【テクノロジー解説】CTってなに?X線をいろいろな方向から当て、コンピューターで体の「輪切り」の画像をつくる。レントゲンでは重なって見えなかったものが見える。1979年ノーベル生理学・医学賞
CT(コンピューター断層撮影)は、X線を体のまわりのいろいろな方向から当て、そのデータをコンピューターで計算して、体の断面(輪切り)の画像をつくる検査です。1979年のノーベル生理学・医学賞は、その理論と装置を開発したコーマック博士とハウンズフィールド博士に贈られました。ふつうのレントゲン写真は立体を平面に写すため、臓器が重なってしまいます。CTは検出器の感度がフィルムの100倍以上で、組織の密度のわずかなちがいも見分けられます。最初は脳の検査で大きな成果をあげました。しくみをやさしく解説します。

プレ男このあいだ、頭を打ってCTを撮ったんだ。ドーナツみたいな機械に入るやつ。MRIとはちがうんだよね?

メル美CTはX線、MRIは磁石、だったかな?
こんにちは、Dr. Taro です。 「テクノロジー解説」、今回は CT(コンピューター断層撮影)です。1979年ノーベル生理学・医学賞の公式発表をもとにまとめました。
ふつうのレントゲンの弱点
ノーベル賞の発表によると、
- ふつうの X線検査(レントゲン)は、X線を臓器に通して、フィルムに影を写すものです
- この画像は平面(2次元)なので、奥行きの情報が失われます。たとえば肺の写真は、X線が通った道すじにあるものがすべて重なった画像になります
- そのため、体の中のある断面だけを、上や下に重なるものから切りはなして見たい、という要望がありました(断層撮影、tomography はギリシャ語の「切る」から)
- いろいろな方法が試されましたが、どれも十分ではありませんでした
CTのしくみ:いろいろな方向から当てて、計算する
- CT では、X線の管が決まった動きで回り、体の断面をいろいろな方向からX線が通りぬけます
- フィルムのかわりに、感度の高い検出器でX線を受け、そのデータをコンピューターに記録して数学的に解析します
- コンピューターは、たくさんの方程式を解いて、体の断面の画像をすばやく組み立てなおします
- 画像は細かいマス目でできていて、ひとつのマス目が、体のひとつの部分の X線の通りやすさを表します。マス目どうしが重ならないのが大きな特徴です
- 検出器の感度は X線フィルムの100倍以上で、組織の密度のとても小さなちがいも見分けられます

プレ男いろんな角度から撮った影を、コンピューターが計算して「輪切り」に組み立てなおしてるのか!
最初は「脳」で大活躍
- 最初の CT 装置は、頭の検査用につくられ、とくに脳の病気の診断で大きな突破口になりました
- 脳とそのまわりのくわしい画像が直接見られるようになり、それまでの体に負担の大きい検査が減りました
- 脳出血と、血のかたまりで血流がつまって起こる変化(同じような症状が出る)を、CT で見分けられるようになりました
- 腫瘍、炎症、水頭症などもわかり、脳腫瘍の手術法の開発にも役立ちました
- 患者さんはあお向けに寝ているだけなので、急病の重い状態の人でも検査できます
発表当時の評価
1979年の発表では、CT が医療に取りいれられて6年で、X線診断に大きな影響をあたえる革命的なものであることがすぐに明らかになった、としています。

CTは、X線をいろいろな方向から当てて、コンピューターで体の輪切りの画像をつくる検査です。レントゲンでは重なって見えなかったものが見えるようになり、とくに脳の病気の診断を大きく変えました。
CTとMRIのちがい
- CT:X線を使い、コンピューターで断面の画像をつくる(この記事)
- MRI:強い磁石と電波で、体の中の水の水素原子の反応を画像にする。電離放射線を使わない(MRIってなに?)
2003年の MRI のノーベル賞の発表でも、X線(1901年ノーベル物理学賞)や CT(1979年ノーベル生理学・医学賞)とちがって、MRI は電離放射線を使わない、と紹介されています。どちらの画像も、コンピューター(半導体チップ)の計算でつくられています(半導体チップってなに?)。

プレ男頭を打ったときのCTも、脳の中のようすをくわしく見るためだったんだね。

メル美コンピューターがあってこその検査なんだね。
CTのもとになった X線の発見の物語は、【テクノロジー解説】X線(レントゲン)ってなに?へ。
まとめ
- ふつうのレントゲンは平面なので、臓器が重なって写る
- CT は、X線をいろいろな方向から当て、コンピューターで計算して断面(輪切り)の画像をつくる
- 検出器の感度はフィルムの100倍以上。密度のわずかなちがいも見える
- 最初は脳の検査で大きな成果。脳出血などを見分けられる
- 1979年ノーベル生理学・医学賞(コーマック博士、ハウンズフィールド博士)
参考文献
- The Nobel Assembly of Karolinska Institutet. Press release: The Nobel Prize in Physiology or Medicine 1979. NobelPrize.org. https://www.nobelprize.org/prizes/medicine/1979/press-release/ (閲覧日:2026年10月5日)
- The Nobel Assembly at Karolinska Institutet. Press release: The Nobel Prize in Physiology or Medicine 2003. NobelPrize.org. https://www.nobelprize.org/prizes/medicine/2003/press-release/ (閲覧日:2026年10月5日)
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