
プレ男居酒屋の鶏わさと鶏ささみの刺身、大好きなんだよね。新鮮なお店なら大丈夫でしょ?

メル美友だちが焼き鳥屋さんに行った3日後くらいに、ひどい下痢と熱で寝こんでたよ…。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、鶏肉の食中毒でいちばん有名なカンピロバクターの話です。厚生労働省の「カンピロバクター食中毒予防について(Q&A)」(令和8年5月27日最終改正)をもとにまとめました。
細菌による食中毒で、件数がいちばん多い
- カンピロバクター食中毒は、日本の細菌性食中毒の中で、近年、発生件数がいちばん多い食中毒です
- 年間200件ほど、患者は1,000〜2,000人ほどで推移しています
| 年 | 件数 | 患者数 |
|---|---|---|
| 2023年(令和5年) | 211件 | 2,089人 |
| 2024年(令和6年) | 208件 | 1,199人 |
| 2025年(令和7年) | 220件 | 1,226人 |
(厚生労働省 Q&A の表より。死者はいずれも0人)
- 2016年には、屋外のイベントで加熱が不十分な鶏肉(「新鮮だからこそできる鶏ささみ寿司」などと宣伝)が出され、500人を超える患者が出ました
- 2023年には、湧水を使った食事が原因で892人の患者が出ています。水も感染源のひとつで、殺菌が不十分な井戸水・湧水などによる例もあります
どんな細菌?
- ニワトリ、ウシなどの家畜、ペット、野鳥、野生動物など、多くの動物が腸の中にもっている細菌です
- 乾燥に弱く、ふつうの加熱調理で死にます
- 一方で、数百個ほどという少ない菌の量でも、人にうつることが知られています
症状:食べてから1〜7日後に
- 下痢、腹痛、発熱、吐き気、嘔吐、頭痛、寒気、だるさなど
- 食べてから症状が出るまで(潜伏期間)が1〜7日とやや長いのが特徴です。「何日か前に食べた鶏肉」が原因のこともあります
- 多くの人は1週間ほどで治ります。亡くなったり重くなったりすることはまれですが、乳幼児・高齢者・抵抗力の弱い人では重くなるおそれがあります
- 感染の数週間後に、手足のまひ、顔のまひ、呼吸が苦しくなるなどのギラン・バレー症候群を起こすことがあると指摘されています

メル美食べてから何日もたって症状が出ることもあるんだ。原因に気づきにくいね。
原因は「生や加熱不足の鶏肉」
- 2025年に起きたカンピロバクター食中毒でも、原因として疑われた鶏肉には、
- 鶏レバーやささみなどの刺身
- 鶏肉のタタキ、鶏わさなどの半生のもの
- 加熱が足りない料理 が含まれていました
- 生の鶏肉をさわった手や包丁から、ほかの食べものにうつる二次汚染も原因になります
- 市販の鶏肉の汚染の調査では、研究によって差はありますが、鶏モモ肉で42%、鶏ムネ肉で40%(2014年度の研究)などと報告されています
「新鮮だから安全」ではない
- 健康なニワトリでも、腸の中にカンピロバクターなどの食中毒菌をもっていることがあります
- いまの技術では、鶏肉を処理するときに菌を100%取り除くことは難しいとされています
- 厚生労働省は、生や十分に加熱されていない鶏肉を、食べない・食べさせないようにと呼びかけています

プレ男「新鮮だから生でも大丈夫」って思ってた…。新鮮かどうかは関係ないんだね。
- ちなみに、牛の肝臓(レバー)も、胆汁や肝臓からカンピロバクターが見つかっています。牛レバーを生食用として売ることは、2012年から禁止されています
予防のポイント
厚生労働省のQ&Aによると、
- 肉は中心部を75℃以上で1分以上加熱する。生や加熱不十分な鶏肉料理を避けるのがいちばん効果的
- 生の肉は、ほかの食品と調理器具や容器を分けて処理・保存する
- 生の肉をさわったあとは、よく手を洗ってからほかの食品をさわる
- 生の肉にふれた調理器具は、使ったあとに洗って殺菌する
- 焼き肉やバーベキューでは、生の肉をつかむトングと、焼けた肉を食べる箸を分けるのも、二次汚染を防ぐ工夫です

鶏肉は「新鮮だから安全」ではありません。カンピロバクターは少ない菌の量でもうつるので、鶏肉は中心部まで十分に加熱して食べましょう。
具合が悪くなったら
-
下痢や嘔吐のときは、水分をこまめにとることが大切です
-
血の混じった便、高い熱、水分がとれない、ぐったりしている、下痢が何日も続くといったときは、医療機関を受診しましょう。受診のときは、数日前までに食べたもの(とくに鶏肉)を伝えると、診断の手がかりになります
-
食中毒の数週間後に手足に力が入らない・しびれるなどが出たら、すぐに受診を
-
冬に多いウイルスの食中毒・胃腸炎については、ノロウイルスの記事もどうぞ。ノロウイルスはアルコールでは消毒が不十分など、予防のしかたにちがいがあります
-
牛肉やハンバーグの加熱不足でうつる細菌はO157など腸管出血性大腸菌の記事もどうぞ

プレ男これからは、よく焼いた焼き鳥にしよう。

メル美家で鶏肉を切ったまな板も、ちゃんと洗うようにするね。
まとめ
- カンピロバクターは、細菌性食中毒で件数がいちばん多い。2025年は220件・1,226人
- 原因の多くは、鶏レバー・ささみの刺身、鶏のタタキ、鶏わさ、加熱不足の鶏肉
- 数百個ほどの少ない菌でもうつる。症状は1〜7日後に下痢・腹痛・発熱
- 数週間後にギラン・バレー症候群を起こすことも
- 「新鮮だから安全」ではない。中心部を75℃で1分以上。調理器具を分け、手を洗う
参考文献
- 厚生労働省. カンピロバクター食中毒予防について(Q&A)(作成:平成19年3月5日、最終改正:令和8年5月27日). https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/campylobacterqa.html (閲覧日:2026年10月4日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。