
メル美のっぺらぼうって、顔になにもない妖怪だよね。想像するだけでこわい…。

プレ男しかも、東京の赤坂が舞台の話があるんだって。
こんにちは、Dr. Taro です。 日本の妖怪、今回はのっぺらぼうです。小泉八雲の『怪談』に収められた「貉(むじな)」を、青空文庫の戸川明三訳で読んでみました。
プロフィール(小泉八雲「貉」より)
| 名前 | のっぺらぼう(八雲の話の題は「貉(MUJINA)」) |
| 姿 | 顔に目も鼻も口もない。「卵のよう」と書かれる |
| 正体 | ムジナ(人を化かす動物とされた) |
| 出る場所 | 東京・赤坂の紀国坂(きのくにざか) |
| 得意技 | 一度おどかしたあと、別の人に化けて、もう一度おどかす |

「貉」を書いた小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)。出典:国立国会図書館「近代日本人の肖像」(https://www.ndl.go.jp/portrait/ )
舞台は、夜の紀国坂
- 東京の赤坂へ向かう道に、紀国坂という坂があります。片側は深くて広い堀と高い土手、もう片側は皇居の長い塀
- 街灯や人力車がなかった時代、このあたりは夜はとても寂しく、おそくに歩く人は、ひとりで紀国坂をのぼるより、何マイルも遠回りしたといいます
- その理由は、このあたりをよく歩いていたムジナのせいでした
泣いている娘に声をかけると…
- ムジナに会った最後の人は、約30年前に亡くなった、京橋の年とった商人だった、と八雲は書いています。その人の話はこうです
- ある晩おそく、商人が紀国坂をのぼっていくと、堀のふちにしゃがんで、ひどく泣いている女がいました。身を投げるのではと心配した商人は、立ち止まって声をかけます
- 女は上品で、身なりもきれい。商人は「お困りなら、わたしに言ってください。助けられることがあれば喜んで助けます」と、何度もやさしく話しかけました。八雲は、この商人は本当に親切な人だったと書いています
- 女はゆっくり立ち上がり、ふり向くと、袖をおろし、手で自分の顔をなでました——目も鼻も口もない

メル美親切に声をかけたのに…。それはこわすぎる!
逃げこんだそば屋で、もう一度
- 商人は悲鳴をあげて紀国坂をかけのぼります。前はまっ暗で、ふり返る勇気もなく、ただ走りつづけて、ようやく遠くにホタルのような提灯の明かりを見つけました
- それは、道ばたに屋台を出していたそば屋の提灯。商人はそば屋の足もとにたおれこみます
- そば屋が「どうしたんだ、だれかにやられたのか」と聞くと、商人は「女を見たのだ…その女が見せたのだ…何を見せたかは言えない」
- するとそば屋は、自分の顔をなでながら言いました。「へえ!その見せたものは、こんなものだったかい?」——そば屋の顔は卵のようになり、同時に明かりが消えてしまいました

プレ男やっと人に会えて安心したところで、もう一回!これは逃げ場がない…。
こわさのしかけ:「二度おどかし」
- 1回目はだれもいない夜の堀ばた。2回目は、やっと助かったと思った明かりのそば
- 安心させてから、同じおどかしをもう一度くり返すことで、こわさが何倍にもなります。最後に明かりが消えることで、商人はまた暗やみにひとり取り残されます

小泉八雲の「貉」では、赤坂の紀国坂で泣いていた娘も、逃げこんだ先のそば屋も、顔をなでると卵のようなのっぺらぼうに。正体は、人を化かすムジナとされています。
まとめ
- のっぺらぼうは、目も鼻も口もない顔の妖怪。小泉八雲「貉」が有名
- 舞台は東京・赤坂の紀国坂。昔は夜とても寂しい坂だった
- 泣いている娘に声をかけると、顔は卵のよう
- 逃げこんだそば屋も「こんなものだったかい?」と同じ顔に。そして明かりが消える
- 正体はムジナ。ほかの八雲の妖怪は、ろくろ首もどうぞ
参考文献
- 小泉八雲(戸川明三訳). 貉(底本:小泉八雲全集第八卷 家庭版、第一書房、1937年). 青空文庫. https://www.aozora.gr.jp/cards/000258/card42928.html (閲覧日:2026年10月1日)
- 国立国会図書館. 近代日本人の肖像「小泉八雲」. https://www.ndl.go.jp/portrait/datas/6360 (閲覧日:2026年10月2日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。


