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プレ男売春って法律で禁止されてるんでしょ?なのに「売るほうも買うほうも罰則はない」って聞いて、よくわからなくなったんだ。

メル美2026年には、法務省の検討会でこの法律の見直しが話し合われたんだって。いっしょに条文から読んでみよう。
今回は、売春防止法(昭和31年法律第118号)を深く掘りさげます。条文はe-Gov法令検索で、法律の歴史・統計・見直しの議論は、法務省の「売買春に係る規制の在り方検討会」の配布資料の原文で確認しました。法律のあらましは風営法と売春防止法、戦後の歴史は「赤線」とは何だったのかの記事で紹介しています。この記事は一般的な情報です。実際の事件について罪になるかどうかは、警察・検察・裁判所の判断によります。
この法律の目的と「売春」の定義
1条は、目的をこう書いています。
この法律は、売春が人としての尊厳を害し、性道徳に反し、社会の善良の風俗をみだすものであることに鑑み、売春を助長する行為等を処罰することによつて、売春の防止を図ることを目的とする。
- 売春が「よくない」理由として、人としての尊厳、性道徳、社会の善良の風俗の3つがならんでいます
- そのうえで、罰するのは「売春を助長する行為等」だと書いています。売春そのものを罰する、とは書いていません
2条は「売春」をこう定めています。
この法律で「売春」とは、対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交することをいう。
- ポイントは、お金などの対償、不特定の相手方、性交の3つです
- 性交ではない性的なサービスは、この定義の「売春」にはあたりません。性風俗のお店のルールは、風営法で決められています
問題1:「禁止」なのに、罰則がない
3条はこう定めています。
何人も、売春をし、又はその相手方となつてはならない。
- 「何人も」なので、売る人も、買う人も禁止されています
- ところが、3条を破ったときの罰則は、どこにもありません。法務省の検討会の報告書(案)も、売春をすること、その相手になることは「法第3条において禁止されているものの、処罰対象とはされていない」と書いています
- 4条には、「この法律の適用にあたつては、国民の権利を不当に侵害しないように留意しなければならない」という注意書きもあります

プレ男罰則がないなら、やってもいいってこと?

