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プレ男「バイユーのタペストリー」って、世界史の資料集で見た横長の絵だよね。

メル美それが、タペストリー(織物)じゃなくて刺しゅうなんだって。しかも長さ70m近く!
今回は、フランス・ノルマンディーの「バイユーのタペストリー」です。所蔵・展示しているバイユー美術館(バイユー市)の公式サイトと、ユネスコ「世界の記憶」の登録ページで確かめました。
プロフィール
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| つくられた時代 | 11世紀 |
| 素材 | 亜麻布に毛糸の刺しゅう(毛糸は10色) |
| 大きさ | 長さ約68.3m・幅約70cm、うち刺しゅうの部分は高さ50cm(バイユー美術館)。ユネスコの登録ページでは長さ68.80m、重さは裏地をふくめて約350kg |
| つくり | 9枚の亜麻布をつなぎ、絵と文字(説明の文)をぬいこむ |
| 描かれた話 | ノルマンディー公ギヨーム(ウィリアム征服王)の1066年のイングランド征服 |
| 持ち主 | フランス国(文化省)。歴史的記念物に指定 |
| 世界の記憶 | 2007年に登録(ユネスコ) |
- ユネスコによると、バイユー市の市立図書館の所蔵品の「第1番の写本」とされています
タペストリーなのに刺しゅう?(バイユー美術館より)
- タペストリーは、たて糸とよこ糸を直角に織りこんで、布と絵を同時につくります。バイユーのものは、できた布の上に毛糸でぬいつけた、まぎれもない刺しゅうです。線の正確さから、布に下書きのような目印がつけられていたとみられます
- 毛糸の色は、ウォード(大青。青)、アカネ(赤・ピンク・オレンジ・茶)、ホザキモクセイソウ(黄)という植物で染めています。青の染料は芯まで染まらなかったので、青い部分には色があせたところもあります
- ぬい方は、ステッチ4種類。面をうめるのは「バイユー・ステッチ」とよばれるぬい方です
- 字の読めない人が多かった時代に、教会でときどき掲げて、物語を見せるためのものでした。勝った側の宣伝にもなりえた、と美術館は説明しています

プレ男10色の毛糸だけで、68m!ぬうのに、どれだけかかったんだろう。
だれがつくった?
- ロマンチックな言い伝えでは、ギヨームの妻マティルド王妃と侍女たちがぬったとされ、19世紀には「マティルド王妃のタペストリー」ともよばれました。でも美術館は、王妃がぬった可能性は低いとしています
- 作った人はわかっていません。多くの歴史家は、ギヨームの異父弟でバイユー司教のオドが、1077年7月14日に献堂されたバイユーのノートルダム大聖堂の身廊をかざるために注文したと考えています。つくり手はアングロ・サクソン(イングランド)の人という説が一般的です
何が描いてある?(バイユー美術館より)
- 1064年:イングランド王エドワード懺悔王が、義理の弟のハロルドをノルマンディーに送り、いとこのギヨームに王位をゆずると伝えさせる——ここから物語が始まります
- 老王が亡くなると、ハロルドが自分で王に即位。知らせを聞いたギヨームは、王位をとりもどすため、1066年、海をわたる決意をします
- 1066年9月の夜、数百せきの船に7000人と約2000頭の馬をのせて出発。朝、サセックスのペヴェンジーに上陸し、ヘースティングズへ向かいます
- 1066年10月14日、ヘースティングズの戦い。弓兵、つづいて騎兵が、盾の壁で守るイングランドの歩兵におそいかかります。死者があまりに多く、下のふちの帯にまであふれます。最後にハロルドは目に矢を受けてたおれ、イングランド軍は総くずれに
- 刺しゅうの最後の部分は失われていて、物語は、その日の夕方、イングランド兵がにげる場面でとつぜん終わります
- 上下のふちの帯(幅約7cm)には、鳥・ライオン・犬・シカのような動物や、グリフィン・ケンタウロスのような空想の生きものが描かれ、イソップ物語「キツネとカラス」も登場します
- 美術館は、これを戦いの物語であると同時に、「誓いを破った者(偽誓)がどう罰せられるか」を描いた宗教的な作品でもある、と説明しています。城の土盛り、鼻あてのついたかぶと、くさりかたびら、ヴァイキング流の船など、11世紀のくらしを知る手がかりでもあります
- ギヨームは1066年12月25日にイングランドで戴冠し、「征服王」になりました
900年の旅(バイユー美術館より)
| 年 | できごと |
|---|---|
| 1476年 | バイユー大聖堂の宝物の目録に登場。年に一度、身廊に掲げ、ふだんは木の箱にしまう教会の品だった。18世紀のはじめまで、ほかの記録にはほとんど出てこない |
| 1792年 | 地元の言い伝えでは、兵士の荷車のおおいにするため切られかけ、地元の弁護士ランベール=ルフォレスティエが救った |
| 1794年 | 革命期、地区の芸術委員会が国のものとして差し押さえ、守られる |
| 1803〜1804年 | 内務大臣の求めで、パリのナポレオン美術館(ルーヴル)のアポロンの間で展示(1803年12月6日〜1804年2月18日) |
| 1842年 | バイユーで、はじめて常設の展示 |
| 1944年 | 6月26日、ドイツ当局がルーヴルへ移送。11月10日〜12月15日にルーヴルで展示し、1945年3月にバイユーへもどる |
| 1983年 | もとの大神学校の建物(ギヨーム征服王センター)で展示がはじまる |
- 第二次世界大戦の前の1938年9月から、タペストリーは安全な場所に移され、1939年からは地下の避難所で、毎月広げて状態を確かめていました。ナチスの研究機関「アーネンエルベ」の調査団も研究のために送りこまれています

