シミのレーザー治療、まず「シミの種類」の診断から:いちばん多い日光黒子(老人性色素斑)には「強く推奨」。肝斑は日焼け対策と塗り薬・飲み薬のあとに「弱く提案」。悪性のほくろとの見分けが大事
日本皮膚科学会など5学会の「美容医療診療指針」(令和元年度厚生労働科学特別研究事業、2020年)によると、「シミ」には日光黒子(老人性色素斑)、肝斑、そばかす、炎症後色素沈着などがあり、まじっていることも多いとされます。いちばん多い日光黒子には、レーザーや光治療(IPL)が有効で「治療を希望する患者には強く推奨」。一方、再発しやすい肝斑は、遮光と美白剤・飲み薬などで十分な効果がないときの併用療法として「弱く提案」にとどまります。悪性腫瘍との見分けや、色素沈着などの合併症もまとめました。

メル美頬のシミが濃くなってきた気がする…。レーザーで1回で取れるって広告を見たんだけど。

プレ男ぼくも、外回りで日焼けしたせいか、こめかみに茶色いシミが。男もシミ取りってするのかな?
こんにちは、Dr. Taro です。 「美容医療」から、今回はシミのレーザー治療の話です。日本皮膚科学会・日本形成外科学会・日本美容皮膚科学会・日本美容外科学会(JSAPS・JSAS)の5学会が作った「美容医療診療指針」(令和元年度厚生労働科学特別研究事業、2020年)をもとにまとめ、改訂版(令和3年度厚生労働科学研究補助金)の内容も確認しました。
「シミ」には、いろいろな種類がある
- 「シミ」はふつうの言葉で、医学的には、あとからできるメラニンの色素沈着をまとめてさします
- 主なものに、日光黒子(老人性色素斑)、肝斑(かんぱん)、そばかす(雀卵斑)、真皮メラノサイトーシス(両側性遅発性太田母斑)、炎症後色素沈着などがあり、いくつかがまじっていることも多いとされます
- いちばん多いのは日光黒子。再発しやすく治療が難しいのが肝斑です
- 種類によって治療の考え方がちがうので、まず診断が大切です

メル美シミって、ひとつの種類じゃないんだ。
日光黒子(老人性色素斑):レーザー・光治療は「強く推奨」
- 主に40歳以上で、顔、手の甲、腕など日光の当たる場所に、年をとるとともに出てきます。茶色〜やや黒色で、大きさは数mm〜1cm以上
- 治療には、液体窒素、メラニンをねらうレーザー、光治療(IPL)があります
- 指針は、日光黒子の治療にレーザー・光治療は有効で、治療を希望する人には「強く推奨する」としています。ただし、長い期間の検討や、ほかの治療法との比較は十分ではないとされています
- 日本人を含む有色人種では、炎症後の色素沈着や色が抜けるなどの合併症が起こりうるとされています
いちばん大事なのは「悪性のものとの見分け」
- 見分けが必要な病気として、肝斑、そばかす、ほくろ、悪性黒子(皮膚がんのひとつ)、脂漏性角化症、日光角化症などがあげられています
- 指針は、最も問題になるのは悪性腫瘍との見分けだとしています。疑わしいときは、レーザーの前にダーモスコピー(拡大して見る検査)や生検で調べる必要があります
- 不適切なレーザー治療をすると、見た目が変わって、がんの診断が難しくなる危険があるからです
- 日光黒子だと思ってレーザーを当てたあとに、悪性黒色腫(メラノーマ)の一種が出てきた例の報告もあり、治療前の病理検査をすすめる報告もあります
- ほくろのがんについてはほくろを取る前にの記事もどうぞ

プレ男シミだと思って焼いたら、がんだった…なんてこともあるのか。まず診てもらわなきゃ。
肝斑:まず日焼け対策と、塗り薬・飲み薬
- 肝斑は、主に両方の頬に左右対称にできるシミです。紫外線と女性ホルモンが主な悪化の原因で、よくなったり悪くなったりをくり返す、治りにくいシミとされています
- 対処では、遮光(日焼け対策)が必須で、その指導がいちばん重要とされています。そのうえで、美白剤やピーリング作用のある薬・化粧品、トラネキサム酸(研究をまとめた解析で有効と報告)などが使われます
- 指針は、肝斑へのレーザー・IPLについて、遮光や美白剤の塗り薬・飲み薬などで十分な効果が得られないときに、併用療法として行ってもよい(弱く提案)としています
- レーザーは、薬より短い期間で改善させられる利点がある一方、根本的に治すものではなく、再燃が多いため、長期間の使用はすすめられず、短期間の照射がすすめられるとした研究があります
- 日光黒子などに使う強い出力のレーザーでは、強い炎症で肝斑が悪化することが知られています

シミのレーザー治療は、まずシミの種類を診断することから始まります。悪性のものとの見分けが大切なので、皮膚科などで診てもらってから治療を選びましょう。
受ける前に確かめたいこと
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どの種類のシミと診断されたか
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どの機器で、何回くらい照射するのか。合併症(色素沈着、色が抜けるなど)、治療期間、費用の説明。指針は、施術者が機器の特性に習熟し、合併症や治療期間、費用まで含めた十分な説明と同意のもとで行うことを求めています
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ほかの方法(液体窒素、塗り薬・飲み薬、日焼け対策)の説明も受けて、自分で選ぶ
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「1回で必ず取れる」といった説明には注意しましょう
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ピーリングとの比較はケミカルピーリング、受ける前の全体のチェックは美容医療を受ける前の4つのチェックの記事もどうぞ
日焼け対策は、すべての基本
- 日光黒子は日光の当たる場所にでき、肝斑は紫外線で悪くなります。レーザーを受けても受けなくても、日焼け対策は続けましょう

メル美わたしのは頬の左右にあるから、肝斑かも。まずは皮膚科で診断してもらって、日焼け止めをちゃんと塗るね。

プレ男ぼくも診てもらう。営業の日は日焼け止めを塗るよ。
まとめ
- 「シミ」には日光黒子・肝斑・そばかす・炎症後色素沈着など、いろいろな種類がある。まず診断
- いちばん多い日光黒子には、レーザー・光治療(IPL)が有効で「強く推奨」
- 悪性腫瘍との見分けがいちばん大事。疑わしければレーザーの前に検査
- 肝斑は日焼け対策と美白剤・飲み薬が基本。レーザー・IPLは効果が不十分なときの併用として「弱く提案」。再燃しやすい
- 合併症は色素沈着・色が抜けるなど。説明と同意を
参考文献
- 日本皮膚科学会, 日本形成外科学会, 日本美容皮膚科学会, 日本美容外科学会(JSAPS), 日本美容外科学会(JSAS). 美容医療診療指針(令和元年度厚生労働科学特別研究事業). 日本美容外科学会会報 42(特別号), 2020. 第1章 シミ(基礎知識、CQ1-1-1、CQ1-1-2). https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/guideline/biyosinryo.pdf (閲覧日:2026年10月4日)
- 日本皮膚科学会, 日本形成外科学会, 日本美容皮膚科学会, 日本美容外科学会(JSAPS), 日本美容外科学会(JSAS). 美容医療診療指針(令和3年度厚生労働科学研究補助金). 日本美容外科学会会報 44(特別号). https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/guideline/biyo2v.pdf (閲覧日:2026年10月5日)(第1章。日光黒子・肝斑の推奨度は改訂版でも同じ)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。