
プレ男グリフォンって、ゲームによく出てくるよね。ライオンとワシがまざったやつ!

メル美2500年くらい前のギリシャの本にも出てくるんだって。そのころは「金を守る怪物」だったみたい。
こんにちは、Dr. Taro です。 世界の幻獣、今回はグリフォン(ギリシャ語ではグリュプス)です。ヘロドトス『歴史』(A.D.ゴドリー訳、1920年)、アイスキュロス『縛られたプロメテウス』(H.W.スマイス訳、1926年)、パウサニアス『ギリシャ案内記』(W.H.S.ジョーンズほか訳、1918年)、プリニウス『博物誌』(J.ボストックほか訳、1855年)の英訳を、Perseusデジタル図書館で読みました。
プロフィール
| 名前 | グリフォン(グリュプス、グリフィンとも) |
| 姿 | 「ライオンのような獣で、ワシのくちばしと翼をもつ」(パウサニアスが紹介するアリステアスの詩) |
| すみか | ギリシャから見て北の果て。一つ目の人々アリマスポイのさらに先 |
| 役目 | 地面から出てくる金を守る |
| 敵 | 金をねらう、一つ目の人々アリマスポイ |
| 出典 | ヘロドトス『歴史』3巻116章、4巻13章・27章/アイスキュロス『縛られたプロメテウス』803〜806行/パウサニアス『ギリシャ案内記』1巻24章5〜6節/プリニウス『博物誌』10巻70章 |

マルティン・ショーンガウアー「グリフォン」1470〜91年。銅版画。メトロポリタン美術館所蔵(パブリックドメイン)
北の果てで「金」を守る
- ヘロドトスによると、ヨーロッパの北にはいちばん多くの金があるが、どうやって金がとれるのかは、はっきりとはわからない。言い伝えでは、一つ目の人々アリマスポイが、グリフォンから金を盗むのだそうです(3巻116章)
- その話のもとは、プロコンネソス出身のアリステアスという人の詩です。アリステアスによると、イッセドネス人の先に一つ目のアリマスポイ、その先に金を守るグリフォン、さらにその先にヒュペルボレオイ人が住んでいる、とのこと(4巻13章)
- ヘロドトスは、「アリマ」はスキタイ語で「1」、「スプー」は「目」だと説明しています(4巻27章)

メル美金を守る怪物と、金を盗む一つ目の人たち。まるでファンタジー映画の設定だね。
ヘロドトスは「信じない」と書いた
- ところがヘロドトスは、3巻116章で「一つ目で、ほかはふつうの人間と同じ人々がいるとは、私は信じない」と、はっきり書いています
- 話はスキタイ人から聞いたもので、スキタイ人はイッセドネス人から聞いた、という又聞きの話であることも書きそえています(4巻27章)

プレ男2500年前の歴史家が、うわさ話に「それは信じない」ってマジレスしてたんだ!
「吠えないゼウスの猟犬」
- 悲劇作家アイスキュロスの『縛られたプロメテウス』では、プロメテウスが旅に出るイオに、こう警告します
- 「ゼウスの、鋭いくちばしの、吠えない猟犬、グリフォンに気をつけよ。そして、馬に乗った一つ目のアリマスポイの民にも。彼らは金の流れる川のほとりに住んでいる。近づいてはならない」
パルテノン神殿のアテナ像にも
- パウサニアスによると、アテネのパルテノン神殿のアテナ像は、象牙と金でできていました。かぶとのまん中にはスフィンクス、両側にはグリフォンの浮き彫りがあったといいます(1巻24章5節)
- パウサニアスは続けて、アリステアスの詩を紹介します。「グリフォンが守る金は、地面から出てくる」「アリマスポイは、みな一つ目で生まれる」「グリフォンはライオンのような獣で、ワシのくちばしと翼をもつ」。そして「グリフォンについてはこれ以上語らない」と話を切り上げています(1巻24章6節)

大釜につけたグリフォンの頭の飾り。ギリシャ、紀元前7世紀中ごろ。青銅。メトロポリタン美術館所蔵(パブリックドメイン)
プリニウスも「作り話」と
- ローマのプリニウスは『博物誌』10巻70章「作り話の鳥」で、馬の頭をもつという鳥「ペガスス」と、長い耳と曲がったくちばしのグリフォンを、作り話だと考えると書いています
- 上の青銅の飾りも、長い耳と曲がったくちばしをしています

パウサニアスが紹介するアリステアスの詩によると、グリフォンはライオンのような獣で、ワシのくちばしと翼をもち、地面から出てくる金を守っていました。ヘロドトスは「一つ目の人々がいるとは信じない」と書いています。
まとめ
- グリフォンは、ライオンのような体に、ワシのくちばしと翼
- ギリシャから見て北の果てで、金を守る。金をねらうのは一つ目のアリマスポイ
- 話のもとはアリステアスの詩。ヘロドトスは「一つ目の人間がいるとは信じない」と書いた
- アイスキュロスは「吠えないゼウスの猟犬」と呼んだ
- パルテノン神殿のアテナ像のかぶとにも、グリフォンの浮き彫りがあった
- プリニウスは「作り話」と考えた
- 同じく翼をもつ幻獣はペガサス、スフィンクス、まざった姿の幻獣はキマイラもどうぞ
参考文献
- Herodotus. The Histories(英訳:A.D. Godley、1920年). 3.116, 4.13, 4.27. Perseus Digital Library. https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus:text:1999.01.0126:book=3:chapter=116 (閲覧日:2026年10月4日)
- Aeschylus. Prometheus Bound(英訳:Herbert Weir Smyth、1926年). 803–806. Perseus Digital Library. https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus:text:1999.01.0010:card=788 (閲覧日:2026年10月4日)
- Pausanias. Description of Greece(英訳:W.H.S. Jones、H.A. Ormerod、1918年). 1.24.5–6. Perseus Digital Library. https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus:text:1999.01.0160:book=1:chapter=24:section=6 (閲覧日:2026年10月4日)
- Pliny the Elder. The Natural History(英訳:John Bostock、H.T. Riley、1855年). 10.70. Perseus Digital Library. https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus:text:1999.02.0137:book=10:chapter=70 (閲覧日:2026年10月4日)
- メトロポリタン美術館. Martin Schongauer, Griffin, 1470–91(27.54.5、パブリックドメイン). https://www.metmuseum.org/art/collection/search/336196 (閲覧日:2026年10月4日)
- メトロポリタン美術館. Bronze griffin attachment from a cauldron, mid-7th century BCE(59.11.18、パブリックドメイン). https://www.metmuseum.org/art/collection/search/255012 (閲覧日:2026年10月4日)
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