
プレ男ペガサスって、翼のある白い馬だよね。正義の味方っぽいイメージ!

メル美でも、生まれたのはメドゥーサの首からなんだって。
こんにちは、Dr. Taro です。 世界の幻獣、今回はペガサス(ペガソス)です。ヘシオドス『神統記』(H.G.エヴリン=ホワイト訳、1914年)、アポロドーロス『ビブリオテーケー』(J.G.フレイザー訳、1921年)、ピンダロスの祝勝歌(D.A.スヴァーリエン訳、1990年)の英訳を、Perseusデジタル図書館で読みました。
プロフィール
| 名前 | ペガサス(ギリシャ語ではペガソス) |
| 姿 | 翼のある馬 |
| 生まれ | 英雄ペルセウスがメドゥーサの首を落としたときに生まれた。父はポセイドン |
| きょうだい | 同時に生まれたクリュサオル(金の剣を持つ者) |
| 名前の由来 | 「オケアノスの泉(ペーガイ)のそばで生まれたから」(ヘシオドス) |
| すみか | ゼウスの館。ゼウスのために雷と稲妻を運ぶ |
| 出典 | ヘシオドス『神統記』280〜286行、325行/アポロドーロス『ビブリオテーケー』第2巻3章2節・4章2節/ピンダロス『オリュンピア祝勝歌』第13歌、『イストミア祝勝歌』第7歌 |

オディロン・ルドン「ペガサスとベレロポン」1888年ごろ。木炭・チョークなど。メトロポリタン美術館所蔵(ロバート・レーマン・コレクション、パブリックドメイン)
メドゥーサの首から生まれた
- ヘシオドスによると、ゴルゴン三姉妹のうちメドゥーサだけが死ぬ運命でした。メドゥーサはポセイドンと結ばれていました
- ペルセウスがメドゥーサの首を切り落とすと、そこから大いなるクリュサオルと馬のペガサスが飛び出しました
- アポロドーロスも同じように、首を落とすと「翼のある馬ペガサス」とクリュサオルが生まれ、どちらもポセイドンの子だと書いています
- くわしくはメドゥーサとペルセウスの記事で

プレ男え、お父さんは海の神ポセイドン?だから馬なのかな。

メル美ピンダロスの詩でも、ポセイドンは「馬をならす神」って呼ばれてるよ。
名前は「泉」から
- ヘシオドスは、ペガサスという名前は「オケアノス(世界をとりまく大河)の泉のそばで生まれたから」だと書いています
- 英訳の注によると、ここの「泉」はギリシャ語で pegae(ペーガイ)。ペガソスという名前と音をかけた説明です
- 生まれたペガサスは、家畜を育む大地をはなれ、不死の神々のもとへ飛んでいきました。そしてゼウスの館に住み、ゼウスに雷と稲妻を運ぶようになります
英雄ベレロポンと、金のくつわ
キマイラ退治で有名な英雄ベレロポンとペガサスの出会いは、ピンダロス『オリュンピア祝勝歌』第13歌にくわしく歌われています。
- ベレロポンは、コリントスのペイレネの泉のそばで、ペガサスに馬具をつけようとしてさんざん苦労していました
- 占い師(コイラノスの子)のすすめで、女神アテナの祭壇の上で一晩眠ると、夢にアテナがあらわれ、金のほお当てのついたくつわを授けます。「これを馬に使いなさい。白い雄牛をささげて、馬をならす神ポセイドンに見せなさい」
- 目をさますと、夢で見たくつわが本当にそばにあったのです
- ベレロポンは占い師の言うとおりに、ポセイドンに雄牛をささげ、馬の女神アテナの祭壇をつくりました。そして、くつわをペガサスのあごにかけて、翼のある馬をつかまえます

