目次

プレ男古代エジプトの文字はロゼッタストーンで読めるようになったんだよね。メソポタミアのくさび形の文字は?

メル美イランの岩山に、同じ文を3つの言葉で刻んだ巨大な碑文があるんだって。それが鍵になったみたい。
今回は、イランの「ベヒストゥン碑文」(ビソトゥーン碑文)です。ユネスコ世界遺産センターの「Bisotun」のページと、大英博物館のキングとトンプソンが1907年に出した碑文の英訳(ウィキソースの翻刻)で確かめました。
プロフィール(ユネスコ世界遺産センターより)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 場所 | イラン西部ケルマーンシャー州、聖なる山ビソトゥーン(「神々の場所」の意味) |
| つくらせた人 | アケメネス朝ペルシアの王ダレイオス1世(大王) |
| 年 | 紀元前521年 |
| 高さ | 石灰岩のがけ、平原から約60m |
| 大きさ | 碑文は高さ約15m・幅約25m |
| 行数 | 浮き彫りの下とまわりに約1200行 |
| 言葉 | 古代ペルシア語、エラム語、バビロニア語(3つとも楔形文字) |
| 世界遺産 | 2006年に登録(遺跡は187ha) |
- ビソトゥーンは、イラン高原とメソポタミアを結ぶ古い交易路の上にあり、先史時代から、メディア、アケメネス朝、ササン朝、イル・ハン朝の時代の遺跡が残っています
浮き彫り:弓を持つ王と、ふみつけられた男
- 浮き彫りのダレイオスは、王の位のしるしとして弓を持ち、あおむけにたおれた男の胸をふみつけています
- 言い伝えでは、この男は、王位をねらったガウマータ。その男が殺されたことで、ダレイオスは王になりました
- 敵に対する王の姿のこの表し方は、古代エジプトや中東の浮き彫りの伝統を受けつぎ、のちのアケメネス朝などでさらに発展した、とユネスコは説明しています
何が書いてある?(1907年の英訳より)
碑文は、王が自分のしたことを語る形で書かれています。各段落は「ダレイオス王は言う」で始まります。
- はじまり:「われはダレイオス、大王、王の中の王、ペルシアの王、国々の王」。父・祖父と、祖先のアケメネスまでの家系を名のり、自分は一族の9人目の王だと語ります。従える国は23
- ガウマータの事件:キュロスの息子カンビュセスが王だったころ、カンビュセスは弟のスメルディス(バルディヤ)を殺したが、人々はそれを知らなかった。カンビュセスがエジプトへ行くと、ガウマータという祭司(マゴス)が「われはスメルディス、キュロスの息子、カンビュセスの弟である」とうそをついて反乱をおこし、王位をうばった
- ガウマータは、本物のスメルディスを知る者を多く殺したので、だれも手を出せなかった。そこにダレイオスが現れ、アフラマズダに祈って、メディアのニサーヤのとりででガウマータを殺し、王になった——と碑文は語ります
- その後の戦い:「王になってから、1年のうちに19の戦いをし、アフラマズダの恵みによって9人の王をたおし、とらえた」
- うそではない:「のちにこの碑文を読む者は、わたしのしたことを信じよ。うそだと思うな」
- こわすな:「のちにこの碑文と浮き彫りを見る者は、これをこわさず、生きているかぎり守れ」。こわした者には、アフラマズダが罰をくだすように、とも書いています
- 写しを各地へ:この碑文は粘土板や羊皮紙にも書かれ、各州に送られた、とあります

プレ男「うそだと思うな」「こわすな」って、2500年前の王さまが念をおしてる!
3つの言葉で書かれた(ユネスコより)
- いちばん古いのはエラム語の文で、王と反乱について書いています。つぎに、似た内容のバビロニア語版
- 最後にできた古代ペルシア語版がとくに大切で、ダレイオスがここではじめて、古代ペルシア語で自分の事績を記しました
- 碑文は、ダレイオス1世による帝国の立て直しという具体的な歴史のできごとを記した、アケメネス朝の唯一の記念碑の文書です
楔形文字を読みとく鍵に
- 碑文は、イギリスのヘンリー・ローリンソンが最初に写しをとって訳しました。その研究が、楔形文字の解読の成功につながりました。古代ペルシア語の本文と解説は、1847年に王立アジア協会の雑誌(第10巻)に出ています(キングとトンプソンの序文より)
- 岩に近づくのがむずかしいため、読みの定まらない箇所が残っていました。大英博物館は1904年、キングとトンプソンを送り、3つの版の文字を岩の上で一つずつ調べさせました。ローリンソンのころははっきり見えていたのに、消えてしまった文字もあったと書いています
- ユネスコによると、この碑文は19世紀に最初に解読された楔形文字で、知られていなかった古代文明への扉をひらきました。アッシリア学にとっての価値は、エジプト学にとってのロゼッタストーンにくらべられる、とされています

メル美同じ文が3つの言葉で書いてあるから、くらべて読めたんだね。ロゼッタストーンと同じしくみだ。
いまの課題(ユネスコより)
- 少しの風化はあるものの、文と浮き彫りはいまも読みとれる状態です
- ただし、浮き彫りの裏に水がしみこむことが心配されていて、応急の対策を、ずっと続く対策に変えていくことが課題とされています

ユネスコによると、ベヒストゥン碑文は紀元前521年にダレイオス1世が刻ませた3つの言葉の碑文で、19世紀に最初に解読された楔形文字です。
まとめ
- イランの岩山ビソトゥーン、平原から約60mの高さに、紀元前521年、ダレイオス1世が刻ませた
- 碑文は高さ約15m・幅約25m、約1200行。古代ペルシア語・エラム語・バビロニア語
- 中身は、ガウマータをたおして王になったいきさつ、1年で19の戦い、「うそだと思うな」「こわすな」
- ローリンソンが写して訳し、19世紀に最初に解読された楔形文字に。アッシリア学の「ロゼッタストーン」
- 2006年に世界遺産
- 楔形文字の法典はハンムラビ法典、古代の写本は死海文書もどうぞ
参考文献
- UNESCO World Heritage Centre. Bisotun. https://whc.unesco.org/en/list/1222/ (閲覧日:2026年10月22日)
- L. W. King, R. C. Thompson. The Sculptures and Inscription of Darius the Great on the Rock of Behistûn in Persia (London, 1907). Preface. ウィキソース. https://en.wikisource.org/wiki/The_Sculptures_and_Inscription_of_Darius_the_Great_on_the_Rock_of_Behist%C3%BBn_in_Persia/Preface (閲覧日:2026年10月22日)
- 同上. The Persian Text(英訳、段落1〜70). ウィキソース. https://en.wikisource.org/wiki/The_Sculptures_and_Inscription_of_Darius_the_Great_on_the_Rock_of_Behist%C3%BBn_in_Persia/Annotated/The_Persian_Text (閲覧日:2026年10月22日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。