
プレ男たばこを長く吸ってる60代の叔父が、たんの出ないせきが続いて、階段で息が切れるんだって。COPDかなと思ったら、「間質性肺炎」って言われたらしい。

メル美肺炎って、ふつうは熱が出て抗菌薬で治るイメージだけど、ちがうの?
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、特発性間質性肺炎の話です。難病情報センターの「特発性間質性肺炎」(令和5年10月更新、びまん性肺疾患に関する調査研究班)をもとにまとめました。
どんな病気?
- 吸った空気は、肺の奥の肺胞という小さな部屋に届き、その薄い壁(間質)で酸素と二酸化炭素が入れかわります
- 間質性肺炎は、この肺胞の壁に炎症や損傷が起こり、壁が厚く硬くなって(線維化)、ガスの交換がうまくできなくなる病気です。進むと肺が硬く縮み、蜂の巣のような穴だらけの肺(蜂巣肺)になることもあります
- 原因には、関節リウマチや皮膚筋炎などの膠原病、粉じん、カビや鳥などのくり返し吸いこむもの、薬・漢方薬・サプリメントなどがありますが、いろいろ調べても原因がわからないものを特発性間質性肺炎といいます
- 細菌やウイルスによるふつうの肺炎とは別の病気です
症状
- たんの出ないからせき(乾性咳嗽)
- 動いたときの息切れ:安静時は大丈夫でも、坂道や階段、平らな道を歩く、入浴や排便などの動作で息切れを感じます。進むと安静時にも苦しくなります
- 初期には多くが無症状です。動いたときの息切れを感じるころには、ある程度進んでいる可能性があります

プレ男からせきと階段での息切れ、それにたばこ…叔父の症状と背景は、この病気の特徴に当てはまるんだ。
どんな人に多い?
- 特発性間質性肺炎は10万人あたり100人程度といわれ、年々増えています
- いちばん多いのは特発性肺線維症(IPF)で62%を占めます。IPFは50歳以上の男性に多く、患者さんのほとんどが喫煙者です。喫煙はIPFの危険因子と考えられています
- 喫煙者に多い肺気腫と肺線維症が合併した「気腫合併肺線維症」も問題になっています。加齢や逆流性食道炎も危険因子とされています
早く見つけるために
- 初期は多くが無症状なので、早期発見のために年1回は検診でのレントゲン検査がすすめられています
- からせきや動いたときの息切れがあるときは、早めに専門の施設に紹介してもらうことが重要です
治療
- 特発性肺線維症では、線維化の進行を抑える薬(抗線維化薬)が使われます。治すことは難しいため、進行を抑えることが現実的な目標です。臨床試験では、進行(肺活量の低下)を半分に抑える結果が示され、急に悪くなるのを抑える効果も示されています
- ごく軽く症状がない場合は、喫煙者ならすぐ禁煙し、数か月様子をみることもあります
- ほかの型(NSIPやCOP)では、まずステロイドなどの炎症を抑える薬が使われ、一般に治療によく反応します
- 進んで酸素を十分取りこめなくなったときは、在宅酸素療法や呼吸リハビリテーションを行います。条件を満たせば肺移植も検討されます
経過と注意
- 特発性肺線維症は、ゆっくり線維化が進む病気ですが、経過は人によって大きくちがい、予測は困難です
- かぜのような症状のあと、数日で急に息苦しさが進む「急性増悪」が、経過を悪くすることがあります
- 喫煙歴のある人、とくに肺気腫を合併した人は肺がんができやすいので、病状が安定していても定期的な検査がすすめられています
日常生活の注意
- 禁煙
- 過労や睡眠不足など、体への負担を減らす
- 適度な運動を定期的に続ける(呼吸リハビリテーション)
- 食べすぎ・体重増加は息苦しさを強めることがあるので適正体重を。進んで体重が減ると経過が悪くなるので、バランスのよい食事で体重を保つ

特発性間質性肺炎でいちばん多い特発性肺線維症は、50歳以上の男性に多く、患者さんのほとんどが喫煙者です。初期は無症状のことが多いので、年1回は検診で胸のレントゲン検査を受けましょう。
- たばこによる肺の病気はたばことCOPD、たばことがんはたばこで「なりやすい」と確定しているがんの記事もどうぞ

メル美まずは禁煙だね。かぜをひいて急に息苦しくなったら、すぐ主治医に相談するよう伝えてあげて。
まとめ
- 肺胞の壁が厚く硬くなる(線維化)病気。原因不明のものが特発性
- からせきと、階段・坂道・入浴での息切れ。初期は無症状が多い
- いちばん多い特発性肺線維症は50歳以上の男性、ほとんどが喫煙者
- 治療は進行を抑える薬やステロイド。かぜのあとの急性増悪に注意
- 禁煙・過労をさける・適度な運動・適正体重。年1回の胸部X線を
参考文献
- 難病情報センター. 特発性間質性肺炎(指定難病85)(情報更新日:令和5年10月、びまん性肺疾患に関する調査研究班). https://www.nanbyou.or.jp/entry/156 (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。