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プレ男前に、刑法175条の「わいせつ物」の罪を読んだよね。子どもの画像の法律は、それとはちがうの?

メル美「児童ポルノ禁止法」っていう別の法律があるの。守ろうとしているものが、そもそもちがうんだって。
今回は、児童ポルノ禁止法を深く掘りさげます。正式な名前は「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」(平成11年法律第52号)です。条文はe-Gov法令検索で、判例は裁判所ウェブサイトの最高裁決定の原文で、統計は警察庁の広報資料「令和7年における少年非行及び子供の性被害の状況について」(令和8年2月26日)で確認しました。この記事は一般的な情報です。実際の事件について罪になるかどうかは、警察・検察・裁判所の判断によります。
この法律が守るもの
1条は、目的をこう書いています。
この法律は、児童に対する性的搾取及び性的虐待が児童の権利を著しく侵害することの重大性に鑑み、あわせて児童の権利の擁護に関する国際的動向を踏まえ、児童買春、児童ポルノに係る行為等を規制し、及びこれらの行為等を処罰するとともに、これらの行為等により心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置等を定めることにより、児童の権利を擁護することを目的とする。
- 刑法175条(わいせつ物頒布等罪)について、最高裁は、守るものを「性的秩序」や「健全な性風俗」としてきました
- これに対して児童ポルノ禁止法が守るのは、児童の権利です。被害を受けるのは、写された一人ひとりの子どもです
「児童」と「児童ポルノ」の定義(2条)
- 「児童」とは、18歳に満たない者です(1項)
- 「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物であって、次のいずれかの児童の姿態を、視覚により認識することができる方法により描写したものです(3項)
| 号 | 児童の姿態 |
|---|---|
| 1号 | 児童を相手方とする、または児童による性交又は性交類似行為にかかる児童の姿態 |
| 2号 | 他人が児童の性器等をさわる行為、または児童が他人の性器等をさわる行為にかかる児童の姿態で、性欲を興奮させ又は刺激するもの |
| 3号 | 衣服の全部または一部をつけない児童の姿態で、ことさらに児童の性的な部位(性器等もしくはその周辺部、臀部又は胸部)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの |
- 「性器等」は、条文で「性器、肛門又は乳首」と定められています(2条2項)
3条:「濫用してはならない」
3条は、この法律を使うときの注意として、学術研究、文化芸術活動、報道等に関する国民の権利及び自由を不当に侵害しないように留意し、児童を性的搾取・性的虐待から守るという本来の目的を逸脱して、他の目的のために濫用してはならない、と定めています。

プレ男法律の中に、「使いすぎに注意」ってわざわざ書いてあるんだ。
何をすると罪になるのか(4条〜8条)
| 条 | 行為 | 刑 |
|---|---|---|
| 4条 | 児童買春をする | 5年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金 |
| 5条 | 児童買春の周旋(あっせん)をする | 5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金(併科も)。業とすれば7年以下の拘禁刑及び1000万円以下の罰金 |
| 6条 | 周旋の目的で、児童買春をするよう勧誘する | 5条と同じ |
| 7条1項 | 自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持する(データの保管も) | 1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 |
| 7条2項 | 児童ポルノを提供する(ネットでデータを送ることも) | 3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金 |
| 7条3項 | 提供の目的で、製造・所持・運搬・輸入・輸出する | 2項と同じ |
| 7条4項 | 児童に姿態をとらせ、写真やデータに描写して、児童ポルノを製造する | 2項と同じ |
| 7条5項 | ひそかに児童の姿態を描写して、児童ポルノを製造する | 2項と同じ |
| 7条6項 | 不特定もしくは多数の者に提供する、公然と陳列する | 5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金(併科も) |
| 7条7項 | 6項の目的で、製造・所持・運搬・輸入・輸出する | 6項と同じ |
| 8条 | 児童買春の相手方にしたり、児童ポルノを製造したりする目的で、児童を売買する | 1年以上10年以下の拘禁刑(未遂も罰する) |
- 児童買春(2条2項)は、児童や、あっせんした人、保護者などに対償を供与し、またはその約束をして、児童と性交等をすることです
- 3条の2は、だれであっても、児童買春をし、またはみだりに児童ポルノを所持し、データを保管することなどをしてはならない、と定めています
「持っているだけ」の罪には、しぼりがある
7条1項は、所持で罰せられる人を、自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る、としています。
- つまり、自分の意思で持つようになった人で、それが明らかにみとめられる人だけです
- いまの7条1項は、平成26年の改正法(平成26年法律第79号)による規定です。改正法の附則は、改正後の7条1項は施行の日から1年間は適用しないと定めていました
年齢を知らなかった、は通るのか(9条)
- 9条は、児童を使用する者は、児童の年齢を知らないことを理由として、5条・6条・7条2項〜8項・8条の処罰を免れることができない、と定めています。ただし、過失がないときは、この限りではありません
海外でしても(10条)
- 10条は、4条〜6条、7条1項〜7項などの罪について、刑法3条の例に従うと定めています。刑法3条は、日本国民が国外で罪を犯した場合にも罰する規定です
- 7条8項は、不特定多数への提供などの目的で、児童ポルノを外国に輸入し、又は外国から輸出した日本国民も罰するとしています