メル美荷車のおおいにされかけたり、戦争でパリに運ばれたり…よく残ったね。
いまどこにある?(2026年10月22日に確認した公式サイトより)
- バイユー美術館は、改修工事のため2025年9月1日から休館しています。新しい美術館は、ギヨーム征服王の誕生から1000年にあたる2027年秋の開館をめざしています
- タペストリーは2025年に展示ケースから外され、保存のために見守られながら保管されています。外す作業には、まる1日と、90人がかかわりました
- 休館のあいだ、フランス国が大英博物館(ロンドン)に貸し出し、2026年9月から2027年までの大きな展覧会で展示する予定と、美術館は案内しています(終わりの月は、公式サイトのページによって6月・7月と書き方がちがいます)
- 新しい美術館では、70m以上のななめの台にのせて展示します。1842年から続いたたて向きの展示を、もろい布にやさしい形に変えるためです

バイユー美術館によると、バイユーのタペストリーは織物ではなく、亜麻布に10色の毛糸でぬった長さ約68mの刺しゅうで、1066年のイングランド征服を描いています。
まとめ
- 名前は「タペストリー」でも、じつは亜麻布に毛糸の刺しゅう。長さ約68m、刺しゅうの高さ50cm、毛糸は10色
- 1064年から、1066年10月14日のヘースティングズの戦いまでを描く。最後の部分は失われている
- 注文したのは、バイユー司教オドとみる歴史家が多い。マティルド王妃がぬった話は可能性が低い
- 1476年の目録、革命期の危機、ナポレオンの展示、第二次世界大戦を生きのびた
- 2007年、ユネスコ「世界の記憶」に登録。美術館は2027年秋に新しく開館予定
- 中世の文書はマグナ・カルタ、グーテンベルク聖書もどうぞ
参考文献
- Bayeux Museum. Discover the Bayeux Tapestry. https://www.bayeuxmuseum.com/en/the-bayeux-tapestry/discover-the-bayeux-tapestry/ (閲覧日:2026年10月22日)
- Bayeux Museum. The Bayeux Tapestry is an embroidery. https://www.bayeuxmuseum.com/en/the-bayeux-tapestry/discover-the-bayeux-tapestry/tapestry-or-embroidery/ (閲覧日:2026年10月22日)
- Bayeux Museum. What is the Bayeux Tapestry about? https://www.bayeuxmuseum.com/en/the-bayeux-tapestry/discover-the-bayeux-tapestry/what-is-the-bayeux-tapestry-about/ (閲覧日:2026年10月22日)
- Bayeux Museum. From Odo’s cathedral to the Louvre. https://www.bayeuxmuseum.com/en/the-bayeux-tapestry/over-the-centuries/from-the-cathedral-to-the-louvre/ (閲覧日:2026年10月22日)
- Bayeux Museum. The Bayeux Tapestry during the Second World War. https://www.bayeuxmuseum.com/en/the-bayeux-tapestry/over-the-centuries/during-the-second-world-war/ (閲覧日:2026年10月22日)
- Bayeux Museum. The Bayeux Tapestry over the centuries. https://www.bayeuxmuseum.com/en/the-bayeux-tapestry/over-the-centuries/ (閲覧日:2026年10月22日)
- Bayeux Museum. What will the new Bayeux Tapestry museum look like? https://www.bayeuxmuseum.com/en/actus/what-will-the-new-bayeux-tapestry-museum-look-like/ (閲覧日:2026年10月22日)
- Bayeux Museum. An historic loan: Bayeux Tapestry to be displayed at the British Museum from 2026. https://www.bayeuxmuseum.com/en/actus/an-historic-loan-bayeux-tapestry-to-be-displayed-at-the-british-museum-from-2026/ (閲覧日:2026年10月22日)
- Bayeux Museum. Watch the video of the Bayeux Tapestry being removed. https://www.bayeuxmuseum.com/en/actus/watch-the-video-of-the-bayeux-tapestry-being-removed/ (閲覧日:2026年10月22日)
- UNESCO Memory of the World. Bayeux Tapestry. https://www.unesco.org/en/memory-world/bayeux-tapestry (閲覧日:2026年10月22日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。