メル美夢でもらったものが、起きたら本当にあった!
ペガサスに乗って、キマイラを倒す
- ピンダロスによると、ベレロポンは青銅のよろいを着てペガサスに乗り、さむい空の高みから、女だけの弓の軍団アマゾン族を攻め、火をはくキマイラとソリュモイ族を倒しました
- アポロドーロスでも、ベレロポンは「メドゥーサとポセイドンの子、翼のある馬ペガサス」に乗って空高くのぼり、上からキマイラを射て倒しています
- ヘシオドスも、キマイラを倒したのは「ペガサスと高貴なベレロポン」と、ペガサスの名前を先に書いています
- キマイラの話はキマイラの記事で
天にのぼろうとして、振り落とされる
- ピンダロス『イストミア祝勝歌』第7歌には、こんな一節があります。「翼のあるペガサスは、天の住まいとゼウスの仲間に加わろうとした主人ベレロポンを、振り落とした」
- 詩は、「遠くのものばかり見る人間は、神々の青銅の床の館にはとどかない」「度をこえて甘いものには、いちばん苦い終わりが待っている」と続きます
- 『オリュンピア祝勝歌』第13歌では、ピンダロスはベレロポンの最期は語らずにおくと言い、「ペガサスは、オリュンポスにあるゼウスの古い馬小屋に迎えられた」と結んでいます

プレ男キマイラにも勝ったのに、調子に乗って天まで行こうとしたら落とされちゃうのか…。

メル美「上を見すぎると痛い目にあう」っていう、詩の教えになってるんだね。
ひづめで生まれた泉「ヒッポクレネ」
- 2世紀の旅行家パウサニアスは『ギリシャ案内記』で、ムーサ(芸術の女神たち)の山ヘリコン山に「馬の泉(ヒッポクレネ)」があると書いています
- 「ベレロポンの馬が、ひづめで地面を打ってできた」と言い伝えられていた、とのことです

ヘシオドスによると、ペガサスはメドゥーサの首から生まれ、「オケアノスの泉のそばで生まれたから」その名がつきました。ゼウスの館に住み、雷と稲妻を運ぶ馬です。
まとめ
- ペガサスは、ペルセウスがメドゥーサの首を落としたときに生まれた翼のある馬。父はポセイドン
- 名前は「オケアノスの泉(ペーガイ)のそばで生まれたから」(ヘシオドス)
- ゼウスの館に住み、雷と稲妻を運ぶ
- 英雄ベレロポンは、夢でアテナから金のくつわを授かって乗りこなし、キマイラを倒した
- でも、天にのぼろうとしたベレロポンを振り落とした(ピンダロス)
- ヘリコン山の泉「ヒッポクレネ」は、ペガサスのひづめでできたと伝えられた(パウサニアス)
- ほかの幻獣はグリフォン、ユニコーン、ヒュドラ、ケルベロス、ミノタウロスもどうぞ
参考文献
- Hesiod. Theogony(英訳:Hugh G. Evelyn-White、1914年). 270–286, 319–325. Perseus Digital Library. https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus:text:1999.01.0130:card=270 (閲覧日:2026年10月4日)
- Apollodorus. The Library(英訳:Sir James George Frazer、1921年). 2.3.2, 2.4.2. Perseus Digital Library. https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus:text:1999.01.0022:text=Library:book=2:chapter=3:section=2 (閲覧日:2026年10月4日)
- Pindar. Olympian 13(英訳:Diane Arnson Svarlien、1990年). Perseus Digital Library. https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus:text:1999.01.0162:book=O.:poem=13 (閲覧日:2026年10月4日)
- Pindar. Isthmian 7(英訳:Diane Arnson Svarlien、1990年). Perseus Digital Library. https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus:text:1999.01.0162:book=I.:poem=7 (閲覧日:2026年10月4日)
- Pausanias. Description of Greece(英訳:W.H.S. Jones、H.A. Ormerod、1918年). 9.31.3. Perseus Digital Library. https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus:text:1999.01.0160:book=9:chapter=31:section=3 (閲覧日:2026年10月4日)
- メトロポリタン美術館. Odilon Redon, Pegasus and Bellerophon, ca. 1888(1975.1.686、パブリックドメイン). https://www.metmuseum.org/art/collection/search/459400 (閲覧日:2026年10月4日)
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