
メル美叔母が健診でALTとASTが高いって言われて、肝炎ウイルスの検査は陰性、お酒も飲まないんだって。何が原因なんだろう。

プレ男脂肪肝とかでもなければ、ほかにどんな原因があるのかな。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、自己免疫性肝炎(AIH)の話です。難病情報センターの「自己免疫性肝炎」(令和7年12月更新、難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究班)をもとにまとめました。健診の肝機能の見方は健診の肝機能検査の記事にまとめています。
どんな病気?
- 多くは慢性に経過する肝炎で、肝細胞が少しずつ傷みます。血液検査では、肝細胞が壊れる程度を表すAST・ALTが上がります
- 免疫の異常が関係していると考えられています。血液検査で自己抗体(抗核抗体など)が陽性になり、IgGという免疫グロブリンが高くなります
- 肝炎ウイルス、お酒、薬による肝障害や、ほかの自己免疫の病気による肝障害を除いて診断します(肝炎ウイルス検査)
- ウイルス感染や薬、妊娠・出産のあとに発症することもあり、引き金になる可能性が報告されています。遺伝することはありません
どんな人に多い?
- 2018年の調査では、全国に推定30,000人(人口10万人あたり24人)。2004年の約9,000人から、14年で約3倍に増えています
- 男女比は1対4で女性に多く、50〜60歳代が中心です。若い女性や子どもでも珍しくなく、最近は男性や高齢の人も増えています
症状
- ふつうは自覚症状がなく、健診などで偶然見つかることが多い病気です
- だるさ、疲れやすさ、食欲不振を感じる人もいます。急性肝炎として始まると、だるさ、黄疸などが出ます
- 進んだ状態で見つかることもあり、肝硬変になると、足のむくみ、腹水によるおなかの張り、吐血などが起こることがあります

プレ男お酒やウイルスが原因じゃなくても、免疫が自分の肝臓を攻撃して数値が上がることがあるんだ。
治療
- 治療の基本はステロイドの飲み薬です。肝機能の数値をみながら、ゆっくり量を減らします。治療の目標は、ALTとIgGを正常にすることです
- ほかの免疫抑制薬を一緒に使って、ステロイドを減らしたり、やめたりできることもあります
- ただし、薬を完全にやめると、多くの場合再燃するため、数値が安定する最低限の量を長く飲み続ける必要があります。自己判断でやめないことが大切です
- ステロイドの副作用(胃潰瘍、糖尿病、脂質異常症、骨粗しょう症など)にも注意し、とくに中年以降の女性は定期的に骨密度検査を受けましょう
経過
- 進み方はとてもゆっくりですが、治療をしないと進行は早く、肝硬変から肝不全になることもまれではありません
- 適切な治療を受けた人のほとんどでは、肝臓の炎症が速やかによくなり、進行もみられなくなります。数値が安定している人の長い目で見た経過は良好で、死亡率は一般の人と差がないことが示されています
日常生活の注意
- ステロイドで食欲が増え、太りやすくなるので、食事の量に気をつけ、体重が増えないようにしましょう
- ステロイドが多めの時期は、人の多いところでマスクをつけるなど感染に注意します。維持量なら、仕事や旅行に制限はありません
- インフルエンザなどの不活化ワクチンは接種がすすめられています。ステロイドや免疫抑制薬を飲んでいるときは、生ワクチンは原則として接種できません
- 妊娠中は落ち着くことが多い一方、出産後に悪くなることがあるので、主治医と産科の医師によく相談しましょう

自己免疫性肝炎は、自覚症状がなく健診で見つかることが多い病気ですが、治療しないと肝硬変に進むこともあります。適切な治療で数値が安定していれば経過は良好です。薬は自己判断でやめないようにしましょう。
- 胆管の自己免疫の病気は原発性胆汁性胆管炎の記事もどうぞ

メル美原因がわからないままにしないで、精密検査を受けるように叔母にすすめてみるね。
まとめ
- 免疫が肝臓を攻撃し、AST・ALTが上がる肝炎
- ウイルス・お酒・薬による肝障害を除いて診断
- 50〜60歳代の女性に多く、14年で約3倍の約3万人
- 自覚症状なしで健診で見つかることが多い。治療しないと肝硬変に
- ステロイドがよく効く。自己判断でやめると再燃。安定すれば経過は良好
参考文献
- 難病情報センター. 自己免疫性肝炎(指定難病95)(情報更新日:令和7年12月、難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究班). https://www.nanbyou.or.jp/entry/113 (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。