
プレ男「1枚、2枚…1枚足りない」って皿を数える幽霊、姫路城の井戸の話なんでしょ?

メル美江戸の「番町皿屋敷」もあるよね。どっちが本当なんだろう。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、皿屋敷の怪談で知られる姫路城の「お菊井戸」です。兵庫県立歴史博物館の解説「播州皿屋敷 ―姫路のお菊井戸―」と、文化庁・姫路城の公式の情報をもとに見ていきます。
伝説のあらすじ(『姫路城史』の筋)
兵庫県立歴史博物館は、『姫路城史』(1952年)にのった筋を紹介しています。これは、江戸時代後期に書かれたとみられる『播州皿屋敷実録』を要約したものです。
- 戦国時代、姫路を小寺(こでら)氏が治めていたころ。重臣の青山鉄山(てつざん)は、自分が城主になろうとたくらんでいました。小寺氏はようすを探るため、お菊という女性を召使いとして鉄山の館に住みこませます
- お菊は鉄山の暗殺のたくらみを主君に知らせ、くわだては防がれます。ところがその後の戦いで、鉄山は姫路城を手に入れました
- 鉄山の家来・町坪弾四郎(ちょうのつぼ だんしろう)は、お菊に相手にされなかったことをうらみ、小寺家の家宝の10枚ぞろいの皿のうち1枚をかくして、お菊がなくしたように見せかけます
- 弾四郎はお菊に暴力をふるったすえ、井戸に投げこんで殺してしまいました
- その夜から、井戸のあたりで「一枚、二枚、三枚…九枚」と皿を数える悲しげな声が聞こえるようになり、人々はその屋敷を「皿屋敷」と呼ぶようになった——という話です
- のちに城を取り返した小寺則職(のりもと)は、姫路の十二所(じゅうにしょ)神社の境内に社を建てて、お菊をまつったとされています

メル美お菊さんは何も悪くないのに…。悲しい話だね。
マジレス①:井戸の名前は「釣瓶取井戸」
- 姫路城の天守閣の二段下、上山里曲輪(かみやまざとくるわ)の中に、「お菊井戸」とされる古井戸があります
- 兵庫県立歴史博物館によると、この井戸は江戸時代の文献では「釣瓶取井戸(つるべとりいど)」と呼ばれていました。大正のはじめに姫路城が一般公開されるようになったころから、「お菊井戸」と呼ばれるようになったのではないかと考えられています
- 伝説に出てくる「梅雨の松」(お菊がつるされたとされ、梅雨になると枯れ、梅雨があけると緑にもどる松)も、宝暦12年(1762年)の地理書『播磨鑑(はりまかがみ)』では、姫路藩士が元和年間(1615〜24年)に植えたふしぎな松として紹介されていて、お菊との関わりには触れていません。博物館は「名物の松が先にあって、それが皿屋敷の話に取りこまれていったようだ」と書いています

プレ男井戸も松も、もともとあったものに、あとから話がくっついたのかもしれないんだ。
マジレス②:いちばん古い形では、名前は「花野」、皿は5枚
- 播州皿屋敷にはいくつかの筋があり、いちばん古い形とみられているのが『竹叟夜話(ちくそうやわ)』の話です。天正5年(1577年)に永良竹叟(ながら ちくそう)が書いたという奥書があります
- そこでは、ヒロインの名前は「花野(はなの)」、隠されたのは主君から拝領した5枚ぞろいの鮑貝(あわびがい)の盃で、井戸は出てきません
- 「お菊」の名と10枚の皿がいつ重なったのかは、今のところはっきりしないと博物館は書いています
- 江戸の『番町皿屋敷』と姫路の『播州皿屋敷』のどちらが古いかは昔から議論があり、近年は『竹叟夜話』の奥書に注目して、播州のほうが古いという見方が有力だそうです
- 皿屋敷の伝説は全国にあり、博物館が紹介する本では岩手から鹿児島まで48か所の伝承地が挙げられています。兵庫県内でも、佐用町や尼崎市にお菊の井戸の伝説があります
- 江戸の皿屋敷を恋の物語として書いた小説は、岡本綺堂『番町皿屋敷』で紹介しています
いまは「特別史跡」で、世界文化遺産・国宝の城
- 文化庁の国指定文化財等データベースによると、姫路城跡は昭和3年(1928年)に史跡に、昭和31年(1956年)に特別史跡に指定されています
- 姫路城の公式サイトは「世界文化遺産・国宝 姫路城」と紹介しています
- お菊井戸は、こうした大切な文化財の城の中にあります
見学のルール
- 開城時間は9時〜17時(入城は16時まで、通常期)。夜は城の中に入れません。お菊井戸を見るのは、開城時間に
- 城の公式サイトによると、坂や階段が多く「天守までの道のりは軽い山登りに匹敵」します。動きやすい服装で。お酒を飲んでの入城はお断りです
- 姫路城の上空はドローンの飛行が禁止されています(禁止エリアで飛ばすと10万円以下の罰金)
- 特別史跡の中の石垣や井戸にのぼったり、ものを投げこんだりしないでください

姫路城の「お菊井戸」は、江戸時代の文献では「釣瓶取井戸」と呼ばれていて、お菊井戸と呼ばれるようになったのは大正のはじめに城が一般公開されたころからと考えられています。いちばん古い形の話では、ヒロインは花野、皿は5枚で、井戸も出てきません。
まとめ
- 播州皿屋敷:家宝の10枚の皿の1枚をかくされたお菊が井戸に投げこまれ、「一枚、二枚…」と皿を数える声が聞こえるようになった、という伝説
- 姫路城の上山里曲輪の「お菊井戸」は、江戸時代の文献では「釣瓶取井戸」。お菊井戸と呼ばれるのは大正のはじめの一般公開のころからと考えられている
- いちばん古い形の『竹叟夜話』(1577年の奥書)では、名前は花野、皿は5枚の盃、井戸は出てこない
- 姫路城跡は特別史跡。見学は開城時間(9時〜17時、入城16時まで)に
- ほかの有名な怪談は、四谷怪談もどうぞ
参考文献
- 兵庫県立歴史博物館. 歴史博物館ネットミュージアム ひょうご歴史ステーション「播州皿屋敷 ―姫路のお菊井戸―」(紀行番号001、PDF). https://rekihaku.pref.hyogo.lg.jp/wp-content/uploads/2021/02/legend03_001.pdf (閲覧日:2026年10月22日)
- 文化庁. 国指定文化財等データベース「姫路城跡」. https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/401/1865 (閲覧日:2026年10月22日)
- 世界文化遺産・国宝 姫路城 便覧(公式サイト). https://www.himejicastle.jp/ (閲覧日:2026年10月22日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