メル美ちがうよ。罰則がなくても、法律で禁止された違法な行為なんだ。検討会でも「教育の場でしっかり伝えるべき」という意見が出ていたよ。
はじめは、売る人も買う人も罰する案だった
法務省の資料「売春防止法の制定・主要な改正の経緯等」によると、この法律ができるまでには、こんな流れがありました。
| 年 | できごと |
|---|---|
| 昭和23年 | 「売春等処罰法案」が出される。売買春をした人を6月以下の懲役などで罰する案だったが、成立せず |
| 昭和28〜30年 | 売買春そのものを罰する法案が何度か出されたが、いずれも成立せず |
| 昭和31年 | 売春防止法が成立。売買春そのものを罰する規定は入らなかった。かわりに、婦人相談所などで女性を保護する「保護更生」の規定が入った(本人の承諾が前提) |
| 昭和33年 | 改正で「補導処分」を導入。5条の罪をおかした女性を、本人の承諾がなくても婦人補導院に収容して補導できるようにした |
| 平成3年 | 罰金等臨時措置法の改正で、5条の罰金(1万円以下)が2万円以下としてあつかわれるようになる |
| 令和4年 | 困難な問題を抱える女性への支援に関する法律で、保護更生と補導処分の規定を削除。刑法などの改正にあわせて、懲役を拘禁刑に改め、5条の罰金を「2万円以下」に |
- いまの売春防止法の目次は、第1章 総則と第2章 刑事処分だけです
- 女性への支援の法律(令和4年法律第52号)は、令和6年(2024年)4月1日から施行されました。その附則で婦人補導院法は廃止され、婦人相談所は女性相談支援センター、婦人保護施設は女性自立支援施設とみなされることになりました
問題2:罰せられるのは、だれ?
罰則があるのは、2章の5条〜13条です。
| 行為 | 条文 | 刑 |
|---|---|---|
| 売春をする目的で、公衆の目にふれる方法で勧誘する、道路などで立ちふさがる・つきまとう、客待ちをする、広告などで誘う | 5条 | 6月以下の拘禁刑または2万円以下の罰金 |
| 売春の周旋(あっせん)をする | 6条1項 | 2年以下の拘禁刑または5万円以下の罰金 |
| 周旋をする目的で、人を勧誘する、立ちふさがる・つきまとう、広告などで誘う | 6条2項 | 同上 |
| だましたり困らせたり、親族の影響力を使ったりして売春をさせる | 7条1項 | 3年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金(未遂も罰する) |
| 脅したり暴力をふるったりして売春をさせる | 7条2項 | 3年以下の拘禁刑、または3年以下の拘禁刑と10万円以下の罰金(未遂も罰する) |
| 7条の罪をおかした人が、売春の対償を受けとる・要求する・約束する | 8条1項 | 5年以下の拘禁刑および20万円以下の罰金 |
| 親族の影響力を使って、売春をした人に対償を要求する | 8条2項 | 3年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金 |
| 売春をさせる目的で、前貸しなどでお金をわたす | 9条 | 3年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金 |
| 人に売春をさせる契約をする | 10条 | 3年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金(未遂も罰する) |
| 事情を知って、売春の場所を提供する | 11条1項 | 3年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金 |
| 売春の場所の提供を業とする | 11条2項 | 7年以下の拘禁刑および30万円以下の罰金 |
| 自分の管理する場所などに人を住まわせて、売春をさせることを業とする | 12条 | 10年以下の拘禁刑および30万円以下の罰金 |
| 事情を知って、11条2項・12条の業に資金・土地・建物を提供する | 13条 | 5年以下(11条2項の業)または7年以下(12条の業)の拘禁刑と罰金 |
- 9条〜13条は、会社などの業務としておかしたとき、会社なども罰金を科されます(14条、両罰)
- 刑がいちばん重いのは12条(10年以下)です。売春をする人よりも、まわりで売春をさせ、利益を得る人を重く罰するしくみです
- 売る人が罰せられるのは、ほぼ5条(公衆の目にふれる勧誘・客待ち・広告)だけです。そして5条は、売る人の側の行為だけを罰しています。買う人が道で声をかけても、5条の罪にはなりません
5条の人への特例(16条)
- 16条は、5条の罪だけで拘禁刑を言いわたすときは、刑法25条2項ただし書を適用しないと定めています
- 刑法25条2項は、執行猶予中の人に、もう一度だけ執行猶予をつけられる場合を定めています。そのただし書は、この2項で執行猶予になって保護観察がついた人が、その期間内にまた罪をおかしたときは、もう執行猶予はつけられない、という決まりです。16条により、5条の罪については、この制限がはずれます
問題3:5条の事件は、どうなっている?
法務省刑事局の調査「売春防止法違反事件の受理・処理状況等」(検討会の第1回の配布資料)から、令和6年に検察が処理を終えた(既済)事件を見てみます。
| 適用された条文 | 処理を終えた数 | 起訴 | 起訴猶予 | 家庭裁判所に送致 |
|---|---|---|---|---|
| 5条3号(客待ち・広告など) | 297 | 28(公判請求3・略式命令請求25) | 186 | 29 |
| 6条1項(周旋) | 121 | 70(公判請求60・略式命令請求10) | 27 | 4 |
| 11条2項(場所の提供を業とする) | 117 | 68(公判請求67・略式命令請求1) | 33 | — |
| すべての条文の合計 | 627 | 209 | 266 | 34 |
- 処理を終えた627件のうち、およそ半分(297件)が5条3号でした
- 5条3号の297件のうち、起訴は28件で、起訴猶予が186件でした。家庭裁判所に送られた(少年の事件)ものも29件あります
- いっぽう、周旋(6条1項)は121件のうち70件が起訴され、そのうち60件が公判請求(正式な裁判)でした
- 数字は事件の数で、「件」の数え方は法務省の表によります。このほかの処理(他の検察庁への送致など)もあるので、横の数字を足しても合計にはなりません

