、にきび・小さな日光黒子(シミ)・小じわへのグリコール酸などは「選択肢のひとつとして推奨(C1)」、肝斑・そばかす・にきび跡のへこみなどは「十分な根拠がなく現時点では推奨できない(C2)」。赤み・色素沈着・まれに瘢痕などのリスクや、施術後の遮光についてもまとめました。

プレ男にきびとにきび跡が気になってて…。「ピーリングでつるつる肌に」って広告を見たんだけど、どうなんだろう。

メル美わたしは頬のシミが気になる。ピーリングって、エステでもやってるよね?
こんにちは、Dr. Taro です。 「美容医療」から、今回はケミカルピーリングの話です。日本皮膚科学会の「ケミカルピーリングガイドライン(改訂第3版)」(日本皮膚科学会雑誌、2008年)をもとにまとめました。ガイドラインは2008年のものなので、その後の研究で評価が変わっている可能性があることも、頭に入れておいてください。
ケミカルピーリングってなに?
- 皮膚に薬剤を塗って、皮膚の表面をはがし、傷が治る力(創傷治癒)で皮膚を再生させる治療です
- 主な目的は、にきび(ざ瘡)、色素の異常、光老化(日光による皮膚の老化)などの治療や、しみ・くすみ・肌の質感などの改善です
- 使われる薬剤には、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、トリクロロ酢酸(TCA)などがあります
- はがす深さは4段階に分けられ、深くなるほど副作用に注意が必要です
| レベル | はがす深さ |
|---|---|
| 1 最浅層 | 角層 |
| 2 浅層 | 表皮(顆粒層〜基底層のあいだ) |
| 3 中間(深)層 | 表皮と真皮の浅いところ |
| 4 深層 | 表皮と真皮の深いところまで |
「医療」として、皮膚科の医師の管理のもとで
- ガイドラインによると、2000年6月9日、厚生省(当時)は、ケミカルピーリングは業として行えば医業にあたると示しています
- 美容の面ばかりが注目されて安易に行われる傾向があり、国民生活センターには危害の相談も寄せられていました
- ガイドラインは、ケミカルピーリングは皮膚科の診療技術を十分に身につけた皮膚科専門医か、それと同等の医師の十分な管理のもとで行うべきとしています
- 実際には、正しい診断 → 重症度の判定 → 治療の順で行い、スキンケア、塗り薬、飲み薬、生活の指導などの中から最善と判断されたときに選ぶもの、とされています
- 厚生労働省の注意喚起サイト「その美容医療、ちょっと待って!」でも、ケミカルピーリングは美容医療のひとつとしてあげられ、トラブルの報告があるとしています

メル美ピーリングも医療なんだ。まず「シミの種類」を診断してもらうのが先なんだね。
ガイドラインの評価:何に、どのくらいすすめられる?
ガイドラインでは、推奨の強さを A(強く勧める)・B(勧める)・C1(良質な根拠は少ないが、選択肢のひとつとして推奨)・C2(十分な根拠がなく、現時点では推奨できない)・D(行わないよう勧める) に分けています。A・Bの評価がついたものはありません。
| 症状 | 薬剤 | 推奨度 |
|---|---|---|
| にきび(炎症のあるもの・ないもの) | グリコール酸、サリチル酸(マクロゴール基剤) | C1 |
| サリチル酸(エタノール基剤) | C2 | |
| にきび跡のへこみ | グリコール酸、TCA | C2 |
| 日光黒子(小さいもの) | グリコール酸、サリチル酸(マクロゴール基剤) | C1 |
| 日光黒子(大きいもの) | TCA | C2 |
| 肝斑 | グリコール酸、サリチル酸、乳酸、TCA | C2 |
| そばかす(雀卵斑) | グリコール酸 | C2 |
| 炎症後の色素沈着 | グリコール酸 | C2 |
| 小じわ | グリコール酸、サリチル酸(マクロゴール基剤) | C1 |
(日本皮膚科学会ケミカルピーリングガイドライン改訂第3版 表4より。日光黒子はいわゆる「シミ」のひとつ)
- にきび:とくに白・黒にきび(炎症のないもの)が中心の人に有効とする日本の研究があります
- 小じわ:真皮の弾力線維が変性した深いしわには効果が認められないため、対象は「小じわ」とされています
- 肝斑・そばかす:肝斑は紫外線や女性ホルモンで悪くなる治りにくいシミ、そばかすは紫外線でまた出てくることがあります
- 炎症後の色素沈着:ピーリングの炎症で、かえって色が濃くなることがあります

