
ブン子「今の若い人は草食系だから結婚しない」って、親によく言われるの。本当にそうなのかな。

オタ男それ、データで確かめた研究があるらしいよ。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、若い人の交際と結婚の流れが、約30年でどう変わったかを調べた研究です。毛塚和宏さんの研究ノート「若者は交際から遠のいたのか:出生動向基本調査集積データを用いた交際・有配偶への推移確率の推定」(『社会学評論』73巻4号、2023年、日本社会学会)の原文をもとにまとめました。
どんな研究?
- 国立社会保障・人口問題研究所の「出生動向基本調査」の報告書にある、男女・年齢ごとの「交際の状態」の割合を使いました。1987年から2015年までの7回分です
- 状態は、「婚約者がいる」「恋人がいる」「友人として交際している異性がいる」「交際している異性はいない」と、結婚の経験がある「有配偶」「離死別」の6つです
- 同じ年に生まれた人たちが、20代前半から20代後半へ、20代後半から30代前半への5年間に、どの状態からどの状態へ移ったかの確率を、計算で推定しました(たとえば2005年の20代前半と、2010年の20代後半を組み合わせます)
- 論文は、この中の「いない(交際している異性はいない)」「恋人」「有配偶」の3つに注目しています
わかったこと:男性の5年後の状態
| 男性 | 起点1987年 | 起点2010年 |
|---|---|---|
| 20代前半→20代後半 | ||
| 「いない」→ 5年後も「いない」 | 33.91% | 53.44% |
| 「いない」→「恋人」 | 18.75% | 17.95% |
| 「いない」→「有配偶」 | 32.30% | 24.68% |
| 「恋人」→「有配偶」 | 26.21% | 18.44% |
| 20代後半→30代前半 | ||
| 「いない」→ 5年後も「いない」 | 23.78% | 43.73% |
| 「いない」→「恋人」 | 6.69% | 9.87% |
| 「いない」→「有配偶」 | 57.69% | 40.45% |
| 「恋人」→「有配偶」 | 29.80% | 26.12% |
出典:毛塚和宏『社会学評論』73巻4号(2023年)表1。起点1987年は1987→1992年、起点2010年は2010→2015年の推移。残りの確率は、友人・婚約者などの状態への推移
わかったこと:女性の5年後の状態
| 女性 | 起点1987年 | 起点2010年 |
|---|---|---|
| 20代前半→20代後半 | ||
| 「いない」→ 5年後も「いない」 | 19.03% | 39.97% |
| 「いない」→「恋人」 | 15.42% | 19.53% |
| 「いない」→「有配偶」 | 51.87% | 33.25% |
| 「恋人」→「有配偶」 | 48.76% | 31.41% |
| 20代後半→30代前半 | ||
| 「いない」→ 5年後も「いない」 | 18.51% | 31.17% |
| 「いない」→「恋人」 | 7.85% | 10.89% |
| 「いない」→「有配偶」 | 62.06% | 49.86% |
| 「恋人」→「有配偶」 | 45.69% | 38.00% |
出典:同 表1
論文がまとめた傾向は、男女ともほぼ同じでした。
- 「いない」や「恋人」から「有配偶」へ移る確率は、下がっていた
- 「いない」から「恋人」へ移る確率は、ほぼ横ばいか、わずかに山なりだった
- 「いない」へ移る確率(5年後も「いない」、恋人がいたのに「いない」になる)は、一部を除いて上がっていた

オタ男恋人ができる確率は、30年前とあまり変わってないんだ。減ったのは、結婚に進む確率のほうなんだね。
論文の解釈
- 結婚へ移る確率が下がったことは、「草食化」(異性との交際に消極的になること)だけでは説明しきれない、と論文は書いています。もし交際に消極的になったのなら、「いない」から「恋人」へ移る確率が下がるはずですが、実際はほぼ横ばいだったからです
- 結婚へ移る確率が下がった理由として、論文は、見合い結婚のように交際を経ない結婚が減ったことと、恋人から結婚へ進む確率が下がったことをあげ、「交際から結婚へ踏み出せない人々が増えた」と考えるほうが自然だろう、としています
- 「いない」へ移る確率が上がったことについては、恋人を持たずに暮らす人が増えたという解釈と、結婚に踏み込めないまま恋人がいる状態といない状態を行き来する人が増えたという解釈の両方があり、どちらがより妥当かはこの分析ではわからない、としています

この研究では、恋人がいない人が5年のうちに恋人をつくる確率は、約30年でほぼ横ばいでした。下がっていたのは、交際していない人や恋人がいる人が結婚へ進む確率です。
研究の限界
- 個人を追いかけたデータではなく、同じ年に生まれた人たちの平均的な動きを、公表された割合から推定したものです
- 職業や収入などの影響は見られません
- データは2015年までで、2021年の調査はふくまれていません
婚活で考えたいこと
- 2021年の調査での恋人がいる未婚者の割合は恋人がいる未婚者はどれくらい?、見合いや職場の出会いによる結婚が減ったことを調べた研究は職場で出会う結婚が減ると、結婚も減る?にまとめました
- 恋人がいたことがない人へは恋人がいたことがない20代男性は4割近くもどうぞ

ブン子「草食系だから」で片づけられる話じゃないんだね。親にも説明してみる。

オタ男付き合ったあと、結婚の話をちゃんとすることも大事なんだな。
まとめ
- 出生動向基本調査の1987〜2015年の公表データから、5年間の交際・結婚の状態の移り変わりを推定した研究(2023年)
- 恋人がいない人が恋人をつくる確率は、約30年でほぼ横ばいか、わずかに山なり
- 恋人がいない人や恋人がいる人が結婚へ進む確率は下がり、交際相手がいない状態へ移る確率は上がった
- 論文は、「草食化」だけでなく、交際を経ない結婚の減少や、交際から結婚へ踏み出せない人の増加が考えられる、としている
参考文献
- 毛塚和宏. 若者は交際から遠のいたのか:出生動向基本調査集積データを用いた交際・有配偶への推移確率の推定. 社会学評論. 2023;73(4):435-444. doi:10.4057/jsr.73.435. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsr/73/4/73_435/_article/-char/ja/ (閲覧日:2026年10月22日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
