ほくろ・イボのレーザー除去:学会の診療指針は「弱く推奨」。線状の傷あとが残りにくい一方、再発・色素沈着・へこみも。皮膚がんがまじっている可能性があり、診断がつかないものはレーザーを安易に行わない
日本皮膚科学会など5学会の「美容医療診療指針(令和3年度改訂版)」によると、顔や首のほくろ・イボ(母斑細胞母斑、脂漏性角化症など)を炭酸ガスレーザーなどで蒸散させる治療は「弱く推奨」です。切って縫うような長い線状の傷あとが残りにくい利点がある一方、赤み・ただれは必ず出て、色素沈着・色が抜ける・へこみ・再発などもあります。もっとも大事なのは、ほくろやイボの中に皮膚がんがまじっている可能性で、肉眼やダーモスコピーで良性と診断できないものは、切除や生検で調べ、レーザーを安易に行ってはいけないとされています。美容目的は自由診療です。

プレ男あごのほくろと首のイボ、レーザーで一気に取りたいんだ。「1個◯円」の広告もあって手軽そう。

メル美ほくろだと思ったら、がんだったっていう話も聞くよ。取る前に診てもらわなくていいのかな。
こんにちは、Dr. Taro です。 「美容医療」から、今回はほくろ・イボのレーザー除去の話です。日本皮膚科学会・日本形成外科学会・日本美容皮膚科学会・日本美容外科学会(JSAPS・JSAS)の5学会による「美容医療診療指針(令和3年度改訂版)」の「イボ・ホクロに対するレーザー治療」(CQ1-3、改訂版で追加)をもとにまとめました。
「ほくろ」「イボ」の正体はいろいろ
- 一般に「ほくろ」「イボ」と呼ばれるのは、直径1cmくらいまでの皮膚の良性の小さなできものです
- 実際の診断は、母斑細胞母斑(色素性母斑=いわゆるほくろ)、表皮母斑、脂漏性角化症(年をとるとできるイボ)、尋常性疣贅(ウイルスによるイボ)、軟性線維腫(首などのスキンタッグ)などが多く、ときにほかの病気のこともあります
- 脂漏性角化症は、加齢や紫外線による皮膚の老化で顔・頭・体にでき、20歳代から出はじめ、80歳以上ではほぼ全員にみられます
- これらは、ウイルス性のイボを除いて自然に消えることは期待できませんが、悪性化もしません
指針の評価:「弱く推奨」
- 指針は、見た目の点から切除を受け入れにくい人などに対して、レーザーで蒸散させる治療は有効だとし、推奨度は「治療を希望する患者には、行うことを弱く推奨する」です
- ただし、治療後の長い経過、再発、ほかの治療法との比較が十分ではないこと、そして肉眼やダーモスコピー(拡大して見る検査)で良性と診断できるものに限られることから、「弱く推奨」とされています
- 主に使われるのは、炭酸ガス(CO2)レーザーなど、組織を蒸散させられるレーザーです
いちばん大事なこと:皮膚がんとの見分け
- 指針は、レーザーを当てる小さなできものの中に、皮膚の悪性腫瘍(皮膚がん)がふくまれている可能性があるとしています
- 肉眼やダーモスコピーで診断が難しいときは、全部切り取るか一部を取って(生検)、顕微鏡で調べることを検討する必要があり、見分けがつかないときはレーザー治療を安易に行ってはいけないとされています
- 治療の前には、皮膚がんがまじっている可能性について十分な説明が必要です
- ほくろのがん(メラノーマ)の見分け方はほくろを取る前にの記事にまとめています

プレ男レーザーで焼いてしまうと、あとで顕微鏡で調べられないもんね。先に診断なんだ。
レーザー除去の利点と、起こりうること
利点
- 切って縫うような長い線状の傷あとが残らない
- くり抜く方法にくらべて、手術後の出血や痛みが少なく、傷が早く治る
起こりうること
- 照射の直後には、赤みとただれは必ず出ます
- 傷の二次感染、治りが遅れる、一時的な色素沈着や色が抜けること
- 取り残しによる再発もよくみられます。十分な深さまで削ると再発は少ないものの、傷あとが目立つことも
- 色素沈着・やけど・傷あとなどは、東洋人では論文より頻度が高くなる可能性があるとされています
- 研究の例では、ほくろのレーザー治療後に色素が戻る(再発)のが2割ほどにみられた報告もあります
承認と費用
- 炭酸ガスレーザーの本体は国内で承認されているものが多いものの、アクセサリーやスキャナーが未承認のこともあります。Er:YAGレーザーは国内未承認です
- 承認された機器を使っても、美容目的の場合は保険がきかない自由診療です

ほくろやイボの中には、皮膚がんがまじっていることがあります。取る前に、皮膚科などで良性かどうか診断してもらい、診断がつかないときは切除や生検で調べてもらいましょう。
受ける前に確かめたいこと
- 良性と診断されたか(ダーモスコピーなどで)
- 診断がつかないものは、切除や生検で調べるか
- 再発・色素沈着・傷あとなどのリスクと、何回くらいかかるか
- 「1個◯円」などの料金だけで決めず、診断と説明を受けましょう(美容医療を受ける前の4つのチェック)

メル美まずは皮膚科で、良性かどうか診てもらってからだね。
まとめ
- ほくろ・イボの正体は、ほくろ(母斑細胞母斑)、脂漏性角化症、ウイルス性のイボなどいろいろ
- レーザーでの蒸散は、5学会の診療指針(改訂版)で「弱く推奨」
- 皮膚がんがまじっている可能性。良性と診断できないものは、切除・生検で調べ、レーザーを安易に行わない
- 線状の傷あとは残りにくいが、再発・色素沈着・へこみも
- 美容目的は自由診療
参考文献
- 日本皮膚科学会, 日本形成外科学会, 日本美容皮膚科学会, 日本美容外科学会(JSAPS), 日本美容外科学会(JSAS). 美容医療診療指針(令和3年度厚生労働科学研究補助金). 日本美容外科学会会報 44(特別号), 2022. 第1章第3節 イボ・ホクロに対するレーザー治療(CQ1-3). https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/guideline/biyo2v.pdf (閲覧日:2026年10月5日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。