HIVのワクチンはある?:いまはまだない。世界で開発が続いている。今ある予防法は、コンドーム・PrEP・治療で検出限界未満(U=U)・PEP
HIVを予防するワクチンについて、米国保健福祉省のHIV.govのページ「HIV Vaccine Development」(2026年8月28日更新)をもとにまとめました。いま、HIVの感染を防ぐワクチンはありません。米国国立衛生研究所(NIH)などの支援で、世界の研究者が開発を続けています。治験で試されているワクチンからHIVに感染することはありません。HIV.govは、治療でウイルスが検出限界未満になればセックスでうつさないこと、PrEP(曝露前予防)があることを紹介したうえで、すべての人に届く予防の手段をふやすためにワクチンが必要だとしています。

プレ男B型肝炎やHPVにはワクチンがあるよね。HIVのワクチンってないの?

メル美もうすぐできるって話も聞くけど、どうなんだろう。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、HIVのワクチンの話です。米国保健福祉省のHIVの情報サイト「HIV.gov」のページ「HIV Vaccine Development」(2026年8月28日更新)をもとにまとめました。
いまは、HIVを防ぐワクチンはない
HIV.govによると、
- いま、HIVの感染を防ぐワクチンはありません
- 米国国立衛生研究所(NIH)の支援などで、世界の研究者が開発を続けています
- 研究では、ワクチンがHIVを防げるか、安全か、体にどんな免疫ができるか、針を使わない打ち方などが調べられています
- 治験で試されているワクチンから、HIVに感染することはありません(治験に参加している間に、セックスや注射器の共用で感染することはありえます)

いまは、HIVの感染を防ぐワクチンはありません。世界で開発が続いています。
なぜワクチンが必要?
HIV.govは、
- いまは、HIVの治療がこれまでになく効果的になり、薬を飲んでウイルスが検出限界未満になれば、セックスでパートナーにうつさないこと、HIVのない人はPrEP(曝露前予防)を使えることを紹介しています
- それでも、2022年には米国で推定3万1,800人、世界で約130万人が新たにHIVに感染しました
- ワクチンは、天然痘やポリオのように、感染症を防ぎ、なくすのにもっとも効果的な手段だったとして、すべての人に届く予防の手段をふやすために、安全で効果のあるワクチンが必要だとしています
- 一部の人にしか効かないワクチンや、リスクを下げるだけのワクチンでも、広がりをおさえる大きな効果がありうるとしています
なぜ開発がむずかしい?
国立健康危機管理研究機構の「病原微生物検出情報(IASR)」2025年10月号の「HIV基礎研究:近年15年の潮流」によると、
- HIVは、免疫の司令塔であるヘルパーT細胞、とくに病原体に反応して活発になったものを、いちばんの感染の標的にします。このことが、ワクチン開発をむずかしくしている根本の理由のひとつとされています
- T細胞をはたらかせるタイプのワクチンでは、HIVのどの部分を使うかがとても重要で、感染の標的をふやさないくふうなども研究されています
- 抗体をつくらせるタイプでは、さまざまなHIVを広く中和できる抗体(広域交差中和抗体)を体につくらせる戦略が、米国を中心に研究されています
- 新型コロナのワクチン開発で得られた知見も、そのままHIVのワクチンに生かせるとはかぎらない、としています
いまある予防の方法
ワクチンがない今、HIVを防ぐ方法には、
- コンドーム
- PrEP(感染する前から薬を飲んで予防する)
- パートナーがHIVの治療で検出限界未満を保つこと(U=U)
- PEP(感染のおそれがあったあと、72時間以内に薬を飲み始める)
があります。そして、検査を受けて自分の状態を知ることが、すべての出発点です。

プレ男ワクチンを待つんじゃなくて、いまある方法を組み合わせればいいんだね。
PrEPはPrEP(HIVの曝露前予防)とは?、U=UはU=U、PEPはPEP(HIVの曝露後予防)とは?を見てください。
まとめ
- HIVを防ぐワクチンは、いまはまだない
- 世界で開発が続いていて、治験のワクチンからHIVに感染することはない
- 治療やPrEPがあっても、2022年に世界で約130万人が新たに感染。ワクチンは予防の手段をふやすため
- いまはコンドーム・PrEP・U=U・PEP・検査を組み合わせて
参考文献
- HIV.gov(米国保健福祉省). HIV Vaccine Development(2026年8月28日更新). https://www.hiv.gov/hiv-basics/hiv-prevention/potential-future-options/hiv-vaccines (閲覧日:2026年10月12日)
- 山本浩之(国立健康危機管理研究機構 国立感染症研究所エイズ研究センター). HIV基礎研究:近年15年の潮流(IASR Vol.46 p205-206: 2025年10月号). https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/iasr/pathogens/vol46/548/548r08.html (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