プレ男にきび跡のへこみは「現時点では推奨できない」なんだ。広告だけ見てたら、なんでも治りそうに思っちゃうね。
注意が必要な人
ガイドラインでは、次のような人は適応に注意が必要としています。
- 日焼け対策(遮光)を十分にできない人
- 妊娠中・授乳中の人
- 免疫が弱っている人、ほかの病気で治療中の人
- ケロイドができやすい人
- 施術する場所にウイルス・細菌・真菌(カビ)の感染がある人
- 施術する場所に手術や放射線治療を受けたことがある人
- アダパレンなどのレチノイドの塗り薬・飲み薬を使っていた人(休薬が必要なことがあります)
起こりうること
施術中・施術後に見られることがあるもの:
- 刺激感、むくみ、赤み、水ぶくれ、ただれ、かさぶた
- 色素沈着や色が抜ける、施術した部分とまわりの境目がはっきりする、もとからあるほくろが目立つ
- 赤みやかゆみが続く、一時的なにきびの悪化や毛穴の開き、毛細血管の拡張、稗粒腫(小さな白いつぶ)
まれに見られることがあるもの:
-
傷あと(瘢痕)、ケロイド
-
細菌・ウイルス(単純ヘルペスの再発など)・真菌の感染
-
薬剤によるアレルギー性のかぶれやじんましん
-
サリチル酸のエタノール溶液は、皮脂腺から血液に吸収されてサリチル酸中毒を起こすおそれがあるとされています
-
グリコール酸は、高濃度(30%以上)・低pH(2以下)で、むくみ・ただれ・かさぶたなどの危険が高くなるとされています
施術のあとは
- 皮膚の表面(とくに角層)が傷ついているため、日焼け対策(遮光)について十分な説明と指導を受けましょう
- 使った薬剤やはがした深さによって、適切な遮光や化粧のしかたの指導を受けます
- 施術後の皮膚の状態は、適宜、医師に診てもらう必要があります

ケミカルピーリングは、皮膚科の診断をふまえて選ぶ治療です。日本皮膚科学会のガイドラインでも、にきびや小さなシミ、小じわへの評価は「選択肢のひとつ」にとどまります。リスクと施術後の遮光について、医師の説明を受けてから決めましょう。
受ける前に
- シミのように見えて、別の病気のこともあります。ほくろのがん(メラノーマ)などについてはほくろを取る前にの記事もどうぞ
- 受ける前のチェックは美容医療を受ける前の4つのチェック、医師でないスタッフだけで治療が決まっていくときの注意は美容クリニックの「カウンセラー」と違法な例の記事もどうぞ
- にきびの治療には、皮膚科での塗り薬や飲み薬など、ほかの方法もあります。ほかの方法の説明も受けて、自分で選びましょう

メル美まず皮膚科で、シミの種類を診てもらうところから始めるね。
まとめ
- ケミカルピーリングは、薬剤で皮膚をはがして再生させる医療。業として行えば医業
- 皮膚科の医師の管理のもと、診断をふまえて選ぶもの
- ガイドライン(2008年)では、にきび・小さな日光黒子・小じわはC1(選択肢のひとつ)、肝斑・そばかす・にきび跡のへこみなどはC2(現時点では推奨できない)
- 赤み・色素沈着、まれに傷あと・感染・かぶれも
- 施術後は日焼け対策をしっかり
参考文献
- 古川福実, 松永佳世子, 秋田浩孝, ほか. 日本皮膚科学会ケミカルピーリングガイドライン(改訂第3版). 日本皮膚科学会雑誌 118(3): 347–355, 2008. https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/guideline/1372913831_1.pdf (閲覧日:2026年10月4日)
- 厚生労働省. その美容医療、ちょっと待って!. https://aesthetic-medicine-caution.mhlw.go.jp/ (閲覧日:2026年10月4日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。