糸で引き上げる「スレッドリフト」:学会の診療指針は「弱く推奨」。効果は一時的で、6か月で弱まり12か月でほぼなくなるという報告も。日本で承認された糸は1種類もない
日本皮膚科学会など5学会の「美容医療診療指針(令和3年度改訂版)」によると、スレッドリフトは、とげのついた特殊な糸を入れて顔のしわ・たるみを引き上げる治療です。指針は「効果が大きなものではなく、持続期間が短いことを十分に説明したうえで、行うことを弱く推奨」としています。6か月後には効果が弱まり、12か月後にはほとんど失われるという報告もあり、満足度の高い研究はどれも糸の製造会社の支援を受けていました。合併症は軽いものが多いものの、肉芽腫・感染・顔面神経まひなども報告されていて、日本でスレッドリフト用に承認された糸はありません。

メル美「切らないリフトアップ」「ダウンタイムほぼなし」って、糸を入れる治療の広告を見たの。フェイスリフトより手軽そう。

プレ男手軽なのはいいけど、効果はどのくらい続くんだろう?
こんにちは、Dr. Taro です。 「美容医療」から、今回はスレッドリフト(糸リフト)の話です。日本皮膚科学会・日本形成外科学会・日本美容皮膚科学会・日本美容外科学会(JSAPS・JSAS)の5学会による「美容医療診療指針(令和3年度改訂版)」(令和3年度厚生労働科学研究補助金)の「シワ・タルミに対するスレッドリフト治療」(CQ2-6)をもとにまとめました。
スレッドリフトってなに?
- 加工した特殊な糸を入れて、顔の皮膚の下の組織を引き上げる治療です
- 糸にとげ(バーブ)をつけることで、引き上げる力を多くのとげに分散させ、組織の傷みを減らして効果を長くする工夫がされています
- 大きく皮膚を切るフェイスリフト手術にくらべて、短時間でできて、ダウンタイムも少ないことなどから、日本ではとても多く行われています
- とげの形、固定のしかた、糸の素材(体に吸収される糸・吸収されない糸)、入れ方などのちがう非常に多くの製品が使われています
- ただし、日本でスレッドリフト用に承認された糸は1種類もなく、すべて未承認品であることを理解しておく必要があります
指針の評価:「弱く推奨」
- 指針は、「一時的に顔のしわ・たるみの改善が期待できる。その効果が大きなものではなく、効果の持続期間が短期間なものであることを十分に説明のうえ、行うことを弱く推奨できる」としています
- 有効性は「(限定的ではあるが)あり」、安全性は「合併症は軽いものが多く、比較的安全」とされています
効果は一時的
- 有効とする報告は多いものの、長く追いかけた研究は少なく、ほとんどは6か月以内の短期の結果です
- 長く観察した報告では、6か月後には効果が弱まり、12か月後にはほとんど効果が失われるとされています
- ほとんどの研究は主観的な評価で、客観的に評価した研究では、効果は短期間で、手術後のむくみや炎症によるものと結論づけています
- 満足度が高いという結果を出した研究は、どれも糸の製造会社から資金の支援を受けた研究でした
- どの糸を、どう入れ、何本使うのがよいかについても、合意は得られていません
- 一方、切開をともなうフェイスリフト手術と組み合わせると有効という報告があり、有望と考えられています

メル美1年でほとんど効果がなくなるかもしれないんだ…。満足度の高い研究が、糸の会社の支援を受けていたっていうのも気になるね。
合併症
- ほとんどは、皮膚の部分的なくぼみ、左右の非対称、内出血、糸がさわってわかる、痛みなどで、多くは一時的で、時間とともによくなる傾向があります
- ただし重い合併症として、肉芽腫(しこり)や感染のために糸を取り除く必要があった例、顔面神経まひ、まれに唾液の管(耳下腺管)の損傷やこめかみの動脈の仮性動脈瘤なども報告されています
- 吸収されない糸は、吸収される糸にくらべて、感覚の異常や糸が出てくる(露出)合併症が多いとされています

学会の診療指針では、スレッドリフトの効果は大きくなく、持続も短いとされています。日本で承認された糸はないことも含めて、医師から説明を受けて納得してから決めましょう。
受ける前に確かめたいこと
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どの糸を使うのか(吸収される糸か、吸収されない糸か)。日本ではすべて未承認
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効果の程度と、どのくらい続くか
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合併症と、糸を取り除く必要があるときの対応
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「切らずに一生もの」などの説明には注意しましょう
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ほかの方法(機械の治療、注入、手術)はしわ・たるみの機械の治療、顔の吸収されないフィラーの記事、受ける前のチェックは美容医療を受ける前の4つのチェックもどうぞ

メル美手軽さだけで決めないで、効果がどのくらい続くか、ちゃんと聞いてみる。
まとめ
- スレッドリフトは、とげのついた糸でしわ・たるみを引き上げる治療。日本で承認された糸はない
- 5学会の診療指針(改訂版)は「弱く推奨」。効果は大きくなく、一時的
- 6か月で弱まり、12か月でほぼなくなるという報告。満足度の高い研究は製造会社の支援つき
- 合併症は軽いものが多いが、肉芽腫・感染・顔面神経まひなども。吸収されない糸は合併症が多い
参考文献
- 日本皮膚科学会, 日本形成外科学会, 日本美容皮膚科学会, 日本美容外科学会(JSAPS), 日本美容外科学会(JSAS). 美容医療診療指針(令和3年度厚生労働科学研究補助金). 日本美容外科学会会報 44(特別号). 第2章第6節 シワ・タルミに対するスレッドリフト治療(CQ2-6). https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/guideline/biyo2v.pdf (閲覧日:2026年10月5日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。