【テクノロジー解説】分子の「パートナー交換ダンス」メタセシス:炭素どうしの二重結合を組みかえて、原子のグループが入れかわる。少ない工程、少ない廃棄物で、薬や高性能なプラスチックづくりに(2005年ノーベル化学賞)
生き物の体は、炭素の化合物でできています。炭素の化合物は、人工的につくる(有機合成)こともできます。2005年のノーベル化学賞は、有機合成でもっとも大切な反応の一つ「メタセシス」を育てたショーバン博士、シュロック博士、グラブス博士に贈られました。メタセシスは「入れかわり」という意味で、炭素どうしの二重結合が切れたりつながったりして、原子のグループが入れかわる反応です。カップルがパートナーを交換するダンスにたとえられます。工程が少なく、空気中でもふつうの温度で使え、廃棄物も少ないので、薬や高性能なプラスチックの開発に毎日使われています。

プレ男化学反応を「ダンス」にたとえるノーベル賞があるって本当?

メル美分子がパートナーを交換するんだって。
こんにちは、Dr. Taro です。 「テクノロジー解説」、今回はメタセシスです。2005年のノーベル化学賞の発表と一般向け解説をもとにまとめました。
炭素の化合物をつくる
- 有機物は、炭素をふくむ物質です。炭素の原子は、長い鎖や輪をつくったり、水素や酸素とつながったり、二重結合をつくったりします
- 地球の生命はすべて、こうした炭素の化合物でできています。人工的につくることもでき、それを有機合成といいます
「入れかわり」の反応
- メタセシスは「入れかわる」という意味です
- 炭素どうしの二重結合が切れたりつながったりして、原子のグループが入れかわります。特別な触媒の分子が手伝います
- これは、カップルがパートナーを交換するダンスにたとえられます
- 金属の触媒とそのパートナーが「触媒のペア」、もう一方が「アルケンのペア」
- 2つのペアが出会うと、手をつないで輪になっておどり
- しばらくすると手をはなし、新しいパートナーとおどりはじめます
- 新しい「触媒のペア」は、また別のペアをつかまえて、ダンス(反応)を続けます

プレ男パートナーを交換しても、触媒はまた次のペアとおどれるのか!
3人の役割
- イヴ・ショーバン博士(フランス)は1971年、メタセシスがどう進むのか、どんな金属の化合物が触媒になるのかを、くわしく説明しました。「レシピ」がわかったのです
- リチャード・シュロック博士は1990年、メタセシスの効率のよい金属の触媒をはじめてつくりました
- ロバート・グラブス博士は、その2年後(1992年)、空気の中でも安定な、さらによい触媒を開発し、いろいろな場面で使われるようになりました
何がいい?
メタセシスは、化学工業で毎日使われていて、おもに薬や高性能なプラスチックの開発に役立っています。この方法は
- 効率がよい:反応の工程が少なく、資源も少なくてすみ、むだも少ない
- 使いやすい:空気中で安定、ふつうの温度と圧力で使える
- 環境にやさしい:害の少ない溶媒、危険な廃棄物が少ない
「つくれる分子の限界は、想像力だけになるだろう」とまで言われました。

メタセシスは、炭素どうしの二重結合を組みかえて、原子のグループを入れかえる反応です。工程が少なく、廃棄物も少ない環境にやさしい方法で、薬やプラスチックの開発に使われています。
化学のつながり
- 炭素どうしをつなぐ別の方法:クロスカップリング
- 「カチッ」とつなぐ:「カチッ」とはまる化学反応
- 第3の触媒:触媒は「金属」と「酵素」だけじゃなかった

プレ男化学の授業で、このダンスのたとえを聞きたかったな。

メル美廃棄物が少ないのも、いまの時代に大事なことだね。
まとめ
- メタセシス=「入れかわり」。炭素どうしの二重結合を組みかえ、原子のグループが入れかわる
- パートナー交換のダンスのように進み、触媒は何度も使える
- ショーバン博士(1971年、しくみ)、シュロック博士(1990年、効率のよい触媒)、グラブス博士(空気中で安定な触媒)
- 工程が少なく、使いやすく、環境にやさしい
- 薬や高性能なプラスチックの開発に毎日使われる(2005年ノーベル化学賞)
参考文献
- The Royal Swedish Academy of Sciences. Press release: The Nobel Prize in Chemistry 2005. NobelPrize.org. https://www.nobelprize.org/prizes/chemistry/2005/press-release/ (閲覧日:2026年10月10日)
- NobelPrize.org. The Nobel Prize in Chemistry 2005 — Popular information. https://www.nobelprize.org/prizes/chemistry/2005/popular-information/ (閲覧日:2026年10月10日)
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