
プレ男夏のバーベキュー、肉は表面が焼けたら食べちゃうんだよね。ハンバーグも、ちょっと赤いくらいがおいしいし。

メル美ニュースでよく聞く「O157」って、そういうお肉からうつるんじゃなかったっけ…?
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、O157などの腸管出血性大腸菌の話です。厚生労働省の「腸管出血性大腸菌Q&A」(令和3年12月17日最終改訂。食中毒の件数は令和8年6月30日更新)をもとにまとめました。
どんな菌?
- 大腸菌は、家畜や人の腸の中にいて、ほとんどは無害です
- そのうち、ベロ毒素(志賀毒素群毒素)という強い毒素を出し、血の混じる腸炎や溶血性尿毒症症候群(HUS)を起こすものを、腸管出血性大腸菌といいます
- 代表は「O157」。ほかに「O26」「O111」なども知られています
- 牛などの家畜の便の中に、ときどき見つかります。家畜は症状を出さないことが多く、見た目では菌をもっているかわかりません
食中毒の件数
| 年 | 件数 | 患者数 | 死者数 |
|---|---|---|---|
| 2023年(令和5年) | 19件 | 265人 | 0人 |
| 2024年(令和6年) | 16件 | 124人 | 0人 |
| 2025年(令和7年) | 10件 | 362人 | 0人 |
(厚生労働省 Q&A の表より。食中毒事件として報告されたもの)
- 過去10年は、おおよそ年10〜30件、患者100〜500人。2016年には、共通の原因食品で10人が亡くなった例もあります
- 人から人へうつった例や、原因の食べものを特定しにくい例もあるため、感染症として報告される人数は、食中毒の数より多くなります
- 初夏〜初秋に多いものの、ほかの季節にも起こります
どこからうつる?
- 国内で原因とされた食品には、牛肉、牛レバー刺し、ハンバーグ、牛角切りステーキ、牛タタキ、ローストビーフ、シカ肉のほか、井戸水、サラダ、貝割れ大根、キャベツ、メロン、白菜漬けなどもあります
- 国内では、焼肉店などの飲食店や食肉販売業者が出した肉を、生や加熱不足で食べてうつる例が多くなっています
- ふれあい動物イベントや搾乳体験など、動物とのふれあいでうつった例もあります
- 100個ほどの少ない菌でもうつるといわれています

プレ男お肉だけじゃなくて、野菜や井戸水でもうつることがあるんだ。
症状:3〜8日後に、水のような下痢と血便
- まったく症状がない人から、命にかかわる人までさまざまです
- 多くは、3〜8日ほどの潜伏期のあと、何度も水のような下痢で始まり、激しい腹痛、まもなく血便になることがあります(出血性大腸炎)。熱は出ても一時的なことが多いとされます
- 症状のある人の6〜7%が、下痢などが始まってから数日〜2週間以内(多くは5〜7日後)に、HUSや脳症などの重い合併症を起こすといわれています
- 激しい腹痛と血便があるときは、とくに注意が必要です
HUS(溶血性尿毒症症候群)とは
- 貧血、血小板の減少、腎臓の働きの低下を特徴とする、急性の腎不全です
- はじめは顔色が悪い、おしっこが少ない、むくみ、意識がおかしいなどがみられます
- 子どもと高齢者に起こりやすいので、とくに注意が必要です

メル美下痢がおさまりかけたころに、腎臓が悪くなることもあるんだ…。
下痢・血便のときは
- 下痢の原因はさまざまで、腸管出血性大腸菌はそのごく一部です。原因を確かめるため、必ず医師の診察を受けましょう。原因は便の検査で調べます
- 血便の原因には、ほかの感染症、大腸がん、痔などもあります。血便は大事な注意信号です
- 下痢の治療の基本は、安静、水分補給、消化しやすい食事です
- 下痢止めや痛み止めの中には、ベロ毒素を体の外に出しにくくするものがあるため、自分の判断で薬を飲まず、医師の診察を受けましょう

激しい腹痛と血便があるときは、自分の判断で下痢止めを飲まずに、医療機関を受診しましょう。
人から人へは?
- 菌のついた飲食物や、患者の便にふくまれる菌が口から入ることでうつります
- 話をする、せき・くしゃみ・汗ではうつりません。空気感染や接触感染はしません。まちがった知識で、患者さんへの差別や偏見が起きないよう気をつけましょう
- 予防の基本は手洗い。トイレのあと、食事の前、下痢の子どもや高齢者のおむつの世話のあとは、せっけんと流水でしっかり洗います
- 家族が感染したら、保健所の指導を受けます。患者は浴槽につからずシャワーに、バスタオルは共用しない、便で汚れた下着は消毒してから別に洗うなどの注意があります
予防:中心部を75℃で1分以上
-
腸管出血性大腸菌は、75℃で1分以上の加熱で死にます。肉は加熱して食べる限り安全です
-
とくに、ハンバーグなどのひき肉、やわらかくする加工(筋切り)や味をしみこませる加工、小さな肉を固めて成形した肉は、中心部まで75℃で1分以上加熱しましょう
-
生の牛レバーや、生の豚肉・豚レバーなどの内臓を売ったり出したりすることは禁止されています。生食用の基準に合う肉でも、子どもや高齢者などは生肉を控える必要があります
-
生の肉を切った包丁・まな板は、洗って熱湯をかけてから使う。肉用・魚用・野菜用で分けるとさらに安全
-
野菜もよく洗う。レタスは1枚ずつはがして流水で洗い、ブロッコリーなど形の複雑なものは熱湯でゆでる
-
調理した料理を室温に長く置かない。O157は室温でも15〜20分で2倍に増えます
-
動物とふれあったあとは、せっけんでしっかり手洗い。ふれあう場所で飲食しない
-
焼き肉では、生の肉と焼けた肉でトングや箸を分けるのも、二次汚染を防ぐ工夫です

プレ男ハンバーグは中までしっかり焼く。トングと箸も分けるよ。

メル美甥っ子と動物園に行ったら、手洗いを忘れないようにするね。
まとめ
- O157などの腸管出血性大腸菌は、ベロ毒素を出し、100個ほどの菌でもうつる
- 2025年の食中毒は10件・患者362人
- 3〜8日後に水様便・激しい腹痛・血便。6〜7%がHUSなどの重い合併症に。子ども・高齢者はとくに注意
- 下痢止めは自己判断で飲まず、受診を
- ひき肉は中心部まで75℃で1分以上。生の牛レバー・豚の生肉や内臓の提供は禁止
- せき・会話ではうつらない。予防の基本は手洗い
参考文献
- 厚生労働省. 腸管出血性大腸菌Q&A(最終改訂:令和3年12月17日。食中毒の発生状況は令和8年6月30日更新). https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177609.html (閲覧日:2026年10月4日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。