ジャフコ グループの強みとは:未上場のベンチャー企業に投資するベンチャーキャピタル。投資先が上場すると株を売ってもうける。2026年3月期は投資先のIPOが2社にとどまり、営業利益56億円(−53.5%)。業績予想は出さない
ジャフコ グループを、2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(非連結)(2026年4月24日、東証の適時開示)で分析しました。売上高216億円(−23.3%)、営業利益56億円(−53.5%)、経常利益59億円(−55.1%)、当期純利益66億円(−31.7%)、ROE4.8%、自己資本比率85.0%。投資先の新規IPOは2社(前期8社)、キャピタルゲインは80億円(前期125億円)。アジアの子会社JIAPと米国のIconを譲渡し、2026年3月期第3四半期から非連結決算に。2025年12月に新しいファンド「ジャフコSV8シリーズ」を設立し、総額は約580億円(前回SV7は978億円)。年133円の配当(配当性向107.6%)、配当はDOE6%と配当性向50%の大きいほうの方針。業績予想は事業の性質から出していません。日本のVC全体の投資額との比較と、見ておくべき数字も。売買やファンドへの出資をすすめるものではありません。

メル美ベンチャーキャピタルの会社って、株式市場に上場しているの?

プレ男ジャフコがそうなんだって。投資先の会社が上場すると利益が出るから、年によって業績が大きく変わるみたい
企業分析の連載、250社目はジャフコ グループです。2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(非連結)(2026年4月24日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、東京証券取引所の適時開示に載っている同じ決算短信を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、ジャフコ グループ株の売買や、ファンドへの出資をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
自社と、自社が運用するファンドのお金で、上場していないベンチャー企業に投資し、投資先が上場(IPO)したときなどに株を売って利益(キャピタルゲイン)を得るベンチャーキャピタル
| 項目(日本基準・非連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 216億円 | −23.3% |
| 営業利益 | 56億円 | −53.5% |
| 経常利益 | 59億円 | −55.1% |
| 当期純利益 | 66億円 | −31.7% |
| ROE(自己資本当期純利益率) | 4.8% | 前期 7.1% |
| 自己資本比率 | 85.0% | 前期 84.0% |
| 配当 | 年133円(配当性向107.6%) | 前期 88円 |
- アジアの子会社JIAPの株式を2025年10月に、米国のIcon Venturesを2026年1月に譲渡し、2026年3月期第3四半期から非連結(個別)決算になりました。前期比は、個別の数字との比較です
- 譲渡のときのJIAP・Iconからの配当(24億円)を営業外収益に計上しました
2. 何で稼いでいるか
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業投資有価証券の売上高 | 234億円 | 180億円 |
| 営業投資有価証券の売上原価 | 108億円 | 99億円 |
| キャピタルゲイン(売上高−売上原価) | 125億円 | 80億円 |
| うち上場株のキャピタルゲイン | 94億円 | 84億円 |
| 投資倍率(売上高÷売上原価) | 2.16倍 | 1.81倍 |
- 稼ぎの中心は、投資先の株を売ったキャピタルゲインです
- 2026年3月期は、投資先の新規IPOが2社(前期8社)で、キャピタルゲインが減りました
運用するファンド全体(国内)のIPO
| 2025年3月期 | 2026年3月期 | |
|---|---|---|
| IPOした投資先 | 8社 | 2社 |
| 投資額 | 110億円 | 31億円 |
| 初値評価額 | 503億円 | 64億円 |
| 倍率 | 4.6倍 | 2.1倍 |
- 初値評価額は、上場前に持っていた株数に、上場したときの最初の値段(初値)をかけた金額です
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 投資先の上場で大きく稼げる
- 前期は、8社のIPOで、投資額110億円に対して初値評価額が503億円(4.6倍)でした
② 新しいファンドの募集
- 2025年12月に新しいファンド「ジャフコSV8シリーズ」を設立し、総額は約580億円(決算短信の提出日時点)です。前回のSV7シリーズの総額978億円を上回ることを目標に募集を続けています
③ 厚い財務と還元の方針
- 自己資本比率は85.0%です。配当は「DOE6%と配当性向50%のいずれか大きい金額」とする方針です
4. 弱み・リスク
① 株式市場と IPO しだい
- 会社自身が、事業の性質から株式市場と新規上場市場の影響を強く受け、収益の振れ幅が大きいとしています
② 業績予想を出さない
- 業績予想を合理的に行うことが難しいとして、業績予想を出していません
③ 未上場株の評価
- 2026年3月期は、営業投資有価証券の強制評価損(17億円)がありました
5. 業界全体と並べると
この連載には、くらべられる上場のベンチャーキャピタルがほかにないため、日本のVC全体の数字と並べます(数字の範囲が違うので、参考です)。
| 数字 | 出典 | |
|---|---|---|
| ジャフコの国内ファンドのIPO投資先 | 2社(2026年3月期) | ジャフコの決算短信 |
| 日本のVCなどの投資額 | 3,181億円(2025年度) | ベンチャーエンタープライズセンター |
- 日本のVC全体の動きはベンチャーキャピタルの投資は2025年度に3,181億円(前年度比−17.4%)、IPOの数は東証のIPO(新規上場)は何社?、未上場への投資のしくみはプライベート・エクイティ(PE)ファンドとはへ
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
ジャフコ グループの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 投資先のIPOの社数 | 2社 | 決算短信(ファンド全体の状況) |
| キャピタルゲイン | 80億円 | 決算短信(キャピタルゲインの状況) |
| 投資倍率 | 1.81倍 | 決算短信(キャピタルゲインの状況) |
| 新ファンドの総額 | 約580億円(SV8シリーズ、募集中) | 決算短信(ファンドの設立の状況) |
| 配当 | 年133円、2027年3月期は中間66.5円・期末66.5円の予定 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

メル美投資先が上場する年としない年で、利益が大きく変わるのね。新しいファンドがどれだけ集まるかも見ておきたいな
まとめ
- ジャフコ グループは、未上場のベンチャー企業に投資するベンチャーキャピタル
- 稼ぎの中心は、投資先の上場などによるキャピタルゲイン
- 2026年3月期は投資先のIPOが2社で、営業利益56億円(−53.5%)
- 海外の子会社を譲渡し、非連結決算に
- 業績予想は出さない、配当はDOE6%と配当性向50%の大きいほうの方針
参考文献
- ジャフコ グループ. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(非連結)(2026年4月24日). https://www2.jpx.co.jp/disc/85950/140120260424509826.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- ベンチャーエンタープライズセンター. 2025年度ベンチャーキャピタル等投資動向速報(2026年6月11日). https://www.vec.or.jp/data/202606/2026_VECYEARBOOK_JP_PreliminaryReport.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。