
プレ男マンティコアって、ゲームのモンスターでよく見る! 顔が人間のライオンだっけ?

メル美もとは2,000年以上前のギリシャの本に出てくる、インドの怪物なんだって。
こんにちは、Dr. Taro です。 幻獣の解説、今回はマンティコアです。紀元前5〜4世紀のギリシャの医師クテシアスが書いた『インド誌』は、9世紀のビザンツの学者フォティオスの『ビブリオテーケー』に要約がのこっています。その英訳(J.H.フリーズ訳、1920年、ターチュリアン・プロジェクト)と、プリニウス『博物誌』の英訳(ボストックとライリー訳、1855年、ペルセウス・デジタル・ライブラリー)を読みました。

『ロチェスター動物寓意譚』のマンティコア、13世紀後半、イングランド。大英図書館所蔵(Royal 12 F xiii, f. 24v、部分)。ウィキメディア・コモンズ(パブリックドメイン)
プロフィール
| 名前 | マルティコラス(フォティオスの英訳では martikhora)、マンティコラ(プリニウス) |
| 意味 | ギリシャ語では「アントロポファゴス(人食い)」とよばれる(クテシアス) |
| すむところ | インド(クテシアス)、エチオピア(プリニウスがクテシアスの説として紹介) |
| すがた | 人のような顔と耳、青い目、赤い体、ライオンほどの大きさ、3列の歯、サソリの尾 |
| 武器 | 尾のトゲ。矢のように飛ばす |
1. クテシアスのマンティコア
フォティオスの『ビブリオテーケー』第72項(クテシアス)の要約です。
- 「マルティコラスは、この国(インド)にすむ動物である。顔は人のよう、皮は辰砂(しんしゃ)のように赤く、ライオンほどの大きさがある」
- 「歯は3列で、耳と、うすい青色の目は人のよう。尾は陸のサソリのようで、先には1キュビット(ひじから指先ほど)以上の長いトゲがある」
- 「尾の両わきにもトゲがあり、頭のてっぺんにもトゲがある。そのトゲでさされると、かならず命をおとす」

プレ男頭のてっぺんにもトゲがあるなんて、ゲームより強そう…。
2. トゲを矢のように飛ばす
- 「遠くからおそわれると、尾を前に立てて、弓から射るようにトゲを放つ。うしろからおそわれると、尾をまっすぐにのばして、100フィートの遠くまでトゲを飛ばす」
- 「そのきずは、ゾウ以外のすべての動物にとって命とりになる。トゲは長さ1フィートほど、太さは細いイグサくらい」
- 「マルティコラスは、ギリシャ語でアントロポファゴス(人食い)とよばれる。ほかの動物もとらえるが、それよりも多くの人間をおそうからだ」
- 「つめとトゲの両方でたたかい、クテシアスによれば、放ったトゲはまた生えてくる」
- インドにはこの動物が多くいて、人びとはゾウに乗って、槍や矢でかりをする、とも書かれています
3. プリニウスのマンティコラ
紀元1世紀のプリニウス『博物誌』第8巻30章です。
- 「クテシアスは、エチオピアの人びとのあいだに、マンティコラという動物がいると伝えている」
- 「くしの歯のようにかみあう3列の歯をもち、人の顔と耳、青い目をしている。体の色は血のようで、ライオンの体に、サソリのようなトゲで終わる尾がある」
- 「その声は、笛とラッパの音をあわせたようだ。おそろしく足が速く、とくに人の肉をこのむ」
- 第8巻45章では、ユバ王の説として、「エチオピアのマンティコラも、人の言葉をまねることができる」と書いています

メル美クテシアスはインド、プリニウスはエチオピア。伝わるうちに場所が変わっているんだね。
4. 19世紀の博物学者の見方
- プリニウスの英訳(ボストックとライリー訳)の注は、フランスの博物学者キュヴィエが「マンティコラとコロコッタは、まったく空想上の動物」と書いたことを紹介しています(第8巻45章の注)

フォティオスがのこしたクテシアスの要約では、マルティコラスは人の顔、赤い体、3列の歯、サソリのような尾をもち、トゲを矢のように飛ばすとされています。
まとめ
- マンティコアは、古代ギリシャの医師クテシアスが伝えた、インドの怪物
- 人の顔、赤い体、ライオンほどの大きさ、3列の歯、サソリの尾
- 尾のトゲを矢のように飛ばし、ギリシャ語で「人食い」とよばれた
- プリニウスは、声は「笛とラッパをあわせたよう」と書いた
- 同じく人の顔とライオンの体をもつスフィンクス、グリフィン、プリニウスも書いたフェニックスもどうぞ
参考文献
- Photius. Bibliotheca, Codex 72(Ctesias)(英訳:J.H. Freese、1920年). The Tertullian Project. https://www.tertullian.org/fathers/photius_03bibliotheca.htm (閲覧日:2026年10月10日)
- Pliny the Elder. The Natural History, Book 8, Chapters 30 and 45(英訳:John Bostock, H.T. Riley、1855年). Perseus Digital Library. https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus:text:1999.02.0137:book=8:chapter=30 (閲覧日:2026年10月10日)
- 『ロチェスター動物寓意譚』(13世紀後半、大英図書館 Royal 12 F xiii)のマンティコア. Wikimedia Commons(パブリックドメイン). https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Manticore_-_British_Library_Royal_12_F_xiii_f24v_(detail).jpg (閲覧日:2026年10月10日)
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