
プレ男火星に、人の顔の形をした巨大な岩があるんでしょ?宇宙人が作ったって聞いたよ!

メル美写真を見ると、たしかに顔に見えるよね。でも、そのあと撮り直した写真もあるのかな?
こんにちは、Dr. Taro です。 「都市伝説にマジレス」、今回は火星の人面岩です。NASAの画像の公式説明(1976年の写真、1998年・2001年の撮り直し)と、「顔に見える」脳のしくみを調べた論文をもとにまとめました。
1976年:バイキング1号が撮った「顔」
NASAの画像の説明によると、
- 1976年7月25日、NASAの探査機バイキング1号(火星を回る周回機)が、火星の北の地域を撮影しました。あとから着陸するバイキング2号の着陸場所を探していたときです
- 写真の中央に、人の顔に似た、けずられた岩が写っていました。大きさは差しわたし約1.5kmです
- NASAは同じ説明の中で、こう書いています
- 写真のぶつぶつは、火星から地球へデータを送るときにできた「ビットエラー(データの欠け)」で、それが「目」や「鼻の穴」の一部になっている
- 岩の「影」が、鼻と口があるように見せている
- 惑星地質学者は、この地形はまったく自然にできたものと考えている

メル美目や鼻の穴の一部は、データが欠けた点だったんだ!
有名になった「顔」
- 撮り直しを担当したカメラの運用チーム(マリン宇宙科学システムズ)の説明によると、この地形は、火星の高地と北の低地のあいだにある、何千もの丘やメサ(台地)、尾根のひとつでした
- それが「宇宙人の遺物かもしれない」として、本、タブロイド紙、ラジオのトーク番組、テレビ、そして大作映画にまで取り上げられました
1998年:10倍細かい写真で撮り直し
- 1998年4月5日、NASAの探査機マーズ・グローバル・サーベイヤーのカメラが、「顔」の高解像度の写真を撮りました
- 解像度は1ピクセル約4.3m。バイキングのいちばんよい写真の10倍の細かさです
- 撮ったのは火星の「朝」で、太陽の高さは25度。NASAは、バイキングの写真と光の当たり方を近づけるため、明るさを反転させた画像もならべて公開しました
2001年:さらに細かく、旅客機サイズまで見える写真
- 2001年4月8日、マーズ・グローバル・サーベイヤーは機体を24.8度かたむけ、約450km先から「顔」をねらって撮影しました
- 解像度は1ピクセル約2m。説明には、「もし火星にあれば、ふつうの旅客機くらいの大きさの物体は見分けられる」とあります
- 写っていたのは、顔の形をした建造物ではなく、丘でした。NASAとカメラの運用チームの説明でも、この地形は「丘(hill)」「地形(landform)」とよばれています

プレ男細かく撮ったら、ただの丘だったのか…。でも、なんであんなに顔に見えたんだろう?
顔に見えてしまうのは、脳のしくみ
雲やコンセント、車の正面が「顔」に見えたことはありませんか?存在しない顔が見えることを「顔のパレイドリア」とよびます。
- 2014年に学術誌『Cortex』に載った研究(論文名は「トーストの中にイエスを見る」)では、参加者にただのノイズ(砂嵐)の画像を見せ、「半分には顔(または文字)が入っている」と伝えました
- すると参加者は、34%の画像で顔が見えたと答えました(文字は38%)。実際には、どの画像にも顔は入っていません
- 「顔が見えた」とき、脳の右側の、顔を見分ける場所(紡錘状回顔領域)が特に反応していました
- 論文は、人の顔の処理には「顔があるはず」という思いこみの影響が強く、ほんの少しでも顔らしいものがあれば、顔と解釈してしまうことがある、と書いています

NASAは1976年の写真の説明で、「影が鼻と口のように見せている」「目や鼻の穴の一部はデータの欠け」と書いています。人の脳は、少しでも顔らしいものがあると顔に見てしまうことがあります。
まとめ
- 1976年、バイキング1号が撮った写真に「顔」。NASAは当時から「影とデータの欠けで顔に見える。自然の地形」と説明していた
- 1998年(10倍の解像度)、2001年(1ピクセル約2m)に撮り直すと、何千もある丘のひとつだった
- 顔に見えたのは、ほんの少しの手がかりでも顔と解釈する脳のしくみ(顔のパレイドリア)のせいかもしれない
- 宇宙人の都市伝説は、ピラミッドは宇宙人が作った?、エリア51もどうぞ
参考文献
- NASA Science. Geologic ‘Face on Mars’ Formation(PIA01141、バイキング1号、1976年). https://science.nasa.gov/photojournal/geologic-face-on-mars-formation/ (閲覧日:2026年10月22日)
- NASA Science. Mars Orbiter Camera Views the “Face on Mars” - Comparison with Viking(1998年). https://science.nasa.gov/photojournal/mars-orbiter-camera-views-the-face-on-mars-comparison-with-viking/ (閲覧日:2026年10月22日)
- Malin Space Science Systems. Highest-Resolution View of “Face on Mars”(MGS MOC Release No. MOC2-283, 2001年5月24日). https://www.msss.com/mars_images/moc/extended_may2001/face/ (閲覧日:2026年10月22日)
- Liu J, Li J, Feng L, Li L, Tian J, Lee K. Seeing Jesus in toast: neural and behavioral correlates of face pareidolia. Cortex. 2014;53:60-77. https://doi.org/10.1016/j.cortex.2014.01.013 (閲覧日:2026年10月22日)
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