プライベート・エクイティ(PE)ファンドとは:上場していない会社に投資して、価値を高めて売るファンド。多くは「投資事業有限責任組合」の形。個人が関われる道は限られ、2024年からは公募投信に非上場株を純資産の15%まで組み入れられるように。「プロ向けファンド」の勧誘には要注意
プライベート・エクイティ(PE)ファンドのしくみと、個人が関わるときの注意点を、投資事業有限責任組合契約に関する法律(LPS法)、資産運用業協会(旧投資信託協会)の規則改正の資料、金融庁の「適格機関投資家等特例業者に対する対応を強化!」でまとめました。LPS法では、無限責任組合員(運用する側)と有限責任組合員(出資する側)に分かれ、有限責任組合員の責任は出資額まで。公募投資信託への未上場株式の組入れは、2024年2月15日から原則純資産総額の15%まで可能に。プロ向けの「特例業務」ファンドは、2016年3月1日から一般個人の出資が原則禁止です。

プレ男「上場前の会社に投資できる、プロ向けのファンドに特別に入れてあげる」って言われたんだけど!

メル美「プロ向け」なのに、なんで一般の人を誘うの…? しくみから確かめよう
今回は、プライベート・エクイティ(PE)ファンドです。投資事業有限責任組合契約に関する法律(LPS法)(e-Gov法令検索)、資産運用業協会(旧・投資信託協会)の規則改正の資料(令和5年12月21日)、金融庁・証券取引等監視委員会「適格機関投資家等特例業者に対する対応を強化!」(平成28年3月1日)で確認しました。
この記事はしくみと注意点の説明です。特定のファンドや商品をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
PEファンドとは
- プライベート・エクイティは、「上場していない会社の株式(またはそれに近いもの)」への投資のことです。上場株(パブリック・エクイティ)の反対の言葉です
- PEファンドは、投資家から集めたお金で非上場の会社の株を買い、経営を手伝うなどして会社の価値を高め、数年後に売る(上場させる・ほかの会社に売る)ことで利益を出そうとします
- 創業まもない会社に投資するベンチャーキャピタル(VC)や、成熟した会社を買って立て直すバイアウトなどの種類があります
日本のファンドの形:投資事業有限責任組合(LPS)
日本のPEファンドやVCファンドでよく使われるのが、投資事業有限責任組合です。LPS法は、その目的を「事業者に対する投資事業を行うための組合契約であって、無限責任組合員と有限責任組合員との別を約するもの」の制度をつくり、事業者への円滑な資金供給を進めることとしています(1条)。
| 無限責任組合員(GP) | 有限責任組合員(LP) | |
|---|---|---|
| 役割 | ファンドを運営し、投資先を選ぶ | お金を出す |
| 責任 | 組合の債務に連帯して責任を負う | 出資の価額を限度として責任を負う(9条2項) |
- 有限責任組合員でも、業務を執行する権限があると誤認させるような行為をすると、その限度を超えた責任を負うことがあります(9条3項)
上場株との大きなちがい
| 上場株・投資信託 | PEファンド(一般的な形) | |
|---|---|---|
| いつ売れる | 取引時間中ならいつでも | 原則、ファンドの期間(長期)中は途中で引き出しにくい |
| 値段 | 市場で毎日決まる | 市場の値段がない。評価は定期的 |
| 最低の出資額 | 少額から | 大きいことが多い |
| 情報の開示 | 法律で決まった開示 | 契約による報告 |
個人がPEに関わる道
① 非上場株を組み入れた公募投資信託(2024年〜)
- 資産運用業協会は、スタートアップなど非上場企業への資金供給や、投資家への多様な投資機会の提供のため、自主規制規則を改正しました
- 公募投資信託に未上場株式を組み入れるときは、原則として純資産総額の15%を超えてはならないとし、流動性が著しく低いことによるリスクなどの開示の追加、未上場株式の審査のルールを設けました。評価は公正価値で時価評価します
- 実施は2024年2月15日から(それ以降に有価証券届出書を出したもの)
② プロ向けファンド(特例業務)は、一般個人は原則入れない
-
ふつう、ファンドの運用や販売・勧誘をするには金融商品取引法の登録が必要です。一定の要件を満たすと、簡易な届出だけでファンド業務ができる業者がいて、これを「適格機関投資家等特例業者(届出業者)」といいます
-
金融庁は、悪質な届出業者による被害の例として、
- プロ(適格機関投資家)からはほとんど出資を受けず、個人からお金を集める
- 出資金が契約と違う投資や、会社の経費・私費・ほかの顧客への配当に流用される
- 投資経験の乏しい一般投資家や高齢者が被害にあい、被害回復はきわめて難しいことが多い
などを挙げています
-
そのため、改正金融商品取引法(2016年3月1日施行)で、届出業者のファンドへの一般個人の出資は禁止されました。例外は、投資性金融資産が1億円以上で、証券口座を開いてから1年以上たっている個人などです
-
金融庁は、届出を受理したことは業者の信頼性を保証するものではないとしています

メル美「プロ向けに特別に」は、ふつうの個人はそもそも入れないルール。そう言われたら、まず疑っていいんだね
③ そのほか
- 非上場株への投資には、上場しているPE運用会社の株を買う、株式投資型クラウドファンディングに参加する、などの形もあります。それぞれリスクと手数料が違います
注意したいこと
- 非上場の会社は、倒産したり、思ったように売れなかったりするリスクがあります。上場株より情報が少なく、途中でお金を引き出しにくいことが多いです
- 「上場確実」「必ず値上がり」と言って未公開株を売りつける話は、典型的な詐欺の手口として注意されています。SNSでの勧誘はSNS型投資詐欺の手口と相談窓口も読んでください
- 業者の登録・届出の有無は金融庁のサイトで確かめられます。ただし、届出があっても信頼できるとは限りません
関連記事
- 上場している株のしくみは株式投資の基礎、投資信託のコストは長期投資とインデックス投資
ネットで少額ずつ非上場株に投資する制度は株式投資型クラウドファンディングへ。
日本のベンチャーキャピタルの投資額はベンチャーキャピタルの投資は2025年度に3,181億円(前年度比−17.4%)も参考にしてください。
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まとめ
- PEファンドは、非上場の会社に投資して価値を高めて売るファンド
- 日本では投資事業有限責任組合の形が多い。出資者(有限責任組合員)の責任は出資額まで
- 途中で引き出しにくく、値段が見えにくいのが上場株との大きなちがい
- 2024年2月から、公募投信に未上場株を原則15%まで組み入れられるように
- プロ向けの特例業務ファンドは、一般個人の出資が原則禁止(2016年3月〜)。「特別に入れてあげる」は要注意
参考文献
- e-Gov法令検索. 投資事業有限責任組合契約に関する法律(平成十年法律第九十号)第1条・第9条. https://laws.e-gov.go.jp/law/410AC0000000090 (閲覧日:2026年10月5日)
- 一般社団法人投資信託協会(現・資産運用業協会). 「投資信託等の運用に関する規則」等の一部改正について(令和5年12月21日). https://www.toushin.or.jp/files/static/502/20231221_gyoumu_pubcom_shiryou1.pdf (閲覧日:2026年10月5日)
- 金融庁・証券取引等監視委員会. 適格機関投資家等特例業者に対する対応を強化!(平成28年3月1日). https://www.fsa.go.jp/ordinary/tekikaku_kyouka/index.html (閲覧日:2026年10月5日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。