メル美旅行先の外国でも、日本人がしたことは日本の法律で罰せられることがあるんだね。
問題1:絵やCGも「児童ポルノ」になるのか
最高裁令和2年1月27日決定(第一小法廷)は、この問いに答えました(平成26年の改正前の法律についての判断です)。
- 最高裁は、2条3項の「児童ポルノ」とは、写真やデータの記録媒体などであって、実在する児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいい、実在しない児童の姿態を描写したものは含まないと解すべきだ、としました
- いまの2条3項も、「写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物であって、…児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したもの」という同じ形の定義です
問題2:写真の本人が大人になってから作ったら?
同じ決定の事件では、被告人は、昭和57年から59年にかけて初版が出た写真集の写真3点をもとに、画像編集ソフトでCGを作り、不特定または多数の人に提供する目的で、ハードディスクに保存していました。写真は、実在する18歳未満の人を写したものでした。
- 弁護側は、製造罪が成り立つには、製造したときに、描写されている人が18歳未満の実在の人でなければならない、と主張しました
- 最高裁は、製造罪が成り立つには、目的をもって、児童の姿態を視覚により認識できる方法で描写した物を製造すれば足り、描写されている人が製造の時点で18歳未満であることは必要ない、としました。上告は棄却(裁判官全員一致)
- 山口厚裁判官の補足意見は、その理由をこう述べています
- 実在する児童の性的な姿態を記録すること自体が性的搾取であり、記録された姿態が他人の目にさらされることで、さらなる性的搾取が生じうる
- 製造罪は、このような性的搾取の対象とされないという利益の侵害を処罰の直接の根拠としており、この利益は、本人が児童である間だけでなく、本人がたとえ18歳になったとしても、引き続き、同等の保護に値する

プレ男大人になっても、子どものころの写真が広まるのは、本人にとってずっとつらいことだもんね。
問題3:いま、どんな被害が多いのか(警察庁 令和7年)
警察庁の資料によると、令和7年の児童ポルノ事犯は、次のとおりです。
| 令和7年 | |
|---|---|
| 検挙件数 | 2,654件 |
| 検挙人員 | 1,256人(そのうち約6割の718人が10代) |
| 被害児童数 | 1,273人 |
被害児童1,273人の内訳です。
| 学職別 | 人数 |
|---|---|
| 未就学 | 23人 |
| 小学生 | 177人 |
| 中学生 | 556人 |
| 高校生 | 490人 |
| その他 | 27人 |
| 被害の態様 | 人数 |
|---|---|
| 児童が自らを撮影した画像に伴う被害 | 515人 |
| 盗撮 | 164人 |
| 児童買春・みだらな性行為等 | 152人 |
| 不同意性交等・不同意わいせつ | 131人 |
| その他 | 311人 |
- 警察庁は、「児童が自らを撮影した画像に伴う被害」を、だまされたり、脅されたりして、児童が自分の裸体を撮影させられたうえ、メールなどで送らされる態様の被害、と説明しています
- 資料は、令和5年7月以降、ほかの罪(不同意性交等や性的姿態撮影等処罰法違反など)とあわせて検挙された場合は、そちらにだけ数えている、と注記しています。そのため、警察庁は、被害児童数などは引き続き高水準だとしています

