【テクノロジー解説】電子は「壁をすりぬける」:ソニーの研究所にいた江崎玲於奈博士が、1958年に半導体で見つけた「トンネル効果」。トンネルダイオードや半導体レーザー、精密な電圧の測定へ(1973年ノーベル物理学賞)
ボールを壁に投げれば、はね返ります。でも量子の世界では、電子は粒であると同時に波でもあり、本来は通れないはずの壁を「すりぬける」ことがあります。これがトンネル効果です。1958年、当時ソニーの研究所で働いていた江崎玲於奈博士は、一見シンプルな実験で、半導体の中の新しいトンネル効果を示しました。この発見は「トンネルダイオード」に使われ、超伝導でのトンネル効果(ジェーバー博士)、ジョセフソン効果(ジョセフソン博士)の研究へとつながりました。応用は、トンネルダイオード、ある種の半導体レーザー、電圧の精密な測定などに広がりました(1973年ノーベル物理学賞)。

プレ男電子が壁をすりぬけるって、マンガの話じゃないの?

メル美「トンネル効果」っていって、日本人がノーベル賞をとった発見なんだって。
こんにちは、Dr. Taro です。 「テクノロジー解説」、今回はトンネル効果です。1973年のノーベル物理学賞の発表をもとにまとめました。
電子は「粒」で「波」
- 量子物理学では、電子は粒のようにも波のようにもふるまいます(シュレーディンガー方程式で表されます)
- 粒として考えると通れないはずの壁(障壁)も、波としてはしみこむように通りぬけることがあります
- 粒が禁じられた場所を「トンネルのように通りぬける」ので、トンネル効果とよばれます
- よく知られる例は、重い原子核のアルファ崩壊で、1928年にはトンネル効果で説明されていました
1958年:半導体の中のトンネル効果
- 固体の中でも、さまざまなトンネル効果が起こると予想されていましたが、理論と実験が食いちがうことが多く、トランジスタの発明のあとも、新しいトンネル効果はなかなか見つかりませんでした
- 最初の仕事をしたのは、当時、日本のソニーの研究所で働いていた江崎玲於奈博士です
- 江崎博士は、一見シンプルな実験で、半導体(電気を通す物質と通さない物質の中間の物質)の中に、新しい種類のトンネル効果があることを示し、1958年に論文を発表しました
- この発見は「トンネルダイオード」という半導体の部品に使われ、半導体のさらなる研究につながりました

プレ男会社の研究所での発見が、ノーベル賞に!
発見がつながっていった
- 江崎博士の1958年の仕事が土台になり、1960年、アイヴァー・ジェーバー博士が、超伝導の金属でのトンネル効果を実験で示しました
- それに刺激され、イギリスの若い物理学者ブライアン・ジョセフソン博士が、1962年に、超伝導で電圧をかけなくても電流がトンネルを流れるなどの「ジョセフソン効果」を予言しました
- 3人の発見は、それぞれ独立に行われましたが、たがいに深く結びついています
何に使われた?
1973年の発表によると、
- 半導体の分野では、トンネルダイオード、トンネル検出器、トンネルトランジスタ、ある種の半導体レーザー
- ジョセフソン効果は、物理の基本の定数の値の見直し、電圧を正確にはかる新しい方法、とても感度の高い精密測定などにつながりました

量子の世界では、電子は本来通れない壁をすりぬけることがあります。江崎玲於奈博士は1958年、半導体の中でこのトンネル効果を示し、トンネルダイオードなどの技術につながりました。
量子の技術つながり
- 量子の世界のふしぎ:量子コンピューターの土台「量子力学」ってなに?
- 半導体の部品:半導体チップとトランジスタ
- 光を出す半導体:レーザーってなに?

プレ男壁をすりぬける電子が、電子機器を支えてるなんてロマンがある。

メル美1人の発見が次の発見につながっていくのもいいね。
まとめ
- 電子は粒であり波。本来通れない壁をすりぬけることがある(トンネル効果)
- 1958年、ソニーの研究所の江崎玲於奈博士が、半導体の中の新しいトンネル効果を示した
- トンネルダイオードへ。ジェーバー博士(1960年、超伝導)、ジョセフソン博士(1962年)へとつながった
- トンネルダイオード、半導体レーザー、精密な電圧の測定などに
- 1973年ノーベル物理学賞
参考文献
- The Royal Swedish Academy of Sciences. Press release: The Nobel Prize in Physics 1973. NobelPrize.org. https://www.nobelprize.org/prizes/physics/1973/press-release/ (閲覧日:2026年10月10日)
- NobelPrize.org. Leo Esaki — Facts. https://www.nobelprize.org/prizes/physics/1973/esaki/facts/ (閲覧日:2026年10月10日)
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