メル美売る側の「客待ち」の事件がいちばん多いんだね。でも、その多くは起訴されていないんだ。
問題4:2026年、法務省の検討会で何が話し合われた?
法務省は、2026年3月から「売買春に係る規制の在り方検討会」を開きました。開催の趣旨は、「路上等における売買春の勧誘行為等が社会的な問題として指摘されるなどしている」ことをふまえた検討です。座長は早稲田大学の北川佳世子教授で、検察官・裁判官・警察庁の課長・研究者・弁護士などが委員です。売春をする人の支援をしている民間団体、東京都女性相談支援センター、新宿区などからもヒアリングをしました。
ここでは、第9回会議(令和8年9月17日)で示された「取りまとめ報告書(案)〔改訂版〕」の内容を紹介します。報告書(案)は、法律がこう変わる、と決めたものではありません。法務省に「必要な法整備に向けた具体的な検討」を求めるものです。
| 論点 | 報告書(案)に書かれた結論 |
|---|---|
| 売る人・買う人を罰するか | 売春をする人を罰することには慎重であるべき、という意見に異論はなかった。買う人を一律に罰することにも、慎重な検討が必要という意見に異論はなかった |
| 買う人の勧誘を罰するか | 売る人の勧誘は罰せられるのに、買う人の勧誘は罰せられないという「不均衡を是正する必要がある」などとして、何らかの規制を設けるべきという意見に異論はなかった。条例ではなく法律で規制すべきという意見が大勢 |
| 売る人の勧誘(5条)をなくすか | 廃止すべきという意見もあったが、維持するのが適当という意見が大勢 |
| 「売春」の定義を広げるか | 性交以外の性的な行為を対象にすることは、現時点では慎重な検討が必要という意見が大勢 |
| 刑の重さ | 拘禁刑の上限を上げる必要があるとはいいがたい。罰金の上限は引き上げる必要があるという意見に異論はなかった |
| 1条の目的・法律の名前 | 「性道徳」をはずす、「買春」を主語にする、「売買春防止法」に名前を変える、などの意見が出たが、改めることには慎重な検討が必要という意見が大勢 |
買う人を一律に罰しない理由
報告書(案)は、買う人を一律に罰することに慎重な理由として、こんな意見をあげています。
- 成人どうしの同意にもとづく性交について、その同意を無効とすることを理論的・法的に正当化するのはむずかしい
- 「売る人はみな保護の対象、買う人はみな搾取する人」という前提で罰することに、いまは社会的なコンセンサスがない
- 一律に罰すると、売買春が地下にもぐって見えにくくなり、売る人の危険が高まったり、福祉の支援がとどきにくくなったりするおそれがある
買う人の勧誘で、どんな行為を罰する?
- 公衆の目にふれる方法での勧誘や、SNSなどのインターネットを使った誘引など、5条と同じような行為を罰することが考えられる、という意見が出ました
- 売る人をさがして路上を歩きまわる、売る人からの勧誘に応じる、といった行為も罰するべきという意見もありました
- これに対しては、売春の相手になる目的のある人と、ない人を、見た目のふるまいで区別して立証するのはむずかしい、罰するべきでない人がまちがって罰せられないよう、条文を明確に書けるかが課題だ、という意見も出ています
外国ではどうなっている?
法務省刑事局の調査「諸外国における売買春に係る規制の概要」(検討会の第1回の配布資料。成人の売買春についてのもの)によると、国によって規制はさまざまです。
| 国 | 売春そのもの | 売る人の勧誘など | 買春そのもの | 買う人の勧誘など |
|---|---|---|---|---|
| 米国(ニューヨーク州・ネバダ州) | 罰する | 罰する | 罰する | 罰する |
| カナダ | 罰しない | 罰しない | 罰する | 罰する |
| 英国(イングランド・ウェールズ) | 罰しない | 罰する | 罰しない | 罰する |
| ドイツ | 罰しない | 罰しない | 罰しない | 罰しない |
| フランス | 罰しない | 罰しない | 罰する | 罰する |
| オランダ | 罰しない | 罰しない | 罰しない | 罰しない |
| ベルギー | 罰しない | 罰する | 罰しない | 罰する |
| スウェーデン | 罰しない | 罰しない | 罰する | 罰する |
| 韓国 | 罰する | 罰する | 罰する | 罰する |
| (参考)日本のいま | 禁止・罰則なし | 罰する(5条) | 禁止・罰則なし | 罰則なし |
- 資料の注によると、ネバダ州では公認の売春施設での行為は犯罪とされていません。カナダは、法律上、売春をする人は起訴されないこととされています。韓国の勧誘などの規定は、売買春をする本人を念頭においた規定ではないと解されている、とされています
- 買う側だけを罰する国(カナダ・フランス・スウェーデン)もあれば、両方を罰する国、どちらも罰しない国もあります
- 日本のいまの法律は、売る人の勧誘だけを罰し、買う人の勧誘は罰しないという形で、検討会が「不均衡」とよんだのは、この点です
売春をする人への支援
- 報告書(案)は最後に、売春をする人の多くが「家庭環境の問題や経済的困窮等の困難な事情を抱え、保護・支援を必要とする」として、警察や検察などの関係機関に、より適切な対応を期待すると書いています
- 5条の事件の処分を決めるときに、売春にいたった経緯や経済的な事情、支援の必要性を十分に考えることについて、法律に何らかの規定を設けることもふくめて検討すべき、という意見も出ました
- 困難な問題を抱える女性への支援に関する法律により、都道府県には女性相談支援センターがおかれ(9条)、相談、一時保護、心と体の回復のための援助、仕事や住まいについての情報提供などをおこないます