メル美いちばん多いのは、だまされたり脅されたりして、自分で撮って送らされた被害なんだ…。送ってしまった子は悪くないよ。ひとりでかかえこまないで、大人や警察に相談してほしい。
問題4:生成AIで「性的に加工」された画像
警察庁の資料は、児童の画像を生成AIなどで性的に加工し、悪用した事案もまとめています。
- 令和7年の取扱い事案数は114件(令和6年は110件)
- 被害児童は、中学生66人、高校生32人、小学生6人、その他10人
- 行為者は、同級生・同じ学校の者が65件で約6割。面識のある大人7件、SNSなどで知り合った者10件、その他4件、不明28件
- 警察庁は、事案の内容に応じて、刑法(名誉毀損、わいせつ物頒布等)などでの検挙や、指導警告などをしている、としています
被害を受けた子どもを守るしくみ
- 13条:児童買春・児童ポルノなどの事件の児童について、氏名、年齢、学校、住居、容貌などで、その児童だと推知できるような記事・写真・放送番組を、新聞などの出版物にのせたり、放送したりしてはならない、としています
- 15条:こども家庭庁、法務省、都道府県警察、児童相談所、福祉事務所などの関係機関は、心身に有害な影響を受けた児童が、身体的・心理的に回復し、個人の尊厳を保って成長できるよう、相談、指導、一時保護、施設への入所などの保護の措置をとる、としています
- 16条:国と地方公共団体は、こうした児童の保護についての調査研究や、緊急に保護が必要なときの関係機関の連携などの体制を整えるよう努める、としています
- 16条の3:インターネットの事業者は、児童ポルノがいったん国内外に拡散すると、削除などによる児童の権利回復が著しく困難になることから、捜査機関への協力や、情報の送信を防ぐ措置などに努める、とされています

警察庁によると、令和7年の児童ポルノ事犯の被害児童1,273人のうち515人は、だまされたり脅されたりして、自分の裸を撮らされ、送らされた被害でした。
まとめ
- 児童ポルノ禁止法が守るのは「児童の権利」。「児童」は18歳未満
- 児童ポルノは、写真やデータなどで、実在する児童の性的な姿態を目に見える形で描写したもの(最高裁 令和2年)
- 自分の性的好奇心のために持つだけでも1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金。提供は3年以下、不特定多数への提供・公然陳列は5年以下の拘禁刑など
- 写真の本人が大人になってから作ったCGでも、製造罪は成り立つ(最高裁 令和2年)
- 日本国民が国外でした罪も罰せられる(10条)
- 令和7年の被害児童は1,273人。いちばん多いのは、だまされたり脅されたりして自分で撮って送らされた被害(515人)
- 生成AIで児童の画像を性的に加工した事案も114件。行為者の約6割が同級生・同じ学校の者
- わいせつ物の罪は刑法175条、盗撮や性的な画像の撮影は撮影罪、SNSで子どもがまきこまれる事件はSNSと未成年の事件もどうぞ
参考文献
- 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)第1条〜第11条・第13条・第15条・第16条の3、附則(平成26年6月25日法律第79号)第1条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0100000052 (閲覧日:2026年10月10日)
- 刑法(明治40年法律第45号)第3条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045 (閲覧日:2026年10月10日)
- 最高裁判所第一小法廷 令和2年1月27日決定(平成29年(あ)第242号 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件). 裁判所ウェブサイト. https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-89197.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
- 警察庁生活安全局人身安全・少年課. 令和7年における少年非行及び子供の性被害の状況について(広報資料、令和8年2月26日). https://www.npa.go.jp/publications/statistics/safetylife/pdf_r7_syonenkohosiryo.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。