ガジェット2026年10月5日

【テクノロジー解説】CRISPR-Cas9(クリスパー・キャスナイン)ってなに?DNAをねらった場所で切る「遺伝子のハサミ」。2020年ノーベル化学賞、病気の治療やゲノム編集食品にも

CRISPR-Cas9は、生き物の設計図であるDNAの、ねらった場所を切って書きかえられる技術です。もとは細菌がウイルスから身を守るしくみで、シャルパンティエ博士とダウドナ博士が2012年に「遺伝子のハサミ」として使えることを示し、2020年のノーベル化学賞を受けました。米国では2023年12月、この技術を使った初めての治療(鎌状赤血球症)が承認され、日本でもゲノム編集でつくったトマトや魚が届出されています。しくみと使われ方、気をつけたい点をやさしく解説します。

目次
  1. ひとことで言うと「遺伝子のハサミ」
  2. もとは「細菌の免疫」だった
  3. どんなことに使われている?
  4. 気をつけたいこと
  5. まとめ

プレ男ニュースで「クリスパー」ってよく聞くけど、正直なにかわからない…。遺伝子をいじるって、なんかこわいイメージ。

メル美ノーベル賞もとったんだよね。病気の治療にも使われてるって聞いたよ。

こんにちは、Dr. Taro です。 社会を変える新しい技術をやさしく解説する「テクノロジー解説」。第1回は、CRISPR-Cas9(クリスパー・キャスナイン)です。ノーベル賞の公式発表、米国FDA(食品医薬品局)、厚生労働省の資料をもとにまとめました。

ひとことで言うと「遺伝子のハサミ」

プレ男設計図の、ねらったページの、ねらった1行だけを書きかえられる、みたいな感じ?

もとは「細菌の免疫」だった

ノーベル賞の発表によると、

この功績で、2人は2020年のノーベル化学賞を受けました。

どんなことに使われている?

研究と農作物

病気の治療

ゲノム編集食品(日本)

日本では、ゲノム編集技術を使った食品は、厚生労働省の取扱要領(令和元年10月1日から)にもとづいて、事前相談・届出を行うしくみになっています。厚生労働省のページで公開されている届出の一覧には、たとえば次のようなものがあります。

食品 届出
GABA(ギャバ)を多くふくむトマト 2020年12月
食べられる部分を増やしたマダイ 2021年9月
成長の早いトラフグ 2021年10月
ワキシートウモロコシ 2023年3月
成長の早いヒラメ 2023年10月

CRISPR-Cas9は、DNAのねらった場所を切って書きかえる「遺伝子のハサミ」です。米国では2023年に、この技術を使った初めての治療が承認されました。研究、農作物、医療と、使われる場が広がっています。

気をつけたいこと

ノーベル化学賞の選考委員長は、「この遺伝子の道具にはとてつもない力があり、私たち全員に影響する」と述べています。

プレ男こわいだけじゃなくて、病気を治す道具にもなってるんだね。どう使うかを、みんなで考えるのが大事なのか。

メル美スーパーでゲノム編集のトマトを見かけたら、このしくみを思い出してみよう。

ウイルスの設計図を一時的に届けるワクチンは、【テクノロジー解説】mRNAワクチンってなに?へ。

大人の細胞を、どんな細胞にもなれる状態にもどす技術は、【テクノロジー解説】iPS細胞ってなに?へ。

DNAのねらった部分をふやして調べる技術は、【テクノロジー解説】PCRってなに?へ。

体の中で直接編集する治療や、1文字だけ書きかえる塩基編集など、最新の進歩はCRISPRはいまどこまで来た?へ。

まとめ


参考文献

  1. The Royal Swedish Academy of Sciences. Press release: The Nobel Prize in Chemistry 2020. NobelPrize.org. https://www.nobelprize.org/prizes/chemistry/2020/press-release/ (閲覧日:2026年10月5日)
  2. U.S. Food and Drug Administration. FDA Approves First Gene Therapies to Treat Patients with Sickle Cell Disease(2023年12月8日). https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/fda-approves-first-gene-therapies-treat-patients-sickle-cell-disease (閲覧日:2026年10月5日)
  3. 厚生労働省. ゲノム編集技術応用食品等. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/bio/genomed/index_00012.html (閲覧日:2026年10月5日)
  4. 厚生労働省. ゲノム編集技術応用食品及び添加物の食品衛生上の取扱要領に基づき届出された食品及び添加物一覧. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/bio/genomed/newpage_00010.html (閲覧日:2026年10月5日)

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。