プレ男お金にこまって、どうしようもなくなっている人もいるんだね。

メル美ひとりでかかえこまないで、都道府県の女性相談支援センターなどに相談できるよ。ホストの売掛で売春をもとめられたときのことは、[ホストクラブの記事](/posts/host-club-law/)にも書いてあるね。

売春防止法3条は、売春をすることも、その相手になることも禁止しています。罰則がないからといって、許されているわけではありません。
まとめ
- 売春防止法は、売春をすることも、その相手になることも禁止(3条)。ただし、そのものには罰則がない
- 罰せられるのは、売る人の公衆の目にふれる勧誘・客待ち・広告(5条)と、周旋・だましや脅しで売春をさせる・場所の提供・売春をさせる業など、まわりで売春を助長する行為(6条〜13条)。いちばん重いのは12条の10年以下の拘禁刑
- 制定前には売買春そのものを罰する法案もあったが、成立しなかった。補導処分は令和6年4月に廃止され、女性への支援は新しい法律にうつった
- 令和6年に検察が処理を終えた627件のうち297件が5条3号で、その多くは起訴猶予
- 2026年の法務省の検討会の報告書(案)では、買う人の勧誘も法律で規制すべきという意見に異論がなかった。売る人・買う人そのものを罰すること、「売春」の定義を広げることには慎重
- 性風俗のお店のルールは風営法と売春防止法、戦後の歴史は「赤線」とは何だったのか、ホストの売掛はホストクラブの記事、18歳未満との性的な行為は児童ポルノ禁止法もどうぞ
参考文献
- 売春防止法(昭和31年法律第118号)第1条〜第16条・附則. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/331AC0000000118 (閲覧日:2026年10月12日)
- 困難な問題を抱える女性への支援に関する法律(令和4年法律第52号)第9条・附則. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/504AC0100000052 (閲覧日:2026年10月12日)
- 刑法(明治40年法律第45号)第25条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045 (閲覧日:2026年10月12日)
- 法務省. 売買春に係る規制の在り方検討会. https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00223.html (閲覧日:2026年10月12日)
- 法務省. 売買春に係る規制の在り方検討会 第9回会議配布資料8「売買春に係る規制の在り方検討会」取りまとめ報告書(案)〔改訂版〕(PDF). https://www.moj.go.jp/content/001470773.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 法務省. 売買春に係る規制の在り方検討会 第1回会議配布資料2 売春防止法違反事件の受理・処理状況等(PDF). https://www.moj.go.jp/content/001458890.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 法務省. 売買春に係る規制の在り方検討会 第1回会議配布資料3 諸外国における売買春に係る規制の概要(PDF). https://www.moj.go.jp/content/001458891.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 法務省. 売買春に係る規制の在り方検討会 第1回会議配布資料4 売春防止法の制定・主要な改正の経緯等(PDF). https://www.moj.go.jp/content/001458929.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。