ガジェット2026年10月7日

【テクノロジー解説】CRISPRはいまどこまで来た?点滴1回で、体の中の遺伝子を直接編集する臨床試験。DNAを切らずに1文字だけ書きかえる「塩基編集」で、重い病気の赤ちゃん1人のための治療もつくられた【NEJM・Nature】

2020年にノーベル化学賞を受けたCRISPR-Cas9の研究は、さらに進んでいます。これまでの治療は、体の外に取りだした細胞を編集して戻す方法でしたが、点滴1回で、体の中(肝臓)の遺伝子を直接はたらかなくする臨床試験が進み、原因のタンパク質が約9割減ったと報告されています(NEJM 2024・2025)。DNAを切らずに1文字だけ書きかえる「塩基編集」(2016年)や、ねらった場所を書きかえる「プライム編集」(2019年)も生まれ、2025年には、重い遺伝性の病気の赤ちゃん1人のためにつくった塩基編集の治療が報告されました。どれもまだ研究の段階です。

目次
  1. 進歩1:体の中で、直接編集する
  2. 進歩2:DNAを切らずに「1文字」書きかえる
  3. 進歩3:ねらった場所を「検索して置きかえる」
  4. 進歩4:1人の赤ちゃんのための治療(NEJM 2025)
  5. いまの段階を正しく知る
  6. つながる技術
  7. まとめ

プレ男「遺伝子のハサミ」のCRISPRって、ノーベル賞のあとはどうなったの?

メル美切らずに1文字だけ書きかえる方法もあるって聞いたよ。

こんにちは、Dr. Taro です。 「テクノロジー解説」、今回はCRISPR(ゲノム編集)の最新の進歩です。おもに査読のある論文(New England Journal of Medicine、Nature)の要旨をもとにまとめました。CRISPR-Cas9 のしくみと、2023年に米国で承認された鎌状赤血球症の治療についてはCRISPR-Cas9ってなに?へ。

進歩1:体の中で、直接編集する

研究 人数 血液中の TTR の変化
心臓の病気(心筋症)の人、第1相(NEJM 2024) 36人 28日後に約89%減、12か月後に約90%減
遺伝性で神経の病気の人、第1相(NEJM 2025) 36人 28日後に約90%減、24か月後も約92%減

プレ男点滴1回で、2年たっても9割減ったままなんだ!

進歩2:DNAを切らずに「1文字」書きかえる

進歩3:ねらった場所を「検索して置きかえる」

進歩4:1人の赤ちゃんのための治療(NEJM 2025)

CRISPRの研究は、体の中で直接遺伝子を編集する臨床試験や、DNAを切らずに1文字だけ書きかえる塩基編集へと進んでいます。2025年には、重い病気の赤ちゃん1人のための治療も報告されました。どれもまだ研究の段階です。

いまの段階を正しく知る

つながる技術

プレ男1人のための治療を数か月でつくったって、すごい時代になったね。

メル美でも、まだ研究の段階。慎重に確かめていくことも大事だね。

まとめ


参考文献

  1. Fontana M, Solomon SD, Kachadourian J, et al. CRISPR-Cas9 Gene Editing with Nexiguran Ziclumeran for ATTR Cardiomyopathy. N Engl J Med. 2024. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39555828/ (閲覧日:2026年10月7日)
  2. Gillmore JD, Gane E, Täubel J, et al. Nexiguran Ziclumeran Gene Editing in Hereditary ATTR with Polyneuropathy. N Engl J Med. 2025;393(14):1375-1386. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41002250/ (閲覧日:2026年10月7日)
  3. Komor AC, Kim YB, Packer MS, et al. Programmable editing of a target base in genomic DNA without double-stranded DNA cleavage. Nature. 2016;533(7603):420-4. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27096365/ (閲覧日:2026年10月7日)
  4. Anzalone AV, Randolph PB, Davis JR, et al. Search-and-replace genome editing without double-strand breaks or donor DNA. Nature. 2019;576(7785):149-157. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31634902/ (閲覧日:2026年10月7日)
  5. Musunuru K, Grandinette SA, Wang X, et al. Patient-Specific In Vivo Gene Editing to Treat a Rare Genetic Disease. N Engl J Med. 2025. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40373211/ (閲覧日:2026年10月7日)

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。