
プレ男京都の嵐山の奥に、石仏がびっしり並んだお寺があるって聞いたよ。ネットだと「心霊スポット」って書かれてて…。

メル美化野念仏寺だね。どうして石仏があんなにたくさんあるのか、まず歴史を知りたいな。
今回は、京都・奥嵯峨の化野念仏寺(あだしのねんぶつじ)です。お寺の公式サイトの説明をもとにまとめました(2026年10月22日に閲覧)。このサイトでは、「出る」とは言いません。
プロフィール
| 正式名 | 華西山東漸院念仏寺(かさいざん とうぜんいん ねんぶつじ)。通称「あだし野念仏寺」 |
| 場所 | 京都市右京区嵯峨鳥居本化野町17 |
| 宗派 | 浄土宗 |
| はじまり | 寺伝では約1200年前、弘法大師空海が「五智山如来寺」を開いたのが最初 |
| 見どころ | 約8000体の石仏・石塔が並ぶ「西院の河原(さいのかわら)」、竹林、8月の千灯供養 |
「あだし野」は、平安時代からの葬送の地
- 公式サイトによると、あだし野(化野)の地は平安時代から葬送の地とされていました
- はじめは風葬(遺体を野にそのまま置いて弔うこと)でしたが、のちに土葬となり、人々は石仏や石塔を祀るようになりました
- 平安から鎌倉時代にかけてくり返された戦乱や疫病で、多くの人が亡くなりました。その時代、あだし野は、東の鳥辺野(とりべの)、北の蓮台野(れんだいの)とともに、風葬の地だったといいます
- 「あだし」は「はかない・むなしい」という意味。公式サイトは、「化」の字には「生」が化して「死」となり、この世に再び生まれることや、極楽浄土に往生する願いが示されている、と説明しています

メル美戦や病気で亡くなった人たちが、ここで弔われてきたんだね。
『徒然草』の「あだし野の露」
- 兼好法師の『徒然草』第7段は、あだし野の名で始まります。佐藤春夫の現代語訳(青空文庫)では「あだし野の露が消ゆることもなく、鳥部山に立つ煙が消えもせずに、人の命が常住不断のものであったならば、物のあわれというものもありそうもない。人の世は無常なのがけっこうなのである」
- あだし野と鳥部山(鳥辺野)という2つの葬送の地を並べて、人の命のはかなさを語った一節です。『徒然草』の別の段は、猫又の記事でも紹介しています
空海の寺から、法然の念仏道場へ
- 寺伝によると、お寺ができたのは約1200年前。真言宗を開いた弘法大師空海が、この地に埋葬された人々を祀るために「五智山如来寺」を開いたのが最初とされています
- その後、浄土宗を開いた法然上人が「常念仏道場」とし、いまは浄土宗のお寺です
- 現在の本堂は、正徳2年(1712年)に岡山県から来た寂道和尚が再建したもの。本尊は鎌倉時代の仏師湛慶(たんけい)作と伝わる阿弥陀如来坐像です
約8000体の「西院の河原」
- 境内の中央にあるのが「西院の河原」。無縁仏となった古い時代の人々のお墓を集めた場所です。観光庁の多言語解説文によると、低い石垣に囲まれた空間に、約8000の石仏・石塔が並んでいます
- これらは、あだし野の山野に散乱し、埋もれていた石仏や石塔です。明治中期に、地元の人々の手で集められました
- 並べ方にも意味があります。極楽浄土で阿弥陀仏の説法を聴く人々になぞらえて、中央に向かう配列で安置され、中央には十三重の塔と阿弥陀如来坐像が祀られています
- 名前は「賽の河原」に由来します。親より先に亡くなった子どもたちが河原の石を積んで塔を作り、鬼にこわされても積みつづけ、そこへ地蔵菩薩があらわれて救う——空也上人の地蔵和讃に歌われるその光景を、化野の風景が思わせることから「西院の河原」と呼ばれるようになった、と公式サイトは説明しています

プレ男あの石仏、ばらばらに埋もれていたのを、地元の人たちが集めたんだ…。こわい場所じゃなくて、弔いなおした場所なんだね。
8月の「千灯供養」
- 毎年8月の夕刻、西院の河原で無縁仏にろうそくを灯し、お供えする行事です
- 始まりは、明治中期に地元の人々が石仏・石塔を寺に集めて供養したこと
- 公式サイトはこう書いています。いまは無縁仏として祀っているけれど、時代をさかのぼれば私たちのご先祖様もいらっしゃるかもしれない。だから決して私たちとは無縁ではない
- 日程・時間は年によって変わることがあるので、行く前に公式サイトで確かめてください(2026年10月22日閲覧時の案内は「8月最終土曜日・日曜日」)

西院の河原の石仏・石塔は、あだし野の山野に散乱・埋没していたものを、明治中期に地元の人々が集めて安置したものです。千灯供養は、その供養から始まった行事です。
訪れるときのマナーと法律
- ここは、無縁仏を供養しているお寺の境内です。大声・騒ぐのはやめましょう。観光庁の多言語解説文は、西院の河原の中での写真撮影は禁止と案内しています。石仏や石塔に触ったり、のぼったり、動かしたりしない
- 境内の奥には水子地蔵尊の祠もあり、子どもを亡くした人が手を合わせに来る場所です。そうした人の気持ちに配慮しましょう
- 拝観は昼間の決まった時間だけです。閲覧時の案内では、受付は9時〜16時30分(1・2・12月は15時30分まで)。暴風警報や積雪・凍結の日は休観になることがあります。拝観料は大人500円、中学生・高校生400円
- 「肝試し」で夜にしのびこむのはやめましょう。刑法第130条(住居侵入等)は、正当な理由なく人が管理する建造物などに入ったり、出ていくよう言われても出なかったりした人を、3年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金としています。門が閉まったあとに入らないこと
- まわりは人が暮らす町です。深夜の話し声や路上駐車で近所の迷惑にならないように

メル美昼間に行って、静かに手を合わせたいな。8月の千灯供養も見てみたい。
まとめ
- あだし野(化野)は平安時代からの葬送の地。はじめは風葬、のちに土葬となり、人々は石仏・石塔を祀った
- 寺伝では、空海が五智山如来寺を開き、のちに法然が常念仏道場に。いまは浄土宗の華西山東漸院念仏寺
- 約8000体の「西院の河原」は、山野に散らばっていた石仏・石塔を明治中期に地元の人々が集めたもの
- 8月の千灯供養は、無縁仏にろうそくを灯す行事。公式サイトは「私たちとは無縁ではない」と書く
- 「心霊スポット」ではなく、供養の場。夜の侵入はせず、昼の拝観時間に静かに
- 江戸の刑場跡の鈴ヶ森・小塚原、東京の青山霊園もどうぞ
参考文献
- 華西山東漸院念仏寺(あだし野念仏寺). 公式サイト(由来・西院の河原・千灯供養・本堂・水子地蔵・拝観案内). https://www.nenbutsuji.jp/ (閲覧日:2026年10月22日)
- 兼好法師(佐藤春夫訳). 現代語訳 徒然草 第七段(底本:現代語訳 徒然草、河出文庫、河出書房新社、2004年). 青空文庫. https://www.aozora.gr.jp/cards/002238/card61411.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 観光庁. 地域観光資源の多言語解説文データベース「西院の河原」(あだし野念仏寺). https://www.mlit.go.jp/tagengo-db/common/001542745.docx (閲覧日:2026年10月22日)
- 刑法(明治40年法律第45号)第130条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045 (閲覧日:2026年10月22日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
