目次

メル美『牡丹灯籠』って、カランコロンって下駄の音がする怪談だよね。どんなお話なの?

プレ男幽霊が毎晩、恋人のところに通ってくる話だっけ…。こわいけど、ちょっと切ない?
こんにちは、Dr. Taro です。 今回の怪談は、『牡丹灯籠』です。落語家・三遊亭円朝の『怪談牡丹灯籠』を、青空文庫の原文(鈴木行三 校訂・編纂、底本『圓朝全集 巻の二』)で読みました。
はじまりは湯島天神の祭り
- 物語は「まだ東京を江戸と申しました頃」、湯島天神の祭りの日から始まります
- 円朝の『怪談牡丹灯籠』は、じつは2つの物語がからみあう長い話です。一つは、旗本・飯島平左衞門の家の忠義の家来孝助の敵討ちの話。もう一つが、ここで紹介するお露と新三郎の怪談です
お露と新三郎
- 浪人の萩原新三郎は、知人に連れられて行った飯島家の別荘で、旗本の娘お露と出会い、たがいに思いを寄せます
- その後、新三郎はお露が亡くなったと聞かされます
- ところが、夜ふけになると、根津の清水のほうから駒下駄の音高く「カランコロン」と響き、牡丹の花の灯籠をさげた女中のお米を先に立てて、お露がたずねてくるようになります

メル美亡くなったはずの人が、毎晩会いにくるんだ…。
人相見の白翁堂が見たもの
- 新三郎の長屋に住む人相見の白翁堂勇齋は、朝早く天眼鏡で新三郎の顔を見て、「二十日を待たずして必ず死ぬ相がある」と告げます
- 夜にのぞき見た伴蔵の話では、新三郎のところへ来る女は「骨と皮ばかりの痩せた女」で、「腰から上ばかり」だったといいます
- 新三郎がお露の住まいだという谷中の三崎村をさがしても見つからず、帰りに新幡随院の墓地を通ると、新しい墓の前に牡丹の花の灯籠が雨ざらしになっていました。それは飯島の娘と、その女中の墓でした
お札と、海音如来の守り
- 白翁堂の紹介で、新三郎は新幡随院の良石和尚をたずねます。和尚は「口惜くて祟る幽霊ではなく、只恋しい恋しいと思う幽霊」だと言い、お札と、海音如来の守りをさずけます
- 家の四方八方にお札をはると、幽霊は中に入れなくなりました
百両で、お札をはがした伴蔵夫婦
- 新三郎の世話になって暮らしている伴蔵と女房のおみねのところに、幽霊がたのみに来ます。「お札をはがしてほしい」と
- おみねは「百両あればお前と私は一生困りゃアしないよ」と言い、伴蔵は百両とひきかえに、海音如来の守りを盗み、お札をはがしてしまいます
- 翌朝、白翁堂が見た新三郎は、苦しんで亡くなった姿で、そのそばには骸骨があったと語られます

プレ男いちばんこわいのは、幽霊よりお金に目がくらんだ人間かも…。
マジレス:原文では、伴蔵が「自分がこしらえた」と打ち明ける
- 物語の後半、伴蔵は知人の山本志丈に、こう打ち明けます。「幽霊に頼まれたと云うのも、萩原様のあゝ云う怪しい姿で死んだというのも、いろいろ訳があって皆私が拵えた事」
- 伴蔵の話では、新三郎を手にかけたのは伴蔵自身で、墓から骸骨を掘り出して床に並べ、怪しい死に方に見せかけて白翁堂をだまし、守りも盗んで埋め、近所をこわがらせて引っ越させた、というのです
- つまり円朝の原文では、「幽霊のしわざ」とされた出来事の一部が、人間の欲と悪事で説明しなおされる、という構成になっています。幽霊が本当にいたのかどうかを、読む人にあらためて考えさせる、円朝らしいしかけです

メル美幽霊の話だと思って読んでいたら、最後に人間の話になるんだ。
『牡丹灯籠』のルーツ
- 『牡丹灯籠』のもとは、中国・明代の怪異小説集『剪灯新話』の「牡丹燈記」で、それが江戸時代の浅井了意『伽婢子』などを通じて日本に伝わったと言われます

三遊亭円朝の『怪談牡丹灯籠』の原文では、物語の後半で伴蔵が、萩原新三郎の「怪しい死にざま」は自分がこしらえたものだと打ち明けます。
まとめ
- 『牡丹灯籠』は、三遊亭円朝の『怪談牡丹灯籠』で広く知られる怪談
- カランコロンと駒下駄、牡丹の灯籠をさげたお露とお米の幽霊
- お札と海音如来の守りで守られた新三郎。百両でお札をはがした伴蔵夫婦
- 原文の後半で、伴蔵は「皆私が拵えた事」と打ち明ける
- ほかの怪談は、四谷怪談、小泉八雲の『怪談』もどうぞ
参考文献
- 三遊亭圓朝(鈴木行三 校訂・編纂). 怪談牡丹灯籠(底本:圓朝全集 巻の二、近代文芸資料複刻叢書、世界文庫、1963年). 青空文庫. https://www.aozora.gr.jp/cards/000989/card2577.html (閲覧日:2026年10月3日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。


