【テクノロジー解説】MRIってなに?強い磁石と電波で、体の中の「水」を画像にする。X線を使わないので被ばくがない。脳や脊髄、がんの検査に強い。2003年ノーベル生理学・医学賞
MRI(磁気共鳴画像法)は、強い磁石と電波を使って、体の中を切らずに、くわしい画像にする検査です。2003年のノーベル生理学・医学賞は、1970年代のはじめに、磁場に「傾き」をつけて画像をつくる方法を見つけたラウターバー博士と、それを速く実用的な方法に発展させたマンスフィールド博士に贈られました。体重の約3分の2は水。MRIは水の水素原子の小さな「方位磁針」の反応を読みとります。X線やCTとちがって電離放射線を使いません。しくみと得意なことを、やさしく解説します。

プレ男腰が痛くて、病院で「MRIをとりましょう」って言われた。トンネルみたいな機械で、ガンガンうるさいやつだよね。あれ、何を見てるの?

メル美レントゲンとはちがうんだよね?
こんにちは、Dr. Taro です。 「テクノロジー解説」、今回は MRI(磁気共鳴画像法)です。2003年ノーベル生理学・医学賞の公式発表をもとにまとめました。発表は2003年のものなので、数字などは当時のものです。
MRIとは
- MRI(Magnetic Resonance Imaging)は、磁気共鳴という現象を使って、体の中の臓器などを、切らずに(非侵襲的に)正確に画像にする方法です
- 体の中を正確に見ることは、診断・治療・経過観察にとても大切です。MRI は、医療の診断と研究の大きな突破口になりました
- 2003年の発表によると、MRI は体のほぼすべての臓器の検査に使われ、世界で年間6,000万件以上の検査が行われていました(2002年には世界で約22,000台)
しくみ:体の「水」を読む
- 体重の約3分の2は水です。組織や臓器によって水の量がちがい、多くの病気では水の量が変化します。それが MRI の画像に表れます
- 水は水素と酸素でできています。水素原子の核は、小さな方位磁針のようにふるまいます
- 体を強い磁場の中に置くと、水素原子の核が整列します(「気をつけ」の姿勢)
- そこに電波のパルスを当てると、核のエネルギーが変わります。パルスのあと、核が元の状態にもどるときに電波(共鳴の波)を出します
- その小さなちがいを読みとり、コンピューターで処理して、立体的な画像をつくります

プレ男体の中の水の「方位磁針」を、磁石と電波でゆらして、その返事を聞いてるのか!
2人の発見:磁場に「傾き」をつける
- 磁気共鳴の現象そのものは1946年に示され、1952年のノーベル物理学賞になりました。その後しばらくは、物質の化学構造を調べるのにおもに使われていました
- ポール・ラウターバー博士(米国)は、1970年代のはじめ、磁場に傾き(勾配)をつけると、電波がどこから出たかがわかり、2次元の画像をつくれることを発見しました(1973年に発表)
- ピーター・マンスフィールド博士(英国)は、その方法をさらに発展させ、信号を数学的に速く解析して画像にする方法を示しました。とても速い撮影ができることも示し、それは10年後に医療で使えるようになりました
- 医療用の MRI 装置は、1980年代のはじめに登場しました
MRIの得意なこと
2003年の発表では、MRI がとくに役立つ例として、
- 脳と脊髄のくわしい画像。脳の病気のほとんどは水の量の変化をともない、1%未満の水の量のちがいでも病気の変化を見つけられる
- 多発性硬化症の診断と経過観察
- 長びく腰痛で、椎間板ヘルニアが神経を圧迫しているか、手術が必要かを判断する
- がんの範囲や進み具合を正確に見て、手術や放射線治療に役立てる
- 内視鏡やひざの関節鏡など、体に器具を入れる検査のかわりになる場合がある
をあげています。
被ばくがない、でも注意も
- MRI は、X線(1901年ノーベル物理学賞)や CT(1979年ノーベル生理学・医学賞)とちがって、電離放射線を使いません。2003年の発表では「現在の知識では害がない」としています
- 一方、強い磁場のため、体の中に磁性のある金属がある人やペースメーカーを入れている人は検査できない場合があり、閉所が苦手な人には負担になることがある、としています

MRIは、強い磁石と電波で、体の中の水の水素原子の反応を読みとって画像にする検査です。X線を使わないので被ばくがありません。体の中に金属や医療機器がある人は、検査の前に必ず伝えましょう。
つながる技術
- MRI の画像をつくるのは、強力なコンピューター(半導体チップ)です。2000年のノーベル物理学賞の発表でも、チップが MRI などの医療機器を制御していると紹介されています(半導体チップってなに?)
- 遺伝子を調べる検査のしくみは PCRってなに?、手首で心電図をとる技術は スマートウォッチの「心電図」で何がわかる? へ

プレ男腰が痛い原因が神経の圧迫かどうか、MRIでわかるのか。うるさいけど、がまんして受けてくる。

メル美体の中に金属が入っているかどうか、事前の問診でちゃんと伝えてね。
X線で体の輪切りをつくる CT のしくみは、【テクノロジー解説】CTってなに?へ。
まとめ
- MRI は、強い磁場と電波で、体の中を切らずにくわしく画像にする
- 体重の約3分の2は水。水の水素原子の核の反応を読みとる
- 1970年代、磁場に傾きをつけて画像にする方法を発見。2003年ノーベル生理学・医学賞
- 脳・脊髄、多発性硬化症、腰痛(椎間板ヘルニア)、がんの検査に強い
- 電離放射線を使わない。体内の金属や医療機器は検査前に必ず申し出る
参考文献
- The Nobel Assembly at Karolinska Institutet. Press release: The Nobel Prize in Physiology or Medicine 2003. NobelPrize.org. https://www.nobelprize.org/prizes/medicine/2003/press-release/ (閲覧日:2026年10月5日)
- The Royal Swedish Academy of Sciences. Press release: The Nobel Prize in Physics 2000. NobelPrize.org. https://www.nobelprize.org/prizes/physics/2000/press-release/ (閲覧日:2026年10月5日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。