
プレ男四谷怪談って、お岩さんが化けて出る話でしょ?こわくて、ちゃんと知らないんだよね。

メル美もとは歌舞伎なんだって。どんなお話か、知りたいな。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、日本でいちばん有名な怪談、四谷怪談です。国立劇場を運営する日本芸術文化振興会の「文化デジタルライブラリー」と「歌舞伎への誘い」をもとにまとめました。
もとは、鶴屋南北の歌舞伎
- 正式な題は『東海道四谷怪談(とうかいどうよつやかいだん)』。作者は4代目鶴屋南北(つるやなんぼく)で、南北が71歳のときの作品です
- 初演は文政8年(1825年)7月26日、江戸の中村座
- 江戸・四谷左門町の「お岩稲荷」に伝わるうわさ話がもとになっています。御先手同心・田宮又左衛門の娘お岩が、婿の伊右衛門にだまされたと知って狂乱し、行方がわからなくなり、その後、伊右衛門をはじめ関係者が次々に取り殺された——という話です
じつは「忠臣蔵」とのセット上演
- 南北は、この話を「忠臣蔵」の世界に組みこみました。だから、お岩も伊右衛門も、塩冶(えんや)家の浪人の家族という設定です
- 初演では、なんと『仮名手本忠臣蔵』と組み合わせて、2日がかりで上演されました
- 1日目:『忠臣蔵』の大序〜六段目 → 『四谷怪談』の序幕〜3幕目の途中
- 2日目:『四谷怪談』の続き → 『忠臣蔵』七〜十段目 → 『四谷怪談』の4幕目〜大詰 → 最後に『忠臣蔵』十一段目の「討入」
- 大入り続きで、9月15日までのロングランになりました。翌年には大坂でも上演されています

メル美忠臣蔵と怪談を2日がかりで交互に!江戸の人、ぜいたくな楽しみ方だね。
どんなお話?
- 塩冶家の浪人・四谷左門の娘お岩と妹のお袖の姉妹をめぐる物語です
- お岩の夫民谷伊右衛門は、見た目のいい色男なのに、お岩の父や、使用人の小仏小平を殺し、お岩を死に追いこむ悪人です。こうした役柄を「色悪(いろあく)」と呼び、伊右衛門はその代表です
- 伊右衛門を孫娘の婿にしたい伊藤喜兵衛が仕込んだ毒薬で、お岩の顔が変わり、お岩は恨みを残して死んでいきます
- その後、お岩の幽霊が伊右衛門を悩ませ、伊右衛門の母や仲間を次々に死へみちびきます。最後に伊右衛門は、お袖の夫・佐藤与茂七に討たれます

春梅斎北英の役者絵(1832年)。2代目嵐璃寛の伊右衛門と、破れた提灯に浮かぶお岩。北斎の「百物語」をふまえた絵です。メトロポリタン美術館所蔵(パブリックドメイン)
こわさを生んだ、舞台のしかけ
- 髪梳き(かみすき):毒薬で顔が変わったお岩が、お歯黒をぬり、櫛で髪をとかすたびに、髪がぬけ落ちていく場面。作品の最大の見どころとされ、音楽がお岩の恨みと、裏切られた悲しみを表します
- 戸板返し:伊右衛門が釣りをしていると、お岩と小平の死体が表と裏に打ちつけられた戸板が流れつきます。1人の俳優が2役を演じ、戸板を裏返すと同時に早替りするしかけです
- 提灯抜け:燃えさかる提灯の中から、お岩の幽霊が出てくるしかけ
- 仏壇返し:仏壇の中に人が引きこまれるしかけ
- 初演では、3代目尾上菊五郎がお岩・小平・与茂七の3役を演じ、評判になりました。菊五郎はお岩を生涯に9回演じ、以後、尾上菊五郎家のお家芸になりました

プレ男200年前に、早替りや仕掛けで観客をこわがらせてたんだ。今のホラー映画みたい!

『東海道四谷怪談』は、文政8年(1825年)に江戸の中村座で、『仮名手本忠臣蔵』と組み合わせて初演された歌舞伎です。お岩の髪梳きや戸板返しなど、舞台のしかけがこわさを生みました。
デートで話すなら
- 「四谷怪談って、忠臣蔵と2日がかりでセット上演されたんだって」
- 「お岩さんの髪がぬける場面は、音楽で悲しみも表しているらしいよ」
- 歌舞伎の楽しみ方は、大人の教養のサイトもどうぞ
まとめ
- 『東海道四谷怪談』は、4代目鶴屋南北が71歳で書いた歌舞伎。1825年7月26日、江戸中村座で初演
- 江戸・四谷の「お岩稲荷」に伝わるうわさ話を、「忠臣蔵」の世界で脚色
- 初演は『仮名手本忠臣蔵』と2日がかりのセット上演。9月15日までのロングラン
- 見どころは「髪梳き」「戸板返し」「提灯抜け」「仏壇返し」
- 3代目尾上菊五郎のお岩が評判に。菊五郎家のお家芸
- あわせて読みたい:怪談『牡丹灯籠』、岡本綺堂『番町皿屋敷』
参考文献
- 独立行政法人日本芸術文化振興会. 文化デジタルライブラリー 歌舞伎・鶴屋南北 作品紹介「東海道四谷怪談(概要)」. https://www2.ntj.jac.go.jp/dglib/contents/learn/edc15/sakuhin/p8/index.html (閲覧日:2026年10月1日)
- 独立行政法人日本芸術文化振興会. 文化デジタルライブラリー 歌舞伎事典「東海道四谷怪談」. https://www2.ntj.jac.go.jp/dglib/modules/kabuki_dic/entry.php?entryid=1212 (閲覧日:2026年10月1日)
- 独立行政法人日本芸術文化振興会. 歌舞伎への誘い 代表的な演目「東海道四谷怪談」. https://www2.ntj.jac.go.jp/unesco/kabuki/jp/play/play17.html (閲覧日:2026年10月1日)
- The Metropolitan Museum of Art. Shunbaisai Hokuei, Kabuki Actor Arashi Rikan II as Iemon Confronted by an Image of His Murdered Wife, Oiwa, on a Broken Lantern(1832)(Open Access). https://www.metmuseum.org/art/collection/search/76565 (閲覧日:2026年10月2